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推しの思い出の曲、私の思い出の曲④終 2025.01.26
〜2021年に解散した韓国アイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜
新大久保で活動していた頃、特典会で推しは時々私に「聴きたい曲はありますか?」とリクエストを訊いてくれた。
その場で歌ってくれることもあれば、私が公演に来る日に合わせてソロステージで歌ってくれたこともあった。
そんな事が何度かあって、嬉しい反面、自分が推しにとって特別なファンだと勘違いしそうになる気持ちに、ブレーキをかけなければと思っていた。
そうしないと私も常連ヲタクたちのようなモンスターになりそうで、怖かった。
一度、欲を出してしまい、推しに余計なプレッシャーを与えてしまった事があって、それ以来歌って欲しい曲のリクエストを訊かれてもはぐらかすようになった。
そんな中、推しがまた「ハルさん、なにか聴きたい曲ありますか?」と特典会で訊いてくれた。
私は、ソン・シギョンさんの『僕に来る道』が聴きたいと答えた。それは推しが好きな曲で、何度かソロステージで歌ったことがある曲だ。
これならわざわざ推しが一から練習することもなく、私が見に来る日に合わせようとしなくても済むだろう。
負担になりたくなくて、その曲をリクエストした。
推しは少し不服そうに「それは前にも歌ったから、他の曲で」と、却下した。
困ったな。。。
推しは、キラキラと期待に満ちた目でリクエストを待っている。
もちろん歌ってほしい曲はたくさんあるけれど、私がSHOWBOXの公演に来れるのは週に1回か多くても2回、推しのソロの日にタイミング良く来れるわけではない。
一度、他のメンバーとソロの日を変えてもらったと言っていたこともあった。嬉しかったけれど、もしかしたらその日に歌う予定だったメンバーのソロを期待して来ていた人がいるかもしれないわけで、もしそんな事が知られたら問題になるだろうと心配だった。
信頼しているヲタ友だけにその話をした。
ヲタ友は、推しがそうしたくてやってるんだから気にすることはないよ、と言ってくれたけれど、そのうち推しがそうすることを負担に感じるのではないかと不安だった。
そんなわけで『僕に来る道』なら負担をかけることは無いだろうとリクエストをしたものの、却下されてしまった。。。
そうだ。
私はひらめいた。
「そういえば、推しくんが前に教えてくれた달빛 천사の『Love Chronicle』をYouTubeで見たよ。」と話を逸らす。
これは、この前に書いたエピソードの続きだ。
この時に推しは、パァっと笑顔になって歌詞がすごく良いんだと嬉しそうに話していた。
「じゃあ、、、『Love Chronicle』をソロステージで歌ってみたら?」
と、私は冗談めかしてリクエストした。
「だ、だめです!それはダメー!」
と推しは慌てて却下した。
きっとそう言うだろうなと思ってリクエストをしたから、私は「なんでー?聴きたい聴きたい!」と笑った。
推しは、ダメですと笑っていた。
いくら好きでも、女の子向けのアニメの曲をソロステージで歌うなんて恥ずかしいのだろう。
私にとっては可愛いキャラの推しだけど、多くのファンにとっては彼氏風のキャラだから、そのイメージを壊すわけにはいかないようだ。
そんなエピソードを思い出して、推しがインスタにこの曲を歌う動画を投稿したことに驚いたのだ。
恥ずかしいから人前で歌うのはダメだと言っていたけど、もうアイドルじゃないし、かっこつけなくても良いってことなのかな。
推しのインスタの投稿には、相互フォローしているリアルな友達からのコメントが書き込まれていて、どれも何だか茶化すような言葉だった。
古い少女向けアニメの曲を歌う推しをからかっているような。
だけど推しは、少なくとも歌をネタにして笑いをとる人ではないと思う。
歌うことが大好きで、この曲の歌詞がすごく良いから好きだと言っていた推しの言葉に嘘はないと信じている。
そう思ったが、私はふと、この曲の歌詞を知らなかったことに気づいた。
アニメの曲だし、アニメのストーリーにちなんだ曲なんだろうなと、歌詞の翻訳を調べたことが無かった。
調べてみよう。
早速、韓国語の歌詞が書かれたサイトを探して翻訳機にかけてみた。
その歌詞は、
まるで私の、今の心境を歌っているような歌詞だった。
『Love Chronicle』
今、私には思い出だけが残っている
写真の中のあなたの笑顔
約束した大切な私たちの誓いも
引き出しの中の写真に一人で泣いている。
大丈夫
別れの時に、私もたくさん成長した
凍った心の痛みも
少しずつ溶けて無くなるでしょう、いつか。
降る雨が重い
うつむいた私の心の隅に
永遠にあなたが残っている
あなたの気持ちはわかっているけれど
でも急がないで
私はあなたの姿を忘れたくない
明るくなる心の中のあなたの姿は
まだ美しいけれど
密かに流れた涙に触れそうだったあなたが
笑顔を消して再び遠くなる
大丈夫
時間が経ち、私もまた笑えるでしょう
ちぎれた昨日の心も少しずつ戻ってくる
降る雨が重い
歩みをしばし止める私の姿に
もうやめて、心配しないで
あなたの考えにはまだ幼くて弱い私だけど
自分の道を知り、今、歩き出す
降る雨が重い
うつむいた私の心の隅に
永遠にあなたが残っている
あなたの気持ちはわかっているけれど、
急がないで
私はあなたの姿を忘れたくない
私は、あなたの姿を忘れたくない
改めて歌詞の意味を知って、こんなに切なく美しい歌詞だったことに驚かされた。
もっと早く調べておけば良かった。
なぜ推しがこの曲が好きなのか、わかっていなかったのは私の方だ。
歌詞がとても綺麗で、、、
そう話す推しの姿を思い出して、私はこの曲がもっと好きになった。
推しは、どんな気持ちでこの歌を歌ったのだろう。
日本での活動を、あの時のやりとりを、頭の片隅にでも思い出してくれただろうか。
今の私の胸の内を歌っているような歌詞。
私はこの先もずっと、この思い出を大切にする。
絶対に、忘れたくない。
終わり。