行ってみて、乗ってみてわかったブダペストの交通【ブダペストに行ってみました(其の二)】
空港からリムジンバスでブダペスト市街へ
入国手続きは既にドイツ・フランクフルト国際空港で済ませていたので,リスト・フェレンツ国際空港ではバゲージクレームでスーツケースを受け取ると,スムーズに到着ロビーに出ることができました.途中,バゲージクレーム近くに両替所があったので,1万円だけ両替し,約2万フォリント(Ft)を財布に収めました.持っていったガイドブックによるとブダペストはキャッシュレス化が進んでいるとのことでしたが,やっぱり現地のお金を使ってみるのも旅の醍醐味のひとつです.
空港ビルを出ると,直ぐに空港リムジンバス乗り場を見つけることができました.料金は2,200Ftと書かれていて,ガイドブックでは990Ftとなっていたので,この数年間で二倍以上も値上げされたことになります.でも空港から市街中心部まで25km近く離れていること,20分間隔運行でゆったり座れることなどを考えると,日本円で1,000円以下のこの料金に割高感はありませんでした.
早速,先ほど手に入れたフォリント札で乗車券を買おうと自動発券機を英語表記に変えて5,000Ft札を差し込みますが,何度やっても戻ってきます.“えぇ~,なんでぇ~~”と少し頭が混乱しましたが“もしかしたら”と思い,お札をひっくり返して金属的な光沢を放つ帯状の部分を上にして差し込むと,ついにお札が吸い込まれ,乗車券とお釣りが出てきました.これはたまたま起きたことかも知れませんが,もしかするとハンガリーの自動販券機はお札の入れる方向が決まっているのかも知れません.上手く行かないときは,やってみる価値ありです.
さて,「100E」番のバスが来たので,係員に乗車券を見せて,早速,乗り込みます.バスが出発し,薄く雪の積もった景色の中をしばらく進むと,徐々に建物が多くなり,歩道を歩く人の姿も増えてきました.そして約40分でブタペスト中心街にある目的のバスステーション,アストリア(Astoria)に到着しました.なんとスムーズ.このリムジンバスは,本当にお勧めです.帰国時にもこのリムジンバスを利用しましたが,到着の時の経験を活かし,残しておいた2,200Ftで実に円滑に乗車券を購入し,空港に行くことができました.ちなみにアストリアは空港から市街に行くときの降車専用のバスステーションで,空港に行くときはデアーク・フェレンツ(Deak Ferenc)広場からの出発となります.ご注意を.
公共交通網が張り巡らされたブダペスト市内
私は元来,初めて訪れる街を歩くのが大好きなので,約一週間のブダペスト滞在中も毎日2~3万歩くらい徒歩で市内を巡りましたが,市内は交通網が発達していたので,歩き疲れてしまった時や少し遠くまで行くときには非常に便利な足になってくれました.私が利用したのはバス,トラムとへーヴ(HEV)と呼ばれる郊外電車でしたが,その他にも赤い車体のトロリーバスや地下鉄があり,それらが市内を網羅するように走っています.
トロリーバスなどは,細い路地の建物の間からもヒョッコリと顔を出すので“こんなところも走っているのかぁ!”と驚くこともありました.また,これは私の感覚ですが,バス,トロリーバスとトラムの運行頻度がとても多くて,バスステーションでは電光掲示板に次のバスの到着時間も表示されるところも多いので,ブダペストは本当に交通弱者に優しい街だと感じました.
日本は運転手不足や赤字経営などでバス路線や鉄道網がどんどん縮小されています.難しい面も当然あるのでしょうが,高齢者が運転する自動車事故が取り沙汰され,また環境対策もますます求められる中で,ブダペストの市民の足が本当に羨ましく感じました.(でも,“難しい”で済ませちゃ,だめですよね.反省.)
ところでこれは多くのガイドブックにも載っていることですが,これらの乗り物に乗車するときには,必ずキップに刻印する必要があります.ガイドブックに書いているほど,検札官の確認が頻繁に行われた印象はありませんでしたが,へーヴで郊外のセンテンドレ(Szentendre)に行った時には確かに検札を受けました.
刻印を行う場合の注意点は,刻印機にも様々なタイプがあるということでしょう.私の乗ったバスやトラムは乗車口近くに刻印機があって,キップを差し込むだけで刻印されました.このため,へーヴに乗った時も同じように刻印機にキップを差し込んだのですが,刻印できませんでした.”おかしいなぁ”と思いながら,何度もキップを入れたり抜いたりしていると,その様子に見かねたのでしょう,近くの座席に座っていた地元のご婦人が近寄ってきて,刻印機を手で上からガチャリと押し込んで刻印してくれました.そうなんです.すべてが自動で刻印されるのではなく,人力で押印するものもあるのです.その少し後に,二人の検札官が確認に来ましたので,刻印が出来ていなかったのなら,高額の罰金を徴収されるところでした.助けてくれたご婦人には本当に感謝しかありませんでした.”クスナム(ありがとう)という言葉を覚えてきて本当に良かった”と心から思いました.