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大塚 篤司
2020年10月6日 07:06
その男の子はお母さんに抱きついたまま大きな泣き声とともに診察室に入ってきた。怯えた瞳を少しだけこちらにみせ、すぐにお母さんに抱きつくように反対を向いてまた泣き出した。「お湯を手にこぼしちゃったんです」心配そうな母親の表情。ぼくはできる限りやさしい声色を心がけ、静かにその子に話しかけた。「痛いことしないから見せてくれるかな?」看護師さんが穏やかに「大丈夫よ」と応援にはいる。