建築設計の打ち合わせをZoomで進める
新型コロナウィルス(Covid-19)の流行が治まることなく年をこえる。連日、「不要、不急な外出は控えて」とそこかしこから聞こえてくる。
建築、こと一般のお客さんを相手に住宅を作るという事はともすれば「不要不急」に分類されてしまう事かもしれない。事実、仕事をしていると、打ち合わせの延期や計画の中断という話も出てきている。
僕自身も進めている計画の打ち合わせがZoomなどWeb会議ツールを使った打ち合わせになることが多くなった。そして思った事がある。
・・・なんか疲れない?
うん、普段の打ち合わせの3倍くらい疲れる。
慣れない環境、設備、方法というのももちろんある。でもそれだけじゃ無いんじゃないか?
僕らプロでさえ疲労を感じているのなら住宅の打ち合わせを行う相手のお客さんの疲労は相当な負担になっているかもしれない。その負担は打ち合わせの齟齬を生んだり、やがてはクレームに繋がるかもしれない。
検索してみると「Zoom疲れ」などの記事がいくつも出てくる。
そう言った記事をいくつか読んでみるとだいたい次のような内容だった。
①単一の画面を見続ける事に集中力を使う
②打ち合わせの成果が分かりにくい
③ 打ち合わせの「間」が無い
僕がZoom打ち合わせを経験して、疲労軽減の為に実践した方法を紹介します。
どうやら人間は誰かと会話している最中でも周囲の状況や雑音、物の動きなどから情報が飛び込んできて気を散らしているらしい。それがカンフル剤として上手く機能して疲労を軽減しているんだとか。
それがWeb会議では全ての情報は画面から得られるようになる。すると脳はどんどん単一の画面に集中力を割いていって疲れてしまう。
そこで僕が実践した方法はたった一つ。
画面を増やした。
自分が映るメインのカメラとは別に打ち合わせ記録をする為の図面を写し続ける書画カメラをつくり僕とお客さん、書画カメラの3者で会議をする形にしたのだ。
通常の対面の打ち合わせでは皆やっているであろうテーブルに図面を出して打ち合わせで変更になった箇所や内容を書く事をそのまま写し続けるカメラを着けたのだ。
「ちょっとオッサン、Zoomには画面共有っていう方法があってそんな事しなくても図面を見せたり出来ますよ…」とか言わないで聞いてほしい。
たしかに画面共有という機能で特定の図面を見せたり、その上に書き込んだりは出来る。しかし個人的にこの機能で設計の打ち合わせするのには少し足りなかった。足りなかったのは次の点。
①画面共有すると自分の顔が相手に見えなくなる。
②1画面のPCだと共有しているウィンドウで相手の顔や表情も見にくくなる
③書き込みは表示した図面とリンクしないので図面が複数枚にわたる場合切り替えても上書きした書き込みが残る
④③の為に別の図面に話が移るときに画面の書き込みを消す必要があり打ち合わせ記録としては使いにくい。
⑤通信状況により発生するラグでカーソル等では説明したい箇所をさしていても相手の表示では追い付いていなかったりする。
机に置いた図面を写す書画カメラの導入でこれらの問題が全て解決した。
お客さんの顔の表情を見ながら、時には身振り手振りを加えながら説明でき、打ち合わせ記録としての赤書き図面も残る。打ち合わせの都合で複数の図面を飛び回っても大丈夫。
そしてカメラのズームアップも出来るので細かい説明もしやすい。
そしてこれがさらに良い副作用を生んでいる。
画面が複数になることでお客さんも視点移動することで一つの画面を凝視し続けないでよくなる。
そして、書き込むという作業が「間」を生み集中を緩める瞬間が双方作り出せる。
打ち合わせした内容が常に確認出来る為、打ち合わせで決めた成果を確認しやすい。
この打合せスタイルで約半年、今のところ上手く行っているという感想。
もし、リモート打合せで上手く行ってないと感じている設計者の人が居たら試しにやってみてほしい。