対面キッチンはいらない
対面キッチンにしたとしても、
こどもに視線を向けるのは難しい。
なぜ、対面キッチンを選択しなかったか?
不躾な問いに、そう答えてくれたのは、
外壁側にキッチンを設えることを
選ばれた住まい手。
キッチンに立つ視線の先には、
大きなピクチャーウィンドウと
窓に合わせて植えた溢れる緑。
ダイニング側には、
造り付けられた作業台はある。
けれども、
作業台の上には何も置かれてなくて
下の棚に、家電もすっぽり納まっている。
・
彼女はこう続けてくれました。
対面キッチンにしたとしても、
子供にそこまで目を掛けれない。
そんなに器用じゃないからかなぁ。
・
確かにそうかもしれない。
炊事をしながら、
包丁をにぎりながら、
なおかつ、
リビングに気を配ることは
容易ではなくて。
それよりは、お母さんが景色に癒されて
子供たちを叱らなくて済むような
穏やかな気持ちになれる。
お母さんの背中を目で追いながら
子供達は、お母さんの背中に語りかける。
小気味よく刻まれる包丁の音。
漂う美味しそうな香り。
みかえり美人のように振り返る
お母さんの笑顔は宝物。
食育なんて造られた言葉とは別の世界で
親子の関係は、こうも多様で頼もしい。
もっと、ここにしかない在り方で
ここにしかないコトをデザインしよう。
決まりゴトなんて、ないんだ。