最後のヨントンから2年。2023/05/14
〜2021年に解散した韓国のアイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜
いつかまたアイドルとして戻ってきてくれるんじゃないかと淡い期待を持ちながら、noteを書き始めたけれど、解散してもうすぐ2年が経つというのにいまだに推しは戻って来る気配はない。
推しのインスタのプロフィールは、『俳優』と書いてある。
小さな俳優養成所に所属して、演劇の勉強をしているようだ。
2021年5月、推しとの最後のヨントン。
最後のヨントンの事は、前に書いたから改めて書かないけど、あれが最後だと何となく気づいていたのに、最後だと言われるのが怖くて訊けなかった。
推しが言った言葉。
推しはなぜそんなことを訊いたのだろう。
自分が活動してきたことの証しを、意味を、求めていたのだろうか。
私はその言葉で、ああ、、やっぱりこれで終わりなのかもしれないと悟った。
ヨントンが終わり、様子が変じゃなかった?と知り合いのヲタクに訊いても、みな口を揃えて「いつもと変わらなかった」と言っていた。
そのヨントンから数日後、推しのグループはメンバー全員の意思で事務所と決別した。弁護士に相談して、契約解除の内容証明を送ったそうだ。
いつから準備していたのかわからないけれど、あのヨントンが最後になることを、推したちはわかっていたはずだ。
公式SNSの更新が止まり、予定していたスケジュールの中止が事務所から発表され、ヲタクたちは騒ぎ始めた。
一体どうなってるのか、彼らに何があったのか。
知り合いのヲタクは、「推しは、私には本当のことを話してくれるはずだから、あのヨントンが最後だとは思えない。」と強気な発言をしていたけれど、結局はあれが最後のスケジュールになった。
自分に何も言ってくれなかったことを、彼女は怒っていた。
「きっと、最後だと言えば悲しませると思ったから黙っていたんじゃないかな。」と、私はフォローした。
「推しは、私には嘘はつかない」
「推しは、私には素を見せてくれる」
ヲタクたちは、よくそう言っていた。
その自信というか、思い込みはどこから来るのかいつも不思議だった。
アイドルは友達でも彼氏でも身内でもない。
素を見せるはずなどない。
解散後、推したちはそれまで禁止されていたインスタの個人アカウントを開設した。
ヲタクたちはインスタのDMを送ったり、ストーリーでタグ付けをしてメンションを送ったり、推しと繋がりを持とうと躍起になっていた。
そのうち推しは、タグ付け出来ないようにインスタの設定を変更した。
知り合いのヲタクがDMを送ったそうだが、返信は来なかったと言っていた。
私は、1度も推しにDMを送ったことはない。
推しはそういうファンを面倒くさいと思うような気がしたし、何の反応もなければ悲しい気持ちになりそうだから。
自分の気持ちを守るために、DMは送らなかった。
ファンのコメントにいいねを付けたり、DMに既読をつけたり、ファンのストーリーズに足跡をつけるようなことは推しにはしてほしくない。
でも心のどこかで、他のヲタクにはしてほしくないけど自分にはしてほしい、と思う自分がいた。
推しにとって特別なファンでありたい、そう思っている自分が滑稽だ。
最後のヨントンで、幸せだった?と訊く推しに「最初からずっと幸せだったし、今でも幸せ」と私は答えた。
「僕も幸せ。」と推しは笑った。
その言葉が、本音かどうかはわからない。
アイドルとしてのセリフだったかもしれない。
だけど、それは推しからのサヨナラの挨拶だったような気がしている。
これが最後だと言えない代わりに。
そうであってほしい。
最後に幸せだと言ってくれたことで、推しが事務所を出たと知ってからも、自分の中では不思議と納得出来た。推しは、覚悟を持って事務所を出たのだと思えたから。
もう会えないけど幸せだったよ、と言ってくれたのだと思いたかった。
だけど逆に、その言葉が私の足かせになっている。
もし最後のヨントンが、いつもと変わらない態度でいつもと変わらない会話だったら、私はきっと推しを諦めることが出来たと思う。
ああ、自分は推しにとってその程度のファンだったんだ…と目が覚めるだろう。
日が経つにつれて、思い出は美化されて私の足かせになった。
いい加減諦めようと思うのに、推しのインスタの通知が来るたびに期待してしまう。
馬鹿みたいに、待ち続けている。