足関節捻挫に対する鍼灸治療
スポーツをしていてもいなくても、日常生活のちょっとした事でよく足の捻挫をしてしまうものです。捻挫の症状のレベルと原因、治療法をご紹介したいと思います。
「捻挫の程度」
捻挫の症状の程度を判断する際に活用してください。
Ⅰ度・・・(軽症)
靭帯が伸ばされただけで、腫れや運動痛を生じない。体重をかけて痛みがなければプレー可能。テーピングが大事。
Ⅱ度・・・(中症)
靭帯の部分断裂であり、ある方向に動かすと痛い。腫れて、皮下出血がある。中症を軽く見る傾向があるので、しっかり治すべきです。捻挫後、患部を圧迫し、心臓より高く上げて冷却します。(痛めた関節を、氷水の中に15分~30分入れて冷やす。)
翌日医療機関を受診すること。甘く考えないこと。しっかり治さないと後遺障害を残すことが多い。
安静は24時間から48時間
Ⅲ度・・・(重症)
靭帯の完全断裂で関節の異常可動性を生じます。靭帯断裂の臨床診断は、圧痛の位置、腫れの程度、皮下出血の有無、異常可動性の有無などにより総合的に判断します。圧痛の位置が外側靭帯部に強く、腫れも強く、皮下出血が外踝下縁に出現し、前方引き出しでの異常可動性や終末時抵抗の消失が認められれば、靭帯断裂と考えます。
現場では、患部を圧迫し、心臓より高く上げて冷却します。
(凍り水の中で徹底的に冷やす)圧迫したまま、医療機関で受診する。)
靭帯断裂の場合、治療的には、ギブス固定、機能的装具療法、手術療法と大きく3つに分けられ、8週間から10週に競技復帰を目指して治療を行います。
靭帯損傷の時、神経終末部を損傷しているので、後遺症として、外果(外踝)痛みと足関節の不安定感でます。
「原因」
内ひねりの内反捻挫と外ひねりの外反捻挫に分けられます。
・内反捻挫では、外側靭帯損傷される。
・外反捻挫では、内側靭帯損傷される。
「鍼灸治療」
始める前に次のことを確認します。
1.患部の発赤、腫れ、熱感
2.関節捻挫の新鮮例で重症度がⅡ度以上のもの。
3.疲労骨折はないか。
4.急性のコンパートメント症候群
医師の診断が必要
足関節捻挫の新鮮例ではRICEが優先されます。RICEについては「関節の痛み」のページを参考にしてください。
怪我をしてからの時間や重症度などを考慮に入れ刺激量は細心の注意を払います。
・治療は、熱感が鎮まった頃から開始します。
・疼痛の緩解と消炎効果を第一の目的として、次にリハビリテーションを効果的に行い、より早い競技復帰を目的に行います。
・具体的には関節周囲や外傷・障害部位付近の筋緊張の緩解、関節可動域の改善、腫れの早期回復などである。治療部位は外傷・障害部位だけでなく足全体や腰部まで含まれます。
・灸は糸状灸、知熱灸を受傷部を中心に幅広く行います。
足関節捻挫では疼痛や腫れの緩解はよく認められる、可動域の改善には日常のリハビリテーションとの併用が大切です。