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とにかく運がいい夫。

夫は本当に運がいい。

まず、晴れ男。夫との予定で雨にあたることがほとんどない。
私は昔から自他ともに認める筋金入りの雨女。
(小・中学校の運動会はほとんど体育館で実施)
そんな私との予定はいつも雨マークが多いにもかかわらず、
実際出かけてみると、ことごとく覆される。

結婚式の前撮りの日も、そう。
外で撮影予定だったのに、何度見ても天気予報は雨。
しかし、本番が近づくにつれ雨マークは消え、最高の撮影日和になった。


このご時世のさなか、
夫が大好きなお笑い芸人のライブに行くことができた(ちょっと何言ってるかわかんない)。
例年、チケットを取ることすら難しいといわれている超人気芸人だ。

夫の戦いは去年から始まっていた。
チケット先行抽選の権利が得られるDVDを買い、
あらゆるチケットサイトも使って応募するも…
なかなかチケットは当たらない。
ただでさえ人気の公演に加え、このご時世で席数も減少。
争奪戦にさらに拍車がかかっていた。

あきらめかけたその時、
希望度低めの都市ではあったが
当選しチケットを取ることができたのだ。

実は、これも幸運だった。
もともと希望していた近場の都市での公演は
緊急事態宣言の影響で軒並み中止に。
予定通りの開催できた数少ない公演に夫は偶然当たったのだ。

希望公演が当たらなかったことさえ、幸運だと思わせるからすごい。


・とにかく運が悪い私

一方で、私は運が悪いほうの人間だと思う。

楽しみに行った飲食店がその日だけ臨時定休日。
念入りに計画をした旅行だったのに、
吹雪のため飛行機が欠航(雪女でもある)。
熱を出すことすら滅多にない、ザ☆健康体のくせに
大学入試直前にウイルス性の病気にかかり人生初の入院。

ただ、命にかかわるような大きな病気をしたり
交通事故に巻き込まれたりしたこともなく生きてこられたから
贅沢な悩みかもしれない。

それでも「これは運次第だ!」みたいなことに縁がないってことは
経験上、わかってきた。

・結婚してみたら、夫が運が良い理由がわかってきた

夫はよく「僕は運だけで生きてきたからな~」と言う。

はたから見れば、決してそんなことはない。
超有名進学高校に通いながら野球部のエースピッチャー。
国立大学の大学院まで進学し、大好きな電車の仕事にも就いた。
運の良さだけでは成しえない人生を歩んできている。

そんな夫が、
人生で最大の幸運は「私と結婚したこと」と言うのだ。

あぁ、だから夫は運が良いのだろう。
いや、厳密にいえば日常生活にある「幸運」にきちんと目を向けているのだ。

人生を共に歩んでくれる「夫」というかけがえのないパートナーがいる。
一緒に泣き、笑い、寄り添ってくれる人がそばにいてくれる。
これを「人生の幸運」と呼ばずして何が「幸運」になるのだろう。
そのことに、夫は自然と気づいているのだ。

運が悪い方の人間だと思っている、私はどうだろう。
幸運のことなんて考えたこともなかったかもしれない。

楽しみに行ったお店が臨時定休日でも、
そのあと偶然入ったお店をとても気に入ったことがある。

吹雪のため飛行機が欠航になって目的地が変更になったけど
ずっと行きたかった観光地に
思わぬタイミングで行けたこともある。

大学入試直前に3週間も入院したけど、
なんとか退院して入試を受けて合格もできた。
その経験は「最後に自分を助けてくれるのは、自分の努力だけだ」と教えてくれた。

二人とも幸運も悪運もきっと今まで同じくらい経験してきたと思う。

幸運のほうではなく、悪運のほうをよく覚えている私。
悪運のほうではなく、幸運のほうをよく覚えている夫。

どっちに目を向けるかで
「運が良い」と思ってきた夫と
「運が悪い」と思ってきた私の差は生まれていたのだろう。



夫といると、どんな状況に立たされたとしても
「きっと私たちは運が良いから大丈夫」と思えてくるのだ。

間違いなく、人生最大の幸運をもらったのは
そんな夫と結婚できた私のほうだ。



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