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アンジャッシュ状態

前回の記事を書いた後、件の動画を再び見直したら新たに気付いたことがあったので記事にします。
前回の記事「コミュニケーションのタイプが違うと会話は噛み合わない」をご一読の上で続きを読むことをおすすめします。

私はこの彼女を“Twitter的タイプ”と定義しましたが、もしかしたら彼女もLINE的タイプかもしれません。
質問の仕方が短く端的だからです。
インプットがTwitter的でアウトプットがLINE的という複合タイプの可能性もありますが、この短い動画でそこまでは読み取れませんでした。
彼らのやりとりの中で、どこからすれ違いが始まって、お互いの認知がどうズレていったのか、順を追って考えます。

彼女の「前の車、運転下手だね」に対して、
「レンタカーだからでしょ」
ここに前提知識有り+LINE的タイプの悪い所が出ています。「わナンバーはレンタカーだね。レンタカーって、いつも乗り慣れた自分の車と違う車種だったりして、大きさとか操作性が微妙に違って扱いにくいんだよ。だから一時的に運転下手になるの。それか、自分の車持ってなくてそもそも普段運転してないから下手なのかもね」イッチはここまで言う必要があったんです。
そしてそれに対する彼女の返答も端的です。
「なんで?」
この疑問の真意を正しく理解していないと双方の認識はどんどんズレていきます。
おそらく、彼女は車の運転をしないので車の知識がないのでしょう。「なんでレンタカーだと運転下手なの?」と聞きたかったのでしょうが、彼女がここを省いたことで、さらに会話は出口の見えない袋小路に入っていきます。
イッチは、「なんで?」がレンタカーに掛かっていると勘違いして「わナンバーだから」と答えました。しかし、“レンタカーだと運転が下手な理由”の回答を待っていた彼女は頭がこんがらかってきます。だから「どゆこと?」と、重ねて疑問を投げかけたわけです。ここで「わナンバーだと運転が下手になるの?」と訊けば、解決の糸口がつかめたかもしれないものを…。
それに対するイッチの回答は、「ナンバーの平仮名がわ」……だからいい加減ナンバーから離れろ。会話の冒頭を思い出せ!
「それだとレンタカーなの?」
ああああついに話の軸がズレてしまった。キミが聞きたいのはレンタカーのことじゃないだろ!
しかし彼女の気持ちもよくわかる。話の軸がズレていく時って、その前に複雑なプロセスを踏んでいるから、アハ体験みたいになかなか気付けないんですよねぇ。
「ボタンの掛け違え」って表現がよく使われると思いますが、実際ボタンは一個掛け違えただけですぐに大きな違和感が出るので、私としては「編み針の挿し違え」とでも言いたいところ。表面上の言葉のやり取りはできているのに、本人達の気付かないところで少しづつすれ違っています。
疑問を深めていく彼女に対して、答えを知っているイッチ(ちゃんと情報を共有できてると思っている)は彼女がなぜこんな反応を示しているのか理解できていません。
彼女の頭の中ではすれ違いの会話を経て、当初の疑問はぐちゃぐちゃにこんがらかり原型を留めない姿で残され、“どこから”“何故ズレたのか”も解明できず、トドメに話の軸をずらされたことで何の話をしていたのかもわからなくなってしまいました。
そりゃぁ道理で「プリーーーーー!」ですよ…。
その後に続くセリフ。「いちいちマウント取るなぁぁぁぁぁ!」
なぜ彼女はマウントと思ったのか?
当初の疑問である『前の車が運転下手な理由』に対して合点のいく回答がないまま、『わナンバーだとレンタカー』というどうでもいい知識だけ与えられて、あさっての方向に話が着地しています。
この時既に彼女の思考回路はショートしています。
頭がこんがらかって思考が鈍った状態では、感情が前面に出やすいものですから、知識のなさを弄ばれたように感じるのも仕方ない…。
しかし、感情表現の稚拙さや奇行から察するに、変わり者には違いないですね。


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