初めてのヨントンの思い出② 2023/01/09
〜2021年に解散した韓国のアイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜
ヨントン(オンラインサイン会)の2日目。
初日に2番目の推しとヨントンをしたことにより、そんなつもりは無かったけど結果的に良い予行練習のようになったようだ。
2推しのファンである友人から「2推しは予行練習だね」と言われて、そういうつもりじゃ無いけど、、、という言葉を飲み込んだ。
彼女の言葉は、時々チクっと刺さる。
深い意味は無いだろうと思うけれど。。
2日目も初日と同様に自宅の寝室でヨントンを準備した。
パソコンのカメラでどんな風に映るかを念入りに確認して、ごちゃついた部屋が見えないような位置にセットした。
ヨントンの開始時間になり、事前に配布されたリスト(申込番号が記載されたもの)の順にスタッフから連絡が来るのを待った。
前日の様子から予想して、私の順番は開始後40分〜1時間くらいだろうと当たりをつけた。
トイレに行ったり、鏡を何度も確認したり、正直言うと初日の2推しとはまた違う緊張感があった。
予想時刻を過ぎても、スタッフからは何の連絡も無かった。
少しずつ緊張が焦りに変わる。
もしかして順番を飛ばされたのではないだろうか、、。
不安になってスタッフに問い合わせのLINEを送ると、予定よりも遅れているが順番がきたら連絡しますとすぐに返信がきた。
しばらく待っているとスタッフから連絡が入り、指定されたzoomのアドレスに接続した。
スタッフの説明の後にまた少し待っていると、『制限時間は5分です。では開始します』とスタッフの音声が入り、画面が切り替わった。
ずっと会いたかった推しが、そこにいた。
推しは画面を見て、「わ〜〜、ハルさーん!!」と笑顔で手を振っていた。私も嬉しくて、「推しくーん!!」と画面に向かって手を振った。
しばらくお互いに画面を見ながら手を振り合っていたが、突然推しが手を止めた。
そう言いながら推しは画面に向かって顔を近づけて、私の顔をじっと眺めた。
画面いっぱいにアップで映る推し。
推しの画面にはどのくらいの大きさで私が映っているのかわからないけど、あまりにじっと見るから恥ずかしかった。
最後のクリスマスコンサートの後、私は髪を切った。
それからこの日まで10ヶ月が経って、ショートから肩上のボブになっていたのだが、推しの記憶の中の私は肩下のボブだった。
ヲタクの髪型を覚えているなんて、何という記憶力だと感心すると同時に、そうやって髪型の変化に気づいてくれるところは、昔のままで嬉しかった。
そして今更という感じもしたけど、「推しくん、デビューおめでとう」と伝えた。
デビューして半年、ようやく伝えることが出来た。
推しは一瞬、キョトンとしていたけれど、照れ笑いをしながら「グフフ。ありがとう」と言った。
この笑い方、変わってないな〜と懐かしさが込み上げた。
5分の通話時間。
私は事前に話すことを考えていたのだけど、緊張と高揚感ですっかり頭から飛んでいた。
推しは「だいぶ日本語を忘れちゃったから緊張する」と言っていた。
「私も韓国語を勉強しようと思ったんだけど…」と言いかけると、推しはニヤリとして、
「けどぉ〜?」と意地悪そうに笑った。
私はえへへへと誤魔化した。
まるでSHOWBOXに戻ったようなやり取りにホッとする。
そして、推しは画面に顔を近づけてじっと見ながら「ハルさん、後ろにあるのは、、?」と質問した。
私の後ろの棚にある物を、指さす推し。
私は、棚の上にあるコーギーのぬいぐるみを手に取って、カメラの前にアップで映した。
推しは、そう言って笑った。
(ココは私の飼っていたコーギー犬)
ココのことを覚えていてくれたことが嬉しい。
推しがそう訊いた。
ココが亡くなっていることは、まだ推しには伝えていなかったから、「ココはいま寝てるよ」と答えた。
推しは、そう言って笑った。
それにしても、、
棚の上の小さなコーギーのぬいぐるみが見えるほど、大きな画面で見ているのだろうか。
そんな疑問が頭に浮かぶ。
てっきりスマホの画面で通話をしていると思っていたが、タブレットでやっているのかもしれない。
言いたいことも、訊きたいこともたくさんあったし、事務所への不信感や不満、そして日本のファンに対する彼らの対応への失望…、様々な思いが自分の中で渦巻いていたけれど、いざ推しを前にするとそんなことはどうでもよくなっていた。
デビュー前と変わらない推しとのやりとりに、私は幸せで満たされた。
制限時間の半分ほどが、そうして過ぎていった。
続く。