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[前編]ペンライトは僕の色を点けて、と言われた話 2022/09/13
〜2021年に解散した韓国のアイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜
2年目のラストシーズン。
メンバー別の公式応援カラーが作られて、ヲタクたちは推しのカラーのペンライトをつけることになった。
私は、noteにも書いたが(いろいろあって)本命の推しと2番目の推しのカラーを交互につけるという方向で落ち着いた。
翌週には大阪公演を控えていたある日、私は急遽SHOWBOXへ公演を見に行った。本来はその翌日に見に行く予定だったけれど、順番から考えて推しのソロステージがあると予想し、SHOWBOXへ見に行った。
無理なヲタ活はしないと決めたものの、やっぱり推しのソロステージが見たかった。
予想通り、その日は推しのソロだった。
2番目の推しが前に歌ったことのあるロイキムの曲。推しの声に良くあっていて、とても素敵だった。
公演後の特典会で、「今日が推しくんのソロだと思ったから、頑張って仕事終わらせて来たよ〜。聴けて良かった!」と伝えると推しはグフフっと嬉しそうに笑った。
この笑い方、久しぶりだ。
推しは、嬉しさを隠しきれない時にこういう笑い方をする。
地方から時々SHOWBOXに来る友人から前に言われたことがある。「推しくんにハルさんの話をすると、いつもグフフって笑うんですよ。」と。
その姿を想像して、私は幸せで満たされる。
特典会はとても混んでいたから、「明日も来るね」と言って早めに切り上げた。
団体サインの最後のメンバーは、推しの昔からの親友でもあるメンバーだった。
順番から考えて、翌日のソロステージは彼の担当だから、私は「明日はW君のソロ?」と本人に尋ねた。
「違うよー」と、はぐらかす彼。
明日は本命の推しと2番目の推しが一緒にソロをやる日だと言うのだ。
冗談を言ってからかってるんだろうな、と思うけど、私に向かって推しと2推しのことをネタにして冷やかすところが彼らしいなと思った。
今までも彼は時々、『推しと2推しどっちが好きなの?』と冷やかすことがあったから。
「明日は、もしかしたら僕のソロかもしれないけどー」と曖昧にはぐらかす彼。
明日も来るから楽しみだと伝えた。
「じゃあ明日はブルーの洋服を着て、ブルーのペンライトを点けてね。」とイタズラっこみたいな事を言い出した。ブルーが彼の公式応援カラーだから。
「もしアイツ(私の推し)が歌ったとしても、僕の色をつけてね」そう付け加えた。
可愛くて思わず「うん、わかった」と答えると、彼は「イエス!」と元気よく言いながら小指を出した。
指切りをしよう、ということのようだ。
W君と指切りするなんて初めてで、何だか照れくさかった。
翌日、私は約束通り青いTシャツを着た。
推しのカラーの服は恥ずかしくて着れないくせに、こういう事はノリが良い。
ソロコーナーだけペンライトの色をブルーにしようかと思ったけれど、どうせなら今日はW君の日にしようと思って、1曲目からブルーを点けることに決めた。
するとヲタ友は驚いて、「最初からブルーにするの?大丈夫??」と何度も訊き返した。
W君は、いろんな人にブルーのペンライトを点けてねと言っていたから、特別な事では無いと思うのだけれど…
ヲタ友も一緒にブルーにしないかと誘ってみたが、そんなことをしたら自分の推しが僻みそうだから、ソロの時だけブルーにすると答えた。
公演が始まって、私はブルーのペンライトを点けた。
推しと2推しの間で気を使うことに、少し面倒くさくなっていた頃だったから、全く別のカラーを点けることが新鮮で解放された気分だった。
ソロコーナーは予想通りW君の担当で、会場内は一斉にブルーのペンライトに変わってとても綺麗だった。
公演後の特典会、団体チェキはいつも推しと2推しの間に入って撮っていたけれど、この日はW君と並んで撮ることにした。
W君は「ブルーだ、ブルー」と私のTシャツを指差して喜んでいた。反応が可愛くて笑ってしまう。
とても楽しかった。
推しは気にしないと思うけど、念のために言葉で説明することにした。
というのも、私が公演中ずっとブルーのペンライトを点けていたことを、他のヲタクに指摘されたのだ。どうして青のペンライトを点けてたんですか?と。
狭い世界だから、ファン同士のチェックは厳しかった。
推しになんと言って説明しようか。
サイン会の列に並びながら、私はそんなことを考えていた。
続く