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「奥」


秋の雨音。ポンポン、ツーって細い線が光る空。ひと雨ごとに季節は深まります。窓の外の静かなポンポン、ツーを眺めながら。唇の先で口ずさむ
The blue heartsの「手紙」の2番の頭。

「背骨で聞いている。はちみつの雨〜」確か初夏を迎えた頃を歌っていたのだと思います。はちみつのポテッとした雨が延びる感じとは違うけれど。水飴みたいな細い雨が秋の空から落ちています。秋の雨に初夏の雨の歌を歌う。

初めてこの曲を聞いたのはアン・サリーさんのカバーでした。現役の内科医でありシンガーソングライターでもある彼女は。当時は2児の母親でもあるとウィキペディアにありました。何足もの才能の草鞋を履く人は履くものなのです。

風に吹かれて涼し気に「手紙」を歌う彼女の姿をユー・チューブに見つけたときには。友人が作ってくれたCDで聞いていた声のイメージにピッタリ過ぎて。ため息が出ちゃいました。あんまり自然なため息って現実なのに演技しているみたいでした。そんな絵に書いたようなため息をついたのを覚えています。


秋の翡翠色


真島昌利さん作詞・作曲の「手紙」。目に映る世界の少し奥にある。手探りの場所を壊すことなく自分のことばにするその繊細と勇気。

ことばを音に乗せて。声が奥に馴染む。その自然と揺らぎ。

真島昌利さんのことばを歌うアン・サリーさんと。本家の甲本ヒロトさんと。代わりばんこに聞くこの贅沢な雨の1日。あぁ、利酒みたいじゃないの。

季節は寒露だというのに。まだ、生活のあちらこちらに夏が置きざりです。ホコリのかぶったサーキュレーターに蚊取り線香のお皿。夏と秋のパッチワークみたいでしょ。

この雨が終わった次のおひさまの日には。夏の敷布を洗おう。タオルケットも洗って夏を終わりにしなくては。

更年期 夏の衣替え いと遅し。



How old are you?

















 

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