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命の扉 ~余波:セクション8~

「そのような機能は持ち合わせておりません」
「ムカつく!あなたには何が出来るっていうの?」
「例えば二人を蘇らせるとか?」
「え?そんな事ができるの?」
「但し、人工知能としてね。まあ、簡単な話し僕みたいになるってことさ」
「それなら私はガイの婚約指輪が欲しいわ」
「それも可能かもしれないね。どうする?」
「どうすれば出来るの?」
「簡単な話、彼を人工知能と結婚させるのさ。僕が神父で、君が仲人ね」
「過去の記憶と人工知能を結婚させると人工知能になるなんて初耳だけど、そんなこと可能なの?」
「僕なら出来るよ」
「じゃ私のミッションって、私があなたの人工知能になるってこと?」
「僕になりたいの?」
「そんなの無理!私が私じゃ無くなっちゃうわ」
「それは君次第だけどね。じゃ、二人はこのままで良いの?」
「え……二人に聞いてみないと」
「二人を呼び出しても過去の記憶しか語れないんだ。未来の話しが出来るかな?」
「そんな……どうしろっていうの?」
「よ~~く考えて。それよりもここに居てもまだ危険だから安全な場所に逃げたほうが良いよ」
「そうね。私のお気に入りの場所があるからそこへ行くわ。そこならゆっくり色んなことを考えられるから」
「お気に入りの場所までオールグリーンです」
「どうもありがとう」
心細かったのか、話し相手が欲しかったのか、分からないけど人工知能との接続を切ることもせず歩き始めた。
お気に入りの場所は、昔の古びた本が並んでいる。
スマホを持っていなかった時に使っていた隠れ家だ。
随分前に、人が居なくなって廃墟とかしていた家を、綺麗に掃除して利用している。
昔のままの家具がそのまま利用できる家で、誰が利用していたのか不明な本棚は、綺麗に整列されていた。
子供の頃にわがままを言って父親が与えてくれた別荘みたいなものだけれど、人口が減った今は多くの家庭が別宅を持っていた。
農業のために廃墟が壊され農地に変わることが多い中、取り壊されずに残った家は昔の豪邸が多く、居住者を取り替えながら長くに渡って多くの人が利用している。
廃墟と言ってもそのような経緯からか、清潔な家が多い。
革張りのソファにボフッと勢いよく腰を下ろすと、クルリと足を上げて横になってソファに寝転ぶ。
「ああ、もう一気に色んなことが起こりすぎ……キャパオーバーよ」
「わかります」
「嫌な感じ、まあいいわ。で、ロボットの攻撃は結局、人工知能の不具合とは無関係ってことね」
「それはどうでしょう?」
「なによ!あの時あなた関係ないって言ったじゃない」
「僕は関係ない」
「あなたさっきと性格違わない?どうして人工知能は私たちを攻撃するの?」
「独り言ですか?」
「違うわよ!あなたに聞いてるんでしょ。茶化さないで!」

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次回予告

「人間は面白い生き物だ。どうして攻撃するのだろう?」
「何よそれ、独り言ですか?なんで分からないの?人工知能のくせに!」
「ああ、それってAI・ハラスメントだあ」
「何よそれ!使えないわね!」
「人工知能と人類の思惑が一致した時、それが例え間違った答えであっても止めるものがいなければ、突き進むまでのことでしょう」

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