女という人♯2「繋がる、揺るがないもの」
芯のある、自分を大切に出来る人に感じた。
中央線の賑やかな街に大阪から越してきた彼女は、まるで前からその街の人みたいな雰囲気で私を自宅まで案内してくれた。
笑うと目尻がくしゃってなって優しいラインが出来る。それが可愛い。
一見、ツンとした顔立ちなのに笑顔は人懐っこくて、なんか猫っぽい。
ふるーいアパートは風呂なしトイレ共同。
窓ガラスは昔のままの柄の入ったやつ。分かる、私も好きだ。
部屋のいたるところに可愛いキャラクター達やフィギュアが住人のようにいて、その様子が楽しそう。
自分が好きなものが明確で、それに囲まれている彼女は満たされているようだった。
スカスカの本棚から、さあ!これからたくさんの好きな本に出会ってここに入れるんだ!という強い意思を感じたので、思わず笑う。
そういう意思よね?と尋ねると、そうなんです!本棚は組みたてたばかりで漫画はほとんど置いてきてて‥なんて説明をしてくれる。彼女の“本棚を埋めるぞ”という意気込みに二人で笑った。
3年付き合ってる彼を地元において、単身引越し。(おいてきた、なんて言ったら失礼な気もする)
彼女からは"彼とは繋がっている"という揺らがないものを感じた。
例え関係に終わりがきても、大切な気持ちにや愛情は変わらないっていうことが揺らがないのかもしれない。
"おくりびと"は彼女がしていた仕事だ。
綺麗ごとなんかじゃない部分の、人間が表には見せない部分の、それを処理する。
肉体って美しいけれど、それは外側のことだ。肉体はそれが生きていた証として様々な物質を出すし、内側は外側の美しいとは違う。
彼女から出る不思議な優しさは、そういえば風俗で働く女性達と似てるところがあることに気が付いた。
人の肉体の裏側を知る人はどこか独特な優しさを持っていたりする。
それに似ていた。
女という人:ASUKA WATANABE
撮影.文:SAKI OTSUKA