すくわれたのは足じゃなくて命だったりしてね

日記の意味をわかっているのかというほどに更新頻度がゴミな私わたびです。お久しぶりです。気付いたら年をまたいでおりました。

去年はみなさんどうでしたか?
そして今年は始まったばかりですが、いかがお過ごしですか?

私は、お正月なんてあったっけ?というほどに仕事が大変です。
何が大変なんだっけと思うほどに大変で、
もはや大変ではないと錯覚します。
家に帰って、無言でぼけ〜っとして、数十分〜数時間……。
そこでようやく「えっ今結構自分疲れてるんじゃね!?」となるわけです。
人間の不思議ですね!
気づかなければ大変じゃないわけです。
だから私はこれからも大変であることから目を背けますよ!とか言って。

そんな私も「美術館に行きてぇ〜」と人並みに思う瞬間があるわけで、
行ってきましたよ!!行ってきました!!

深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」

久しぶりに美術館や展示会で味わえるトリップ体験ができた気がします。

「世は移り人は幾代も変っている。しかし、金魚は、この喰べられもしない観賞魚は、幾分の変遷を、たった一つのか弱い美の力で切り抜けながら、どうなりこうなり自己完成の目的に近づいて来た。これを想うに人が金魚を作って行くのではなく、金魚自身の目的が、人間の美に牽かれる一番弱い本能を誘惑し利用して、着々、目的のコースを進めつつあるように考えられる。逞ましい金魚ーーー。」

岡本かの子さんの「金魚繚乱」の一文です。

金魚に見せられた一人の人間が生み出した、死ぬにはまだ生命力があり過ぎる、さればといって神や天上の人になるには稚気があって生活に未練を持つ、抽象と具象の狭間のリアルを追求した先にあった、生きた金魚たち。
人間が金魚を作るのか、人間の支配欲を金魚が駆り立て、金魚が自ら完成形となっているのか……。考えさせられる展示でした。

透明樹脂にアクリル絵具で描かれた、絵画でありながら立体的な躍動感を放つ金魚ーーー。
元々深堀さんと彼の作品はいくつか存じてはおりました。
しかし実際本物を見たのは初めてで、アクリル以外でも粘土での立体作品やドローイングなど、深堀さんの歩みが垣間見える作品達も展示されており、全ての作品の妖艶さもさることながら、
「金魚の持つ神秘性に魅了された一人の人間が歩み刻み残した一つの時間の流れ」が展示全体で表現されてました。

これを前に、”私”はなんて無力なんだと思いました。
同時に、そんな私と対極するような、
対象を知ろうとし、追求し、業(芸、技)を極めていく人間の尊さを、ふつふつと感じました。
ないが大変から目を背ける、じゃ。
芸を極めようともせず、ましてや金魚のように自身で着々と目的のコースを歩むわけでもなく、ひかれたレールをそれなりの具でノロノロと進んでいる……なんと嘆かわしい。
大変だのなんだの言うだけ言って、水の星の極小の一分子でしかないのに加え、何も学んでいない私と言う人間のなんと醜いことかーーー。

まぁ、飛躍しましたが、
誰かの才能に触れると人は、少なくとも私は、私の意識は、
時空間を飛び越えて寂寥感に襲われるのです。
その慄きが私は好きです。

その慄きを与えてくれる人は決して大変な作業から目を背けてはおらず、何度も「大変」を経て一つのものを生み出していくんですね。
私はそれをただ浅はかな知識で理解し切った気でいるだけの醜い消費者止まりだったわけです。このままではダメです。

こんな世の中です。なかなかの寂寥感も閉塞感もありまくる昨今です。
そんな時でも意地でも己を奮い立たして過程を大事にしながら私も成長せねばいけませんな!意地ですよ!意地でどうにかなる!!
泥臭いことも、ダサいと思われそうな努力も、
それを尊ぶ精神を持つ人間の才能こそ最も美事に開花するのだと信じているぞ!!ぬおおお!!!

とりあえず初めに私は創作に没頭するために原動力となる殺意を溜めてきますね!!

皆さんも、ダサく生きていきましょう!!
全てのものはそこからついてくるのです(教祖顔)。

ダサダサ人間!万歳!!

※ちなみにのお話
私は金魚は苦手です。金魚の見た目がまず苦手です。どう頑張っても気持ち悪さを感じますが、その気持ち悪さを見るのが好きです。
空想デッサンでもキャラクターデザインでも何かと金魚を描いてきましたが、講評の際にはいつもそんなことを言っては先生陣に引かれてかわいそうな目を向けてきます。最高です。

金魚って遺伝子操作、美しい金魚ってのは宛ら人間のエゴだし欲望の塊だし醜いほど歪んだ肉情の可哀さ、その権化がああやってフヨフヨしているのが最高に気味悪くて気持ち悪い(上記で書いた岡本かの子さんの詩を引用した文章と早速食い違う話をする馬鹿)。だがそこがいい。

遠ざけたいと思うものほど気になっちゃう人間の性ってやつですね。
歪んだ性癖は人生を少しだけ楽しくしてくれる気がします。

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