レゴデュプロ線形幾何学
1. はじめに
子供のおもちゃの王道を考えたとき、車はトミカ、電車はプラレール、ブロックはレゴが挙げられる。あまり知られていないがレゴにも電車にまつわるシリーズが存在する。特に通常サイズのレゴではなく、2倍サイズのレゴデュプロは低年齢向けであり電車のシリーズも子供でも簡単に扱えおすすめである。本noteではレゴデュプロの電車のレールのうまいレイアウト方法を検討する。
2. レゴデュプロの電車
レゴの通常サイズと2倍サイズ(レゴデュプロ)の両方に電車のシリーズが存在する。レゴデュプロの電車は以下のように低年齢の子供向けの機能が充実している。(筆者は通常サイズの電車について詳しくない)
* 手で押す(タイヤを転がす)だけで走り出す。
* 時間が経つと自動で停まる。
* 壁にぶつかると自動で停まる。
* レールに特別なパーツをはめておくと画像処理で「光る」「汽笛の音がなる」「停止する」「逆走する」「一時停止し給油しているかのような音がなりまた走り出す」をそれぞれ実行する。
* スマホで操作できる。
子供が遊んでそのまま放ってしまった場合に、自動で停まる機能は電池の消耗を抑えることができる。商品例を以下のURLに示す。
レールはレゴデュプロのブロックと接続可能なため、以下の動画のようにブロックと組合せて構造物を作成できる点も魅力的である。
3. レールレイアウト
電車が走り続けるためにはレールを巡回路にしたいが端点同士が適する位置・角度にないと接続できないため、わずかなずれで巡回路にならない。プラレールのレールレイアウトに関しては以下のように既存手法が存在する。
しかしながら、プラレールよりもレゴデュプロの方がレールで巡回路を作るのが難しい。プラレールは曲がるレールの角度が45度だが、レゴデュプロでは曲がるレールの角度が30度であり接続する端点の角度のパタンが多いためである。レゴデュプロのレールの種類は以下の通りである。
直線レール
曲線レール
Y字レール
情景パーツ(複数存在。基本は直線レールと同等)
最小の巡回路として曲線レールだけで構成した円構造を以下に示す。
円構造は下記色分けの通り曲がり角30度のレールを12個使用している。
レール同士は接続していると仮定したとき、レールの接続辺の方向は12方向存在する。巡回路が成立するには端点の接続辺の位置・角度両方が揃わないとならない。
巡回路を構成するときに端点がずれる原因を説明する。直交座標系(x, y)を使用すると、以下のようにx方向、y方向に3種類の長さa, b, cが存在することがわかる。
円構造の直径を2としたとき、a, b, cの長さはそれぞれ以下のようになる。
a = 1 - cos π/6 = 1 - √3/2
b = cos π/6 - cos π/3 = √3/2 - 1/2
c = cos π/3 - 0 = 1/2
a, b, cは整数倍の範囲では1と√3の(いわば)独立な2要素が存在するため、巡回路全体を通してx, y方向それぞれのaとbの個数が同数でないと巡回路の端点同士がずれてしまう。
4. 簡単に巡回路を構成する方法
ボトムアップにレールを継ぎ足していくと3章のように角度30度に起因する直交座標方向への独立な長さが発生するため位置ずれが発生しやすい。簡単に巡回路を構成するには、予め巡回路を構成しておき、トップダウンに巡回を破壊しない変更と加えていくと良い。
まず、巡回路のうち向きが等しい2個の接続辺で分割し、一方を平行移動させる方法を与える。
平行移動は直線レールを使う他、曲線レールの組合せでも良い。なお直線レールの長さは2cであるため、以下のように曲線レールと混在させても問題が起きにくい。
次に特定のパタンを置き換える方法を与える。あるパタンについて接続辺の形状が等しい別のパタンに置き換える。
置き換え手法はすでに接続してあるレールに重ならない限りは自由度高く接続できるので、自分なりの置き換えパタンを持っておくと楽しい。上記の例では置き換える前の接続辺は平行であるが、平行である必要はない。
5. まとめ
レゴデュプロの電車のレールを簡単に巡回路にするために、「平行な接続辺で分割して、一方を平行移動させる方法」と「接続辺の形状が変わらないように特定パタンを異なるパタンに置き換える方法」を与えた。