桜葉どらいぶの孤独な食エッセイVol.1「職場の近くの年季の入った食堂」

※この日記はフィクションです

今日は日曜だけど仕事。出勤するときはすごく憂鬱だけど、いつもと違ってしている仕事がシンプルなので、気が楽でたいへん助かるな、と思いながら気付けば12時。
普段であれば、周りに食事処があまり無いこの職場においては食事の選択肢はあまり無く、大抵は自炊かコンビニ弁当、インスタント食で済ませてしまう。しかし、今日みたいな日くらいはちょっと車を出して、少し遠い最寄りのレストランでも行ってみようかなと思い立ち、私は昼食を探しに出かけたのであった。スマホを開き、グーグルマップで最寄りの飯を探す。

(身バレ防止のため、画像と店鋪情報はありません)

車で5分ほど運転しているとお目当ての食堂に到着。とても新しいとは言えない店構え。しかしグーグルでは★4以上と高評価。少しだけ恐る恐る、店のドアを開けるのであった(まあ実言うとこういう店には行き慣れているけれど)。
ドアを開けると、カウンターのところに髪のボリュームがすごいことになっているおばちゃんが一人。迫力がすごい。店内には少しだけお客さんが入っていた。空いているところを探して、席につくなりおばちゃんから、「先に聞いちゃって悪いけど、今ちょうど空いてるから注文を聞いてもいいかい」と一言。私は少し考え込む。
(自分は舌がお子ちゃまだから色が濃いタイプの漬物は食べられないし、できればそういうのが付きそうな定食よりも単品がいいな。ハンバーグ定食も気になるけどここは…チャーハンだ)
「ん〜」と二考も三考もした後「チャーハンお願いします!」と、自分の中では割と声を張って注文。しかしおばちゃんの耳が遠かったため、「エ?!」と一瞥されるが臆することなく「チャーハンお願いします!」ともう一度注文。こういうのって地味にちょっとだけ緊張するよね。
注文が通ったあと、水が運ばれてきてなかったので「これはもしかするとセルフで持ってくるお店なのかな…」と一瞬水を持ってこようとするが、食事が運ばれるまでは待とうと決意。そうしていると、気付いたおばちゃんが水を持ってきてくれた。「ごめんね」と言いながら水を運んできてくれたおばちゃんを見ながら、さっきまでちょっと怖い印象を抱いていた自分の心の中の非礼を心の中で詫び、勝手に色んなことを自己完結する桜葉どらいぶなのであった。単純に耳が遠いだけで、優しい人だった。動作の一つ一つが辛そうだけど頑張るおばちゃんを見てると、この歳で本当に良く店に立ってるな〜すごいな〜と改めて思う。多分80くらい行ってるんじゃなかろうか。
そうこうしつつ待っているとチャーハンが到着。チャーハンの下にはオレンジ色のドレッシングがかかったキャベツの千切りが埋まっており、店構えに見合うような豪快な盛り方。この一皿だけかなーと思っていると、本格的な中華料理屋でよく出てくるように、付け合わせとして小さいお椀に入ったスープが運ばれてきて、自然と期待が膨らむ。いただきます。

(身バレ防止のため、料理画像はありません)

キャベツの千切り……うーん見た目通り。チャーハンの熱さで大分ぬるくなっている。ドレッシングは多分アイランドのやつだけど正直あまり美味しいとはいえない。だけど、こういう店でこういう千切り食べるのって風情あるよなって自分はけっこう思います。
チャーハン……大分水分が多く正直めちゃくちゃベチャっとしている。だけど、味が…かなり美味しい!細切れのチャーシューがたくさん入って肉の旨味が引き出されている感じなんだけど、ちょっと独特なジューシーさがある。この香りはもしかして八角か…?店の印象と裏腹に大分凝った調理がなされている感じがある。
スープ……自然な味わい!おいしい!チャーハンの付け合わせのスープって大体化学調味料っぽい後味がするものが多いようなイメージが個人的にあるのだけれど、これはそんなことなくめちゃくちゃホッとする感じの醤油ベースのスープ。メニューの中に醤油ラーメンがあったから、もしかしたらそのスープをそのまま使っているのかもしれない。
そして何より全体的に盛りが良い。にもかかわらずこのご時世に700円。素晴らしいね。

会計を済ませようとすると、おばちゃんが懐から缶コーヒーを取り出し「飲んでください」と渡してくれた。この店構えの古さにも関わらず、グーグルの評価が高い理由がなんとなくわかった気がした桜葉どらいぶでした。

おしまい。


つづくかもしれないしつづかないかもしれない

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