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推しの思い出の曲と、私の思い出の曲② 2025.01.19
〜2021年に解散した韓国アイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜
推しがインスタに投稿した曲は、新大久保での長期公演を終えて韓国に帰国していた時に、公式コンテンツの中で1フレーズだけ口ずさんでいた曲だった。
たった1フレーズだけだったが印象に残る曲で、そこそこKPOPの知識がある私だが何の曲なのかわからなかった。
推しが再び長期公演で新大久保へ来た時、サイン会で推しに直接質問した。
「あの動画で歌っていた曲は何ていう曲?」
推しは突然の質問に驚いた様子で、アタフタと動揺していた。
そして少し恥ずかしそうに「달빛 천사です」と答えた。
「たるぴっ ちょんさ?」
グループの名前なのか曲のタイトルなのかわからず、訊き返す私に推しは「アニメの、、、」と恥ずかしそうに説明してくれた。
「歌詞が好きで、、、」と、もじもじしながら答える推し。アニメの曲だから恥ずかしいのかな?と思いながら、私はうんうんとうなづいた。
帰宅して、달빛 천사をネットで検索すると、YouTubeで動画がたくさんヒットした。
セーラームーンに似たキャラクターの女の子のアニメだった。
なるほど、推しが恥ずかしそうにしていたのは女の子向けのアニメだったからか、と微笑ましくて思わず笑ってしまった。
検索でヒットした動画を再生すると、アニメのオープニングテーマ曲の動画だったが、推しが歌っていた歌では無かった。
そのアニメの曲はいくつかあって、その中の一つ、エンディングテーマ曲の『Love Chronicle』というタイトルが推しが歌っていた曲だった。
달빛 천사について調べてみると、日本の少女漫画「満月を探して」が原作のアニメで、そのテーマ曲はとても人気があるようだ。
(달빛 천사は直訳すると月光天使)
推しにはお姉さん1人がいて、おそらくお姉さんと一緒にこのアニメを見ていたのだろう。
自他ともに認めるシスコンの推し。
お姉さんのことが大好きで、「僕のお姉さんはとても優しい人」だとよく言っていた。
推しが年上の女性ファン受けが良かったのは、お姉さんの影響なのかもしれない。
本人は無意識だろうけど、年上の女性に対する接し方がとても優しかった。
翌週、公演を見に行った時にサイン会で推しに「달빛 천사の動画を見たよ。素敵な曲だった」と伝えると、推しはパァっと笑顔になって「どっちですか?日本語バージョン?」と身を乗り出して質問した。
韓国語の方だと答えると、うんうんと笑って달빛 천사の曲は全部好きだと楽しそうに話す推しがとても可愛かった。
その頃は、すっかり打ち解けて話せるようになって、定型文ではない会話が出来ることがとても嬉しかった。
推しはファンを拗らせる妙な魅力の持ち主で、拗らせたファンに怒られたり泣かれたり、最初の頃はその対応に疲弊していた。
だから私は、毎回どうやって推しを笑わせることが出来るかな、楽しい会話が出来るかな、と考えてばかりいた。
そして私は一つのアイデアを思いついた。
滅多に手紙を書かなかった私だが、長期公演の最後など、何かの折には推しに手紙を書いて渡していた。
おばさんからの手紙なんて嬉しくもないだろう、と考えていたけれど、推しはいつも「嬉しい、ありがとう」と言って受け取ってくれた。たとえそれが演技だったとしても、私は嬉しかった。
私が思いついたアイデアは、手紙に달빛 천사のキャラクターの絵を描くという、まぁ、、その程度のものだ。絵を見て笑ってくれたらいいなと思って。
お手本となるアニメのイラストを見ながら、描く練習をした。
描いたのは、この↓ウサギと猫のキャラクター。見た目が可愛らしくて描きやすそうだったのが理由だ。
何度も練習をして、下手なりに何とかそれらしく描けるようになった。
そして、手紙を入れた封筒の表にイラストを描いて準備した。
その日の公演は盛況で、特典会も人が多かったような気がする。推しの列はいつも1番長かった。
前に並んでいる人がチェキにサインを書いてもらっている間、少し緊張した。
笑わせたくて描いたイラストだけど、反応が薄かったら恥ずかしいな、、と手紙を渡すことに怖気付いた。
前の人が終わり、私の順番になった。
推しの前に座り、これ、、と手紙を渡すと、推しは封筒に描かれたイラストを見てグフフフと崩れ落ちた。
期待以上の反応でウケてくれて、私もクスクスと笑った。
推しは封筒のイラストを指さして、「これは、タクトとメロコです」とキャラクターの名前を教えてくれた。
そんな他愛もない会話が何より幸せだった。
つづく。