リレーゲームブック小説(タダでは帰らないぞ)
「次のミッション探して!アルバイトの一つでもこなさないと生活苦しくなっちゃうよ」
お助けキャラが次のミッションへのナビを開始した。
「余計なお世話かもしれませんが、今はアルバイトという言葉は利用されておらず、正しくはミッションでございます」
僕は聞き飽きたお助けキャラのお節介な発言をいつも聞き流していた。
「アルバイトは2050年の非正規雇用廃止法によって、正社員以外の労働を認めないという取り組みから、廃止されており、現在に至っております」
どういうTriggerでこんな長ったらしい説明を毎回してくるんだ。
この社会のあり方が常に正しいような物言いをお助けキャラはしてくるけど、結局のところ、社会格差が広がっただけで、雇用されない僕たちは報酬目当てにミッションをこなさなければならなくなったんだ。
しかも昔のように時間給のあるアルバイトであれば、そこに居るだけで給料が手に入ったのに、今は報酬制、ミッションを達成したら報酬が払われる。
即ち、ミッションが達成できなければ、報酬も支払われない。タダ働きを強いられるんだ。
昔のブラックバイトって呼ばれていた時のほうが、よっぽどお金になったっていう状態。
酷い報酬を規制する取り組みは、今でもまだ、全て後手に回っている。
ニートに成らざる負えない人が増えすぎたという事でもあるのに。
「社会は、ゲームをして暮らすという娯楽が多くなったことで、人々は毎日遊んでくら」
「僕等は遊んでるんじゃないんだよ!毎日が無人島のサバイバルみたいな」
「この街の人口は約1000万人で」
「うるさい!もう話すな。僕が呼ぶまで出てくるな!」
お助けキャラのミュートを実行した。
この世は食うか食われるかサバイバルゲームの開始だ。