You've got a friend
NHKスペシャル「遺児たちのいま 阪神・淡路大震災 23年」というテレビ番組をみた。
23年前の1月17日におきた地震で、父や母を亡くした子どもたちのその後を追い続けたドキュメンタリーだ。
大人になり初めての子を出産した直後の産院で、それまでじっと押し殺していた本当の魂を解き放つように、「ママとパパに会いたい、ママとパパのところに行きたい」と幼女のように泣き叫ぶ女性。
家族の中でたった一人生き残ってしまったことの重荷に耐えきれず、5年前から家の外に出ることができなくなってしまった青年。
親代わりである祖父母と弟の暮らしを見守るために、大学進学をせず、生まれ育った離島で暮らし続ける決断をした公務員。
ただ生きているというだけで、天使の羽にからまった鎖のように、それぞれの肩にのしかかった荷物の重さが、テレビのこちら側にもずしりと伝わってきた。明日、あさって、明々後日と、彼らの荷物が一日ごとに軽くなっていけばいい、心の底からそう思った。
ハッピーに、前向きに、楽しく生きる。
言葉でいうのは簡単だけれど、心の荷物を増やさないように生きるのは、実は案外むずかしい。
重たいね。疲れたね。
知らないうちにたくさんの荷物を抱えてしまっていたら、自分一人で持とうとしないで、誰かにちょっと預けてみる。
受け取った誰かは、それをそっと空に解き放つ。
きれいごとかもしれないけれど、人と人とがそんな風に、お互いの弱さを共有しながら、助け合って生きていけたらいい。
そのために、自分は何をすればいいのだろう。
何ができるんだろう。
分不相応だけれど、そんなことまで考えてしまった。
きれいごとかもしれないけれど。
(2018年1月)