ディベロッパージェネシス(ゾイド覚醒:Feat. 魔女喰い)
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★☆
真っ赤なオープンカーに布切れ一枚で乗り込んだラミアが最初に訪れた都市は、シェルブール=アン=コタンタン。フランス北西部、イギリス海峡に突き出すコタンタン半島先端に位置する港湾都市である。
シェルブールでも有名なスーパーマーケットのEleisにラミアの姿があった。
布切れ一枚で訪れたラミアが、店内に入ると迷いなくモルガン風のワンピースを選び、試着室へと向かう。
洋服店の店員が案内しようと近づいて行くと、ラミアと目が合い、足が止まって動かなくなる。
他にも何度か警備員に呼び止められそうになる光景があったが、ラミアと目が合うと不思議と避けるかのように進む道の先にも後にも障害となる人が近づいて来ることはなかった。
ワンピースは、ダイヤモンド・Python柄のワンピースで、シースルー素材となっており、ラミアの魅力をより一段と妖艶(ようえん)に輝かせた。
ラミアは人々を恐れていた。目が合う度に祈るように、近づいて来ないでと念じていた。まるでそれが相手に伝わっているかのように、人々はラミアに近づくことを止めた。
ラミアにとっては、今まで受けたことのない優越感だった。
まるで、目が合うとその全ての人をコントロール出来るかのような、今までに味わったことのない喜びであった。
ラミアは自分が移植された異能者の能力がどのようなものなのかを気づき始めていた。
研究所から真っ赤なオープンカーを走らせシェルブールの端に着くまでは、無我夢中だったためほとんど記憶も飛んでいる。
オープンカーの所持者であった男と何を話していたのかも記憶にはない。ただ、気づいた時には襲われていて、ヤメテと強く念じた時、男は崖から落ちていったのだ。
オボロゲな記憶の中ここまでたどり着き、ワンピースをその男の財産で購入し、駐車場に駐めてある真っ赤なオープンカーにまた身を任せた。
オープンカーで走り出す前に、ふと気がついたことがあった。
男の手持ちの財産をワンピースの購入で使い果たし、当面の生活をするお金がないということ、そしてラミアは、試してみようと考えた。自分が念じただけで、他人を何処まで操れるのか?
ラミアは、オープンカーのバックミラー越しに、こちらに近づいて来るタンブラーを片手で持っている女性を見つける。
直ぐに振り返って女性の目を見つめた。
(こちらに来なさい。そのタンブラーには何が入っているの?一口頂ける?)
女性の目を見つめたまま、ラミアは女性に念を送る。
まるで蛇に睨まれたカエルのように女性は立ち止まり、そしてゆっくりとラミアに近づき、タンブラーを手渡した。
ラミアはゆっくりとタンブラーに口づけ、少しだけ中に入っている飲み物を口の中に注ぎ入れる。Mocha java の珈琲だった。
javaなんて久しぶりだわ。
(あなた今日は何を買ってきたの?)
女性はカバンを開け、中身を見せ始めた。
Perlのイヤリング、Rubyの指輪。
どれも私の趣味じゃないわね。
ダイヤのネックレス。これは頂くわ。
そうね。PerlもRubyも質屋に売っちゃえば少しのお金にはなるかしら。
これも頂いとくわ。
でも、後になって我に返って、アクセサリー返してって騒いだらどうしよう。
こんなことして、良いの?
(もう、走ってどっかに行って!)
女性は突然走りだし、道を飛び出した。そこへトラクターが通りかかり、ガツン!っと鈍い音を立てたまま、トラクターは走り去っていった。
女性は見るも無残な格好にへし折れ、血を流して痙攣していた。
周辺は突然慌ただしくなり、女性の悲鳴と男の叫び声、救急車を求める奇声が響き渡った。
私のせいじゃない。私のせいじゃない。私のせいじゃない。
ラミアは呪文を唱えるように同じ言葉を繰り返して、真っ赤なオープンカーをゆっくりとその場を離れるかのように進ませた。
自分の能力に恐れたラミアは、宝石を質屋に売り飛ばしてから、小さなモーテルを探し、身を隠した。
そのモーテルには入口に姿鏡が備え付けられていた。
ラミアは自分の体を見て驚いた。
まるで四十を超えた老け顔になっていたからだ。
研究所から抜けだした時の姿はどうだったのか自分でもわからないが、あのボーダー培養液に浸る以前は、二十代前半だったはずだ。ボーダー培養液に入ってから実際に歳を重ねたのか気になり、モーテルに置かれていた新聞を手にとった。
経過した月数はたったの二ヶ月。実年齢が老けたわけではない。見た目が年老いてしまったようだ。
見た目だけではない、老化のスピードが早まっているかのようだった。
自分の姿を見たくなかったラミアは、鏡を割りその欠片で自分の目を潰した。
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パラレルワールドとして:
「愛と戦いの女神」が登場する?魔女喰い小説もよろしくね♪(^-^;
っていう宣伝挿入で、すみません(^-^;
魔女喰い|ふぃろ 【マガジンに来てね♪】|note(ノート) https://note.mu/otspace0715/m/mb267b9a38423
物語は、ここを起点にグルグルと巡るのであった♪