若かりしころの思い出。おとうさん北海道縦断物語~7日目・宗谷岬→猿払
北海道縦断の旅もいよいよ後半戦。
寒い朝が僕を迎え、残りの旅程は帰るだけとなった。でも、帰るまでが冒険。今回は、ちょっと遠くまで足を延ばしすぎたみたいだ。
家族の笑顔が待つ家に無事たどり着くために、気を引き締めて再スタート。…とは言うものの、今回は特に人の温かさが心に染みた旅でもあった。
それでは、そんなエピソードをお届けしよう。
8月15日 雨 宗谷岬
朝4時に目を覚ます。夜中は何度も寒さで目が覚めた。北海道のお盆を過ぎると、朝晩が急に冷え込む(だいたい8月15日がその境目だ)。さらに、テントの端っこが濡れているのは、昨夜の雨と風のせい。無防備に原っぱにテントを張った自分のミスだ。
雨が小降りになったタイミングでテントを片付けようとするも、手が寒さで震えて、なかなかうまくいかない。こういう時、妻がいれば「これやって」と甘えられるんだけど、今は自分しか頼れない。しぶしぶながら、猿払村に向けて出発する。
猿払村でのパンクと救いの手
寒さが身に染みるけれど、適度なアップダウンとオホーツク海の風景に心が躍り、ペダルは軽い。道の駅「猿払公園」に寄ると、キャンピングカーのおじさんが「寒そうだな」と笑いながらソーセージをくれた。体に悪いと小さい頃は食べさせてもらえなかった僕には、こういうジャンクフードがたまらない。ありがたく頂戴。
しかし、次の瞬間、パンク。毎度のことなので手慣れたもんだ…と思いきや、寒さで手がうまく動かず、修理が思うように進まない。しかも雨が強くなってきて、心も折れかける。そんな時、ライダーハウス「やませ」が目に入る。これは神の救いだと思い、自転車を置いて修理をお願いすることに。
ライダーさんたちの助けも借りて何とか事態を乗り越えたものの、次の問題は「どやって浜頓別の自転車屋まで行くか」。50キロも歩けるわけがない。バスは2時間後…。ヒッチハイクしかない。
人生初のヒッチハイク
電波少年の猿岩石に憧れていた僕にとって、ついにそのチャンスがやってきた!初めてのヒッチハイク。恥ずかしさをこらえて親指を立てる。すると、すぐに大型トラックが停まってくれた!運転手さんに感謝しながら稚内までの道のりを共にする。
「タイヤ持ってなにやってんの?」と聞かれ、事情を話すと、「ちゃんとした自転車屋探してやるよ」と、町の自転車屋を見つけてくれた。旅人の心強さを感じる瞬間だ。別れ際には「また同じ道戻るから、タイミング合えばまた乗せてやるよ」と笑って去っていった。
道民の優しさに包まれて
稚内サイクルに着くと、頑固そうな親父さんが「こんなタイヤじゃだめだ」と、少し安くしてタイヤを交換してくれた。旅の終わりに向けて準備が整い、またヒッチハイクで戻る。今度はOLのお姉さんがUターンして僕を拾ってくれた上に、おにぎりと2000円までくれた。「去年、娘がヒッチハイクしてたから、恩返しだ」と。感謝しかない。
最後に、もう一度かみさんに電話して、無事に家に帰る決意を固める。
こうして、多くの人に助けられながら、僕の北海道縦断物語は終わりに近づく。道民の優しさと出会いが、この旅をさらに特別なものにしてくれたのだ。北海道、最高だな。
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