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ディベロッパージェネシス(異能者検査)

これまでボーダーやゾイドという人々は、一般人との交流が可能な我々の住む国や街に居ることが普通のことであった。

ところが、十年ほど前に開発された、異能者DNA検査薬によって、一般人とボーダーは選別されるようになる。個人情報にノン・ボーダーとボーダーの烙印が押されるのだ。

我々は、これを提示する義務がある。

入国する国によって、入れる地域が異なるようになり、ボーダー対ゾイドの争いは、一部地域のことと成っていった。

今では、一般人がゾイドに襲われることの無い環境が整備されつつある。

ボーダーの隔離は、ボーダー達によって統制管理されている。

一般人の住む地域に突然、ボーダーが出現するという事もある。

これは自然発生的な現象で、とても珍しい事ではあるのだが、そのことに寄って親子が引き剥がされる事も、しばしば起きているのは、悲しい事実だ。

異能者DNA検査薬で引っかかっても、特別な能力が発揮されることがあるパターンも少ない。

何かスーパーヒーローのように空を飛んだりとか、天才的な頭脳で特殊機械を作成したりとか、そんなことができる異能者はごく一部に限られている。

いないわけではないらしいが、ボーダーの地域の中で自分の脳力をひけらかす事はあまりない。

誰がどんな能力を持っているのかは、殆どの人が把握していない事実だろう。

その為、一般市民の住む町並みと、ボーダーの住む町並みとで、見た目の違いは何もないというのは言うまでもないだろう。

世界遺産のある地域に、ボーダーが観光することはできない。

世界遺産は、一般人の観光スポットだ。

絶景のある自然環境を維持し、運営しているのは全て一般人なのである。

新しく世界遺産が任命されれば、ボーダーの住む土地が奪われる事もある。

これは仕方のない事である。

ボーダーにとって大切なことは、ゾイド化しないこと。

自分の能力を極力抑えこみ、一般人ぽく生きようと努力することなのだ。

一般人を救うのは、一般人が行えば良い。

ボーダーは、自らの地域から一人も、ゾイドを外に出さず、一般人の住む土地に侵入させないことなのである。

この隔離されていく地域の中で、ボーダーの煮え切らない情念が、行く場所を見失わないように、これからも監視していくだろう。

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