アンチと水族館〜神戸須磨シーワールド騒動に際して〜
2024年6月1日。神戸須磨シーワールド開業。
開業までの間、様々な問題があったそうです。
そして今、水族館は岐路に立たされていると言えるでしょう。
アンチのアンチ
予め断っておきますが、私は水族館のアンチでは無いですし、「飼育個体を自然に逃がせ」等と無謀なことは言いません。寧ろ、そんな無理難題を押し付けるアンチは今すぐ止めるべきだと思います。
たとえ個々のアンチが無力でも、大勢いれば十分危険です。水族館の問題に限定せずとも、危険なアンチが多すぎて、「言論統制した方がマシじゃないか」「表現の自由なんて要らないのでは」とさえ思える場面もあります。
以前、水族館のイルカやシャチの投稿にアンチコメントしてた者と話したのですが、そのアンチは「動物園や水族館は絶滅危惧種を殆ど飼育していない」「誹謗中傷は事実には適応されない」等と言っていました。
当たり前ですが、動物園や水族館では絶滅危惧種も多く飼育しており、それらの保全という役割も担っています。また、誹謗中傷は事実に対して適応される場合もあります。批判と非難と誹謗中傷は紙一重です。
そのことを指摘しても、既読無視で返信が来ない。しかし、相変わらずアンチは続けている。事実を伝えただけで完全に論破されているのに、往生際の悪さだけは超一流。考え方の違い以前に、迷惑でマナー違反ですし、常識が無さすぎる。水族館に対して、偏った否定的な側面でしか捉えられていない。
こういう人達って、何してても批判・非難してくるんでキリが無いんですよ。動物を繁殖させたら「囚われの身になる動物が増えてしまって可哀想」と言ってくるくせに(新たな命を祝福出来ないのも病的だが)、繁殖を制限するために雌雄を隔離すると「一緒に居れなくて可哀想」と言ってくる。また、たとえ、動物の野生復帰のための移送や保護区への移送でも「動物に負担がかかる」と言ってきて、野生復帰のための訓練や、躾でさえ「動物虐待」と言ってくる。
この人達は、動物を幸せにしたいんじゃ無くて、動物園や水族館を否定したいだけなんです。そうとしか考えられないくらいタチが悪すぎる。「動物を幸せにする」という目的のための、幾つも想定される手段そのものが目的と化し、手段に固執している。目的と手段がすり替わっている。しかも、その手段は非現実的で不適切。
さらに、その主張に対する根拠も無茶苦茶。地震のたびに「人工地震」とか言ってる奴や、コロナ禍の最中に「マスクを外せ」と言っていた奴と同類です。カルトか陰謀論か何かですか?
そして、アンチ共は、自分達が正義の味方であり、動物園や水族館を悪そのものだと考えている。「自分が悪いことをしている可能性がある」という自覚すら持っていない。自分の主張のために暴力的な手段を取る、ただのテロリストです。
動物園や水族館の問題点も理解し、そのうえで、動物を愛で、今後の在り方を考えるため、動物園や水族館に通うことを選んだ人も居るのです。「人間が動物を見て楽しむのは一時、動物が飼育されるのは一生」と言う人も居ますが、生涯を通して動物園や水族館に通う人も居るのです。そのような愛好家が、迷惑で不快なアンチを見て、どんな思いになるかも想像してみるべき。そして、そこまでしてアンチを実施する必要性と正当性、合理性を再考すべき。
動物園や水族館は、動物のために責任を持って接するべきですし、色々と頑張っているはずです。飼育員をはじめ、動物園や水族館は頑張っているのに、その努力や意思さえもアンチ共によって否定されるのは酷でしょ(今から勉強しようとしている子供が「勉強しなさい」と言われるとヤル気を失って不快感を抱くのと同じです)。
動物園や水族館に対して、どんな感想を抱くかは個人の勝手ですし、動物園や水族館側に問題が全く無いとは言えないでしょう。しかし、過激な感想や意見を他人に押し付けるのなら、相応の処罰を受けるべきです。また、動物園や水族館のスタッフや、それらの施設に行くことを選択したファンを守る上でも、過激で無知で野蛮なアンチや過激派への対処は必要不可欠です。
(動物園や水族館の役割に関して、詳しいことは以下の記事に載せています。)
アンチを煽る水族館
ただ、この状況において、アンチを煽るような言動を取っているのも水族館。ここ最近で言えば、特に、鴨川シーワールド、神戸須磨シーワールド。もっと言えば、個々の水族館の飼育員では無く、それらの親会社であるグランビスタ。アンチもアンチだし、グランビスタもグランビスタ。どっちもどっち。火に油を注いでいる。
「うちの施設は動物第一で運営しています。アンチされる筋合いは一切ありません。」そう言い切れるよう、動物福祉に最大限に配慮にする必要があるのに、一連の言動はアンチを逆撫でしている。
「大きい」「賢い」「群れ(家族)で暮らす」「行動範囲が広い」これだけ飼育が難しい条件が整っているのに、イルカやシャチの扱いがお粗末に思えてならない。シャチの家族を引き離してまで須磨に移送するわ、(ドルフィンセラピーとかなら まだしも)そこまで広くないホテルのプールでイルカとの触れ合いさせるわ。
特に、シャチに関しては、所有権の関係で名古屋港水族館からステラを連れ去っているし、鴨川シーワールドのシャチも、大した説明も無く、問答無用で引き離している。鴨川シーワールドのシャチに関しては、動物事情(ラビーの妊娠?)への対応の遅れ等、色々と問題がある。
おまけに、須磨シーワールドのシャチプールやイルカプールは(写真や動画を見る限り)、名古屋港水族館とかと比べると(1つ1つのプールは)あまり広く無さそうだし(シャチのプールは奥行きが小さそう)、なんか展示コンセプトが鴨川シーワールドと似すぎている。
(現実的に難しいのでしょうが、プールに関しては、出来れば今の2倍の面積は最低でも欲しかった…)
運営の専門家でも無いので、あまり偉そうには言えませんが、素人が見ても、グランビスタの運営体制には問題がある気がしてならない。
ただでさえ、イルカ漁問題とかの影響で、鯨類の飼育には慎重な意見が多いんだし。国によっては、水族館のプールよりも広大な保護区を作って、そこにイルカやシャチを住まわせている国もあるくらいです。
保護区を整備するにしても、環境への影響や、動物の移動のリスクも考慮する必要がありますし、日本の現状を踏まえると、そこまでしろとは言えません。しかし、せめてアンチを黙らせるため、ファンのため、何より動物のため、状況を改善して欲しいです。
イルカショーに関しても、娯楽目的のみでは無く、健康管理(例:イルカが指示を理解しておくことで、有事の際に治療等を施しやすくなる。普段どのくらいのことが出来るのかを把握することで、健康状態を評価しやすくなる。)や運動不足解消といった目的や、イルカ側へのメリットがあれば、別に全否定はしません。娯楽と金儲けしか頭に無く、イルカ側のことを全く考えていないのが問題なわけで。
動物にとって、広大で放任主義な自然界で厳しい生存競争の中で生きるのか、それとも、少し狭い場所で、愛情と責任を持って飼育されるのか、どちらが良いかは分かりませんが。
(自分は後者の方が良いです。少し狭くても良いので、殺し殺される生存競争は勘弁して。)
需要の問題
また、調べた限り、神戸と名古屋は意外と近い。交通費を貯めて、早起きして始発で行けば、在来線でも普通に昼前には名古屋港に着く。名古屋港でシャチを見る時間も十分ある。始発で名古屋港に行っても、満喫するには時間が足りないのは、兵庫県北部や中国地方あたりだと思われますが、経済的なことだけを考えると、兵庫県北部や中国地方に、そこまでシャチの需要があるのか。
さらに、「須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業認定公募設置等計画(概要)」によると、将来的にベルーガを飼育する計画を匂わす記述もあります。イルカ棟とシャチ棟の間の広場に、ベルーガシアターを作るみたいです。しかし、それこそ需要があるのか。中国地方の人や西日本の日本海側の人がベルーガを見に行くのなら、島根海洋館アクアスで良くない?
動物園・水族館は多くの役割を担っていますが、その中でも、動物の保護機関としての役割が最も優先されるべきだと考えております。ベルーガの飼育・繁殖によって、種の保全に貢献するのであれば良い(もちろん動物福祉への配慮は必要)のですが、他の水族館への対抗意識や、集客目的だけでベルーガ飼育を計画しているのなら止めて欲しい。
この計画書には、生物の福祉やQOLに関する記述もありますが、何処か経済効果や資金関連の記載、効率化に関する内容が多い印象。
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/8692/20240308.pdf
(割とファイル重たいです…)
レストランとシャチ
加えて、神戸須磨シーワールドでは、水中のシャチを見ながら食事出来るレストランを売りにしている。動物愛護団体からの「水槽のシャチを見ながら食事するのは悪趣味」という批判を差し引いても、シャチが気になって食事に集中出来なさそう。シャチの方も人間が気になりそうだし。
おまけに、レストラン代(大人4000円らしい、高い。)を払わなければ水中のシャチを見れない(スタジアムの観客席からも少しは見えるが)のは、水族館で食事を取らない場合、どこか損した気分(そういう経営戦略?)。
入場料の問題
まだ実際に行ったことが無いので、神戸須磨シーワールドの現状が分からない。実際に見てみないと分からないことも多いので、それを確かめるうえでも須磨に行くことは考えたのですが、なんせ入場料やレストラン代がシンプルに高い。
Web販売による事前予約にせよ、チケットが高いうえに、当面は混雑が見込まれるので、実際に現地に行くのは厳しいかもしれません。
終わりに
自分は水族館に行くことはあるし(なんなら水族館は割と好きだし)、水族館の是非に関しては、割と中立的な立場だと思います。生存競争の厳しい自然に飼育個体を返すのは無理だし、保護区を作るのも難しい。また、水族館は多くの役割を担っており、水族館を廃止することは出来ない。しかし、生き物を飼育する以上、責任を持たなくてはならない。
ちゃんと考えることが出来ない人、平気で他者を傷つける人(アンチ)も居れば、適切な対応が出来ない人、煽る人(会社)も居るし、いつも理不尽に遭う人(動物やファン)も居る。
人間社会の縮図ですよ。
今回の記事に関しては、批判や非難というよりは、ただただ疑問です。
大丈夫か、グランビスタ。
大丈夫か、水族館。
そんな思いもありますが、とりあえず、動物飼育や動物福祉の在り方が今後どうなっていくのか確かめていきたいと思います。
神戸須磨シーワールドが良いとか悪いとかいう問題じゃなくて、もう互いに辞めにしましょう。
動物園や水族館の飼育員やファンを攻撃・否定するのも、会社の金儲けと娯楽だけを考えて動物を使うのも。
今後の動物福祉の発展への祈願を込めて。
責任と愛情を持って動物に関わってくれる人が居る限り、大丈夫だと信じて。
【追伸】
行っておきたい気もしますが、なんせレストラン代が高すぎる。どうしよう。