「大人のピアノ」はとても大切!
前回投稿の「心を整える音楽~音楽療法の目線から~」。お読みくださった方、本当にありがとうございました。
今回は「大人のピアノ」という言葉について、感じていることを書きたいと思います。
私は5歳から17歳まで、クラシックピアノを習っていました。
その頃「大人のピアノ=簡単なピアノ」だと思っていました。
…もし、いま当時の私に出会ったら、直接呼び出して説教モノです(笑)。
すごく視野が狭かったと思っています。
そして案外、そういう風に思っている人は結構多いのでは?と感じています。
1.「大人のピアノ」は、"自分で自分の機嫌を取れる"大人の嗜み
これが私の結論です。
自分の心を削るのではなく、自分の心を満たすもの。
結果的にそれは、自分で自分の機嫌を取れる状態をつくっていく。
自分の好みに素直になり、自分のペースで取り組んでいくもの。それが「大人のピアノ」だと思っています。
ところで「ピアノを始めたい」「再開したい」したいという時には、
どんな想いがあるのでしょうか?
・誰もが知っているあの名曲を弾きこなしたい!
・難曲と言われるあの曲を弾いてスゴイと言われたい!
・流行りのあの曲をすぐに弾き語りたい!
・大好きなピアニストさんが弾いてたあの曲を、私も挑戦したい!
・昔弾いた曲を、もう一度弾けるようになりたい。…等々
実際にはじめてみたら「簡単なことではなかった。」と痛感する場面も多いはず。
実は、私もそうでした。
両親の強い意向の元、音楽を専門的に学ぶことを断念し、ピアノを卒業。
その約20年後、病気・手術の後の体調不良をきっかけにピアノを再開。
昔弾いた曲をもう一度弾けたら良いな、と気軽な気持ちで臨みました。
しかし、一度は仕上げたクラシック曲も殆ど弾けなくなっていました。
20年も弾いてなかったんだから当たり前なんだけど、指は覚えて居るのに筋力的に身体が付いてこない感覚に、落胆は大きかったです。
ちなみに会社員時代には、弾き語りをして楽しんだり、職場バンドのキーボードを担当して、ピアノを習っていた頃よりもコードの知識や実践機会が増えていました。そこで、思い切って方針転換。
オリジナルの作曲や即興演奏にチャレンジしてみることにしました。
これが私にとっての「大人のピアノ」となっていきます。
2.経験を重ねてきたその「想い」は音に表われる
方針転換は、私にとって大正解でした。結果論ですが。
私が「大人のピアノ」を満喫する中で得られた気付きはこちらです。
・思うがままに奏でた音楽が、誰かに伝わることもある
・言葉にできない想いを音に託すことで、出会うべき人に出会える
特に、オリジナルの即興演奏は、YouTubeに投稿し始めたところ、趣味で動画を作っている方からBGMにしたいと声がかかるようになり、時には、海外のプロミュージシャンとのコラボにつながる機会もありました。
それ以外にも、私の即興を聴いて「なんでそんなに寂しそうな曲が多いの?」と聞いてくれた人が居て。人生ではじめて、自分の抱え続けてきた想いを相談した相手は、海外の方になりました。あの時は多分、日本人同士では無いからこそ、思い切って話せたのではないかと思っています。
これはその時の即興。最近、自分で自分の曲を耳コピし(笑。即興なので)、再度演奏しました。いまも感謝の想いでいっぱいです。大切な1曲です。
ピアノを通じて「ありのままの自分でいることが、幸せに繋がることもある」のだと実感できました。これは、私にとって、ここ数年間の取組で得られたとても大きな財産です。
ピアノを弾くことは、こんなにも心豊かになる。こんなにも何気ない日常に幸せを感じる。そんな姿を、周りの人に感じてもらえるように、自らが本心から楽しむこと、それが「大人のピアノ」だと思うのです。
そして、年齢を重ねたからこその音色ってあると思っています。
私にとっては、思うがままの即興演奏で奏でる時の柔らかめの音色。
若い頃はクラシック中心だったこともあり「こうあるべき音色」を目指していましたが、自分らしさがどんなものなのか、考えたことが殆ど無かったように思い返しています。もちろん、とても貴重な学びと経験だったことには間違いありません。
ちなみに、クラシック曲も諦めてはいません(笑)。
17歳最後の発表会で弾いたのはショパンの「英雄ポロネーズ」。いまはまず、こちらを再度人前で演奏出来るようになることを目標にしています。
昨年1年間かけて少しずつ取り組みましたが、曲全体を披露するには至りませんでした。でも、20年ぶりに再開した中では、一番、回復を遂げられたと実感することが出来ました。
これからも、オリジナルの作曲や即興演奏で「心を整える音楽」奏でることを軸としながら、"自分らしい引き出し"を増やすべく、クラシック曲やジャズ即興などにも、取り組んでいきたいです。とにかく、楽しみます!🥰
3.せっかく出会えた「大人のピアノ」に自信を持って
繰り返しになりますが、
ピアノを弾くことは、こんなにも心豊かになる。こんなにも何気ない日常に幸せを感じる。そんな姿を、周りの人に感じてもらえるように、自らが本心から楽しむこと、それが「大人のピアノ」だと思うのです。
他者との競争ではなく、自分を満たす事。そこから広がっていく温かい価値観。社会的にとても存在意義のあるものだと、改めて思います。ほんとに。
「楽しむ」というと軽く見られることも多いですが、いまの日本に大きく欠けているものかもしれません(…大きく出てみました)。
それぞれに様々な人生を歩んできた中で、ピアノを始める、または再開する。年齢と経験を重ねたからこその音色、伝えられる音楽って、絶対あると思っています。
そして、自分が本当に好きなものは何かをよく考えて、追及してみること。
私は、音楽を専門的に学ぶということは、「プロとして活動するための学び」だと理解しています。ひとりの人間として、音楽で心を満たすためにはどのように音楽と向きあえば良いのか?は、実はあまり考えられていないように感じます。だから「趣味」という言葉も軽く見られがちなのだと。趣味で心を満たすということは、自分で自分の機嫌を取れる大人になるということでもある。新たに積み上げていくべき大切な価値観だと思っています。
ということで、「大人のピアノ」はとても大切!
自信をもって、楽しんで行きましょう😊
心から楽しめる環境をつくるのは、私たち一人ひとりの心がけです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました^^!
【おまけ】今日の即興🎹はこちらです。季節を感じながら即興することは、毎日「心を整える」大切な時間になっています。