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『何屋なのか』それが大事である

営利法人の偉い人が「お金儲けはミッションを達成するための手段である」というセリフを口にするのをよく見る。特にベンチャー界隈に多い。もちろん、本人は本気でそう思っているのかも知れない。それも一つの考え方だとは思う。

しかし、僕にとっては胡散臭く聞こえてしまう。そして、出資してくれた株主の方々に対して失礼な態度だと思う。『営利企業の至上命題は利益を上げることであり、その利益を出資者(構成員)に還元することでである』営利企業の法人ならこの原則を必ず中心に添えるべきだ。この原則を中心に添えるからこそ資本主義という強力なエンジンを使って世の中を変えることができるのだと思う。

そもそも儲けることは良いことである。例えば、八百屋さんが沢山儲けたら良かったねと言われる。きっと野菜を売るというのは社会貢献であり賞賛されるべき事柄なのだ。

一方で、金が儲かれば何をしても良いのかというとそんな事もない。金は無機質な数字である。無機質な数字なので明示的でわかりやすく価値交換には良いだろう。しかし、無機質な数字ばかり追っていても人は幸せにはならない。一般的に市場の失敗と言われるような現象が起きる。数字を積み上げることだけに最適化するなら公害を起こして人を悲しませながらも利益を上げることが最適になってしまう。このようなことを考えたときに必要になるのがミッションと言われる物である。平たい表現で言うと、その会社が『何屋さん』なのかを示した物が必要なのだ。ちなみに、会社を設立するときには必ず『会社の目的』を定義する必要がある。全ての会社は目的を持っていてその範疇で事業を行なっているとも言える。

すべての事業活動は営利であれ非営利であれ、定款等で何らかの目的が定義されておりその目的によって多くの人々を幸せにし世界を豊かにしていく。三方良しであるべきだし、そのサイクルが持続的であることによって(金銭以外の資本も含めた)資本の拡大がもたらされる。そしてその資本の再投資により新しいものが生まれる。そうして生まれる社会全体の生態系こそが大切であり、人間の社会という世界を規定するのだと思う。

だから、金儲けは目的でもいい。というか、営利企業として存在しているのであれば金儲けが目的であるべきである。儲けて資本を増大させ世に貢献することこそが商いだと思う。


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