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「振」
「こんな事あったけど。どう思う?」
ピコーンとアンテナが立ったように身を乗り出したい衝動があったけれど。今夜の私の体はなかなか反応がよろしくないのです。なぜなら昼間、窓ガラスの外側の汚れが気になったので落としにかかりましたが。晴れやかな5月の陽射しは甘くはなかったのです。ゴム手袋ってこんなにも皮膚呼吸を妨げるものだったかな。ちょっと日焼け止めも塗った方がいいかも。そんなこんなひとり芝居のようなベランダ窓ガラス騒動をやってのけての夜のひととき。
私の頭にアンテナが立つような友人の話題がスマホを当てた耳元で囁かれています。いつもながら思うのは彼女の声は夜咄向きだなってこと。耳元の好奇心はこんな事ってどんな事よ。とムクムクと膨らみかけています。
「アンテナの準備完了!話してみて」
最近、寝付くのに時間がかかる日があるという友人。その日も眠っているような目覚めているような。どちらでもない行ったり来たりしている意識でいる時に。尾てい骨から背骨を駆け抜けるように。何かが音をたてて過ぎって行ったのに驚いてしまったらしい。
「地中の蠢きを背骨が捉えた感じ?」
「そうそう。布団のなかじゃないのよ」
友人の現実と夢の境界線上での出来事に想いを馳せてみた。そうです、私の想像力のありったけを使って馳せてみるには。形あるものが音をたてたのでは無く。形なきものの振動を境界線上という特別な場所で。友人の持っている振動が認識した可能性は無いだろうか。昼間の熱を体に残しながら閉じた目の奥に私が見ていたのは。神社仏閣に彫られている龍のウネリ。
天を翔ける龍があるように地中を走る龍もあるだろう。人が眠れぬ夜には思いがけない存在に出逢えたりするのかもしれない。
5月12日午後20:28分。宇宙ステーション希望が広島上空を通過します。この情報はゆきさんのnoteの記事からでした。ゆきさんはけんたろうさんから教えていただいたと記していました。
きっと私のことだから見過ごしてしまうだろうと予想していました。が、なんと見れちゃったのです。希望の発する振動はダイナミックそのものでした。この夜空を見上げている人たち。そして見上げていない人たちにも。すべての人の心臓にこの振動は響いているのだと思いました。
地上に住む私たちはあの日あの時。希望を通して肉体が宇宙の振動で満たされる経験を味わっていました。友人は現実と夢の境界線を通して地中の振動を感じていました。天と地の中間に在る私たちは。あらゆる振動を感じながら。天と地を結んでいるのかも知れない。
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