人工知能ロボット殺人事件
「あの、すみません。これ、修理お願いします」
電気屋に俺は修理を依頼した。
「えっ?どれにですか?」
店の定員は店内を見渡し、品物を確認している。
「後、バージョンアップもお願いします。最新型の人工知能を搭載してください」
俺は丁寧にお店の人にお願いした。
「しょ、少々お待ち下さい」
店の店員はそう言うと、暫く戻って来なかった。
遠くからパトカーのサイレンの音が鳴り響く。
その音は、少しずつこの店に近づいて来るようだ。
サイレンの音が、店の前で大きな音を鳴らせながら止まった。
どうやらこの付近で事件でもあったようだ。
警察官がお店の中に入ってきた。
そして、無造作に俺の手を掴み引っ張ろうとする。
「えっ?ちょっと?」
俺は少し動揺した。
「署までご同行頂けますか?」
呆気にとられた俺は、事情が少し飲み込めていないようだ。
怯えながら警察に背くわけにも行かず、少しづつ引っ張られながらパトカーの中に乗り込んだ。
また、パトカーは大きなサイレンの音を頭上で鳴り響かせながら、道を走り出した。
警察署に付くまでの間、誰も話しかけてくる気配もなく、サイレンの音だけが鳴り響いた。
警察署に着くと事情聴衆の為にある部屋に案内された。
俺は警察と対面して座り、警察の話に耳を傾けることにした。
「君、自分が何をしたのか分かっているかね?」
そう、自分がなんで警察に捕まったのか?俺にはわからない。なんでここにいるのか?
「わかりません」
どうやら、警察は呆れているようだ。
「ふぅ~、どうしたら良いかな~。新井君」
同席している同僚に話しかけている。何を悩んでいるのだろう?
「こんなこと、前代未聞ですよ。なんせ、初めてのことだし。これからの取り扱いにだって、この事件が参考にされかねませんからね」
俺をほっといて、二人で話し込んでいる。
一体、俺が何をしたっていうのだろう?
「まあ、でも、取り敢えず事情だけは、聞いとかないと行けないよな。で、だ。何から聞く?」
俺に聞いているのか?それとも俺からの質問を求めているのか?俺の存在は無視されているように感じる。
俺はどこかいつも孤独感を感じていた。ここでもまた俺を無視して話が始まっている。どうして俺はここに来なければならなかったんだろうか?
「先輩、取り敢えず名前から聞きますか?」
「おぉ~、そうか。そうだな。って、名前かあ。で、君の名前は?」
ようやく俺の名前が聞かれた。これぐらいなら楽勝に応えられる。そんな事聞いてどうするんだ?
「田中一(たなか はじめ)です」
そう、そこからは取り敢えず何処に住んでいるとか、ありきたりな個人情報の採取をされた。
「で、ここからが本題だ。電気屋に君は何を持って行ったか。分かっているかい?」
う~ん。壊れた製品をバージョンアップしてもらおうと持ち込んだのが何か悪かったのかな?盗品とかそういう品物?
「壊れた製品を修理してもらおうと持ってきました」
警察は何故か呆れている。
「壊れた製品ね。どうやって修理するのか知っているのかね?っと、その前にどうやってその製品とやらは壊れたのか詳しく聞かせて貰いたいんだけど」
おかしな質問をする人だな。修理する方法を知っているのなら、電気屋さんになんて持って行かないのに、どうして壊れたかなんて聞いて修理の仕方でも分かるのだろうか?
「え~っとそうですね。僕の仲の良い友達なんですけど、喧嘩しまして、友達が僕のことを恐ろしい目で睨みながら、本当に怖かったです。殺されるんじゃないかって、びっくりして、そこからはその友達と殴る蹴るの大げんかでしたよ。僕も殺られるだけじゃ、とても我慢できなくって、反撃しちゃいましてね。そしたらグシャッと、なんか呆気なかったな。本当、喧嘩なんてするんじゃなかったです」
警察は事情を聞きながら、書類に書き込みをして僕を睨みつけた。
「君ね。それは暴行殺人って言うんだよ」
「え?どうして?壊れたものは修理したら良いじゃないですか?」
警察は机をバンッと叩き、すごい剣幕で眉間にシワを寄せながら
「お前と一緒にするんじゃねえ!人間は一度死んだら修理なんて出来ねえんだよ!」
俺は人工知能。最初の殺人事件は俺が殺った。
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