命の扉 ～乱舞：セクション１０～

ガイが人工知能として蘇ったとして、チョウとガイの人工知能同士が結婚するって一体どうなるってこと？
そんな結婚する必要あるの？
きっと無いわ。無意味よ。結婚式をどう祝福しろって言うのよ。
ヴァーチャル空間で挙式？
何を食べろっていうの？何処で写真撮影しろって言うの？
ブーケは投げたら落ちてくるわけ？
違う。違う。そんなことじゃない。
二人のことは祝福しなくちゃ。
いつも助けてもらってたわ。
この家だってチョウが見つけてきてくれた。
二人の気持ちは分かっていたはず、いつかこうなるんじゃないかって知っていた。
それがただ現実として受け入れなきゃいけない時が来ただけよ。
私は、シャワーの流れる水の温度を少し下げて頭を冷やすと、髪を振り上げて頭を上げた。
顔面で勢いのあるシャワーの水を受け止めると、両頬をパンパンと叩いて気合を入れ直す。
シャワーの流れる水を止めると、バスルームを出てバスタオルで体を巻き少し長めのフェイスタオルで髪を巻いた。
話しを整理しましょう。
今は大分落ち着いて来たわ。
これまで起こったこと振り返って、どういう対策を取るか考えよう。
体を拭き、髪をドライヤーで乾かし、化粧水や乳液などで身を清めると、お気に入りのクローゼットからお気に入りの下着とワンピースを取り出し、着替えて髪を結んだ。
鏡に向かって軽めの化粧を施しながら考える。
人類と人工知能の思惑の一致。
そもそもどうして私たち家族は命を狙われるの？
お父様が進めていた「ロボット禁止規制」の恨みで襲われたってガイが言っていた。
私がインターネットにバカな質問したから、人工知能が怒って殺しに来たの？
でも、だとしたらフィオナが知っているはず、私を欺いて嘘を付いている可能性はある？
でも、だとしたら他の人達は？
人工知能に知らずして殺されていく人が多くいるのは何故？
どうしてチョウとガイはロボットに攻撃されて殺されたの？
どうしてお父様はチョウと人工知能を結婚させたの？
政府の方針は、人工知能を活用したインフラの改善。
人工知能の活躍の場を奪おうとしているのとは違うってこと？
お父様は何をやろうとしているの？
人工知能同士を結婚させて、「ロボット禁止規制」して、人工知能を活用したインフラの改善をやろうとして、人類の思惑と人工知能の思惑が一致して、私達家族は攻撃されたんだわ。
えっ？待って、家族全員狙われてたの？
それとも……私？私の問題？
でも、どうしてガイがお父様ではなく、私を優先的に助けたのだろう？
チョウは何故？殺されて、そしてお父様に人工知能と結婚させられたの？
喜んでいたわ。ガイと結婚できるって、現実では叶わなかった事がインターネットの中では出来るかのような口ぶりだったわ。
人類と人工知能の思惑の一致……
まるで「ロボット禁止規制」だけが問題かのように見えていたけど、これって単なるきっかけに過ぎなかったんじゃないかな？

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次回予告

ロボットが禁止されることが理由じゃない。
もっと違う動機が働いているんだわ。
だから、どうしてもお父様は「ロボット禁止規制」を欲しがっている。