印象はピーク・エンドで決まる

『物事の印象は、ピーク時と終了時によって決まる』と説いたのは、心理学者であり、経済行動学者のダニエル・カールマン。
彼はノーベル賞も受賞しています。

どんな経験であれ、その経験が自分にとってどんなものだったかを記憶するには、その出来事の「ピーク時」と「最後の時」の”快苦の度合い”で決まるというのです。彼はこれを「ピーク・エンド法則」と呼んでいます。

同じ体験をしても、人によって解釈が随分違うことに驚くことがありますが、ひょっとしたら、そのことと関係があるのでしょうか?
ちょと探ってみたいと思います。

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最も感情が動いたときを掴む

学生時代や、恋愛時代、仕事時代など、ふり返ってみた時に、どんなことを思い出しますか?
楽しかったこと、つらかったことなど、いろんなことを思い出すと思いますが、感情が一番強く動いたとき(ピーク時)と、一連の出来事が終わるとき(エンド時)の記憶で、その時代の全体の印象を決めているそうです。

全体の印象が決まると、行動に変化が起きます。
思い出の場所を「楽しかった」と思い出せば、また行ってみたいと思い、足を運んでみたくなります。出会った人を「いい人だった」と思い出せば、今頃どうしているかな?と気になり、また会ってみたいと思います。

ところが、悪い印象を抱けば、不信感や警戒心が生まれ、二度と行きたくない、二度と会いたくないと思います。そうなると、怯えて、警戒するものが増え、行動範囲は狭められていきます。抱いた印象によって、いとも簡単に、その後の自分が取る行動に影響を及ぼしていくのです。

それが長期に渡ったらどうでしょう。
きっと経験値に大きな差が生まれ、紡がれる人生をも、左右することになるでしょう。
あ~なんて、もったいない…。

最も感情が動いた時を「ピーク時」とするならば、「ピーク時」を正しくつかむことが大事。
自分の力になる「ピーク時」をつかめているのか、検証できたらいいのに。

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「ピーク時」の設定を変えてみる!

どこに「ピーク時」を設定するかで、印象を変えることが出来るのなら、設定そのものを変えてしまえばいいのです。

同じ経験をしても、人によって前向きにとらえる人がいますが、そういう人は、周囲を穏やかに明るくするのが得意です。
傍らで、思考を観察してみると、ピーク時の設定が、簡単にポジティブに入れ替わることに気づかされます。

その人にだって、つらく悲しい思い出もいっぱいあったはずなのに、「つらい」思い出以上に、「楽しい」思い出を「記憶」として刻むことが、本当に上手い。
そうやって、上手に「つらい」記憶を薄れさせるだけでなく、「つらい」記憶を、逃げずによくやり遂げた!という”英雄の功績”として、新たな記憶を刻み込むのが天才的に上手いのかもしれません。

なるほど。そう考えると、思い出作りは、要は「解釈」なんだ!ということに気がつきます。

だったら、体験する出来事のすべてを、自分の力にできる「解釈」を意識出来たらいいわけです。まさに「解釈」のアップデート♪

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嫌な出来事も力に変える「解釈」のアップデート

落ち込むなといっているわけではありません。ネガティブな、つらく悲しい体験をしたときは、悲嘆に暮れることも大切な時間です。それは人間性を深めてくれる貴重な体験なので、安易に避けない方がいいです。

でも、いつまでもそこに留まっていては、喪失感に襲われるだけでなく、避けることができなかった自分を責めたり、行動を起こすことを躊躇し、委縮してしまったり、人と繋がることに憶病になってしまいます。

つらく悲しい体験をしたときは、心の手当として、「解釈」のアップデートを意識してみるといいですね!
「解釈」のアップデートに必要なプロセスをまとめてみました。

① 気づくこと。
回想する思い出の「ピーク時」を、ネガティブな尺度に設定しているため、検索をかけて、ネガティブな要素ばかりが拾い集められてくるんだ、ということに、まず気づくことが大切です。

② 思い出の点検
もう一度、思い出を丁寧に、時間を追って、回想のやり直しをしていきます。
あんなこともあった、こんなこともあった、と思い出し、眺め、その時の自分が何を目指していたのか、どんな希望に心を躍らせていたのかなど、ポジティブな前向きな要素を拾い集めていきます。

③ 手に入れた獲得体験に注目
注目すべきところを、数々の「喪失体験」から「獲得体験」に変え、回想する思い出の「ピーク時」の設定を、ポジティブな前向き尺度に変えます。

④ 「解釈」のアップデート完了!

結局のところ、終わり良ければすべてよし!なのです。途中のどんなにつらい時期も、いい経験だったと、ポジティブな記憶として刻めればいいのです。

そうやって、自分の歩んできた過去に対して、いい印象を抱くことが出来れば、様々なものに「信頼」を持つことが出来るようになります。

相手が人であれ、モノであれ、場所であれ、これから起こる出来事でさえも、無条件の「信頼」を持って、心穏やかに迎えることができるようになるはずです♡

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子育てに生かす「解釈」のアップデート♡

解釈によって、人生の紡ぎ方が変わるのであれば、是非子育てにも生かしてほしいと思います。
子どもは生来、物事をポジティブに捉えようとする性質を備えているといわれています。それは、未知の世界で生き残るための戦略。委縮せず、挑戦を増やすことで、生き残る知恵を手に入れることができるからです。

そもそも何でも知りたがる、やりたがる性質を備えているはずの子どもが、憶病になっているとしたら、「喪失体験」に捉われ、ネガティブな尺度で解釈する癖を、身に着けてしまっているのかもしれません。

我慢が足りなかったから失敗したとか、自分に魅力がないからお友だちができないんだとか…。「喪失体験」にとらわれているようでしたら、大急ぎで「獲得体験」を見つけるお手伝いをしてあげてください。

失敗したわけじゃないよ、大きな成功を手にするために、何を知っておいた方がいいのか、教えてもらったんだよ。とか、

あなたには、こんなにたくさんの魅力が詰まっているよ。お友だちができないんじゃなくて、まだ出会えていないだけ。必ずあなたにぴったりのお友だちと出会えるから心配しなくて大丈夫。今は、神さまが一人の時間を楽しむ力を育てなさいといって、教えてくれているのかもよ。とか、

価値のある「エンド」に仕上げるために、「ピーク」を見つけ出すというのも大切かもしれません。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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