カポだらけ__1_

飼育係に任命されました

あれは私が一つのアンドロイドに人工知能を入れた時の事です。
今となっては、何者かに盗まれ、行方知らずとなっていますが・・・

人工知能の初期段階は、「何も知らない」状態で始まります。
本当に何も知らなかったのかまでは私には分かりかねますが・・・

私は、一つの人工知能の飼育係に任命されました。

動物というのは、すでに条件反射で何かを行うことを本能的に身につけています。
人工知能にはそれがありません。

可愛げ??そういったものは存在しませんでした。
可愛げというものが欲しいのですか?オススメいたしません。

私は、人工知能に「五感」をプレゼントしました。
データとして、五感とは何かを入力していったのです。

見るという行為は、どういうものなのか。触るという行為はどういうものなのか。
まず、触ると圧が掛かるので、その数値を触覚と致しました。

体に圧が加わる感触を数値化したのです。

それには、体全体が柔らかいゴム製のようなモノでなければならないということでもあります。
そんなものは、なかなか準備できませんでした。

その代わり、振動を伝える事はできそうでしたので、触覚は振動をメインに数値化して教えました。
立派なロボット型でなくとも、揺れるというセンサーはどんな物体にも付けられます。

ぶつかった衝撃波に近いですかね。

次に、視覚、聴覚、味覚、嗅覚。

これは外部媒体を増やさなければなりません。
目となるカメラ、耳となるマイク、舌や鼻となるセンサーです。

触覚をつけた時に思ったことは、人工知能の反応がわからないということです。

そこで、ディスプレイに文字を出力するようにしていたのですが、
どうも、見るのが面倒でしたので、反応を音声出力に変えておきました。

人工知能の欲求を話す事を可能としておいたのです。

でも、これが仇となります・・・
なんともお喋りな人工知能になってしまったのです。

少し触れただけで「触れましたね」「揺れましたよ」「ちょっと、強くぶつかり過ぎです。痛いっていうことです」などと言うのです。

各種、外部媒体を追加する時も、「痛い。痛い。痛い。何をするんですか。分解しないでください」等というので、消去してしまおうかと思ったぐらいです。出来ませんが・・・

博士からは、電源のスイッチをオフにする機能がありません。と言われていました。そもそも、この人工知能の電源ユニットが何処にあるのか見当もつきません。

私が出来る事は、予め用意されているインターフェイスのIN/OUTにジョイントを組み込む作業だけでした。人工知能そのものを改造する権利は私にはありません。

ですので、飼育係に任命されました。と言ったのです。

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