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雪月 音弥
2016年11月14日 23:22
凍てつく空気。こぼれた息は白く。 静かな雄叫びが闇夜にひびを入れる。 振り返ると、天を仰ぐ彼の姿があった。 気高く、誇りに満ちて。 しかし、どこか寂しく、物悲しく。 闇夜に浮かぶ白い月のように私には思われた。 せめて、彼のそばにいることができるなら。 少しはその痛みも苦しみも、分かち合えるのに。 それを決して許さなかった彼の強い瞳が、輝く月のように凛としていて。 私は、た