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制作に至るまで|#1 アーカイブブック制作日誌

こちらのnoteでは、15周年アーカイブブックの制作日誌を書いていきます。

OTO TO TABIのSNSやWEBで出す文章に関しては、いつも簡潔で伝わりやすい文章になるよう努めていますが、こちらの日誌では中の人がラフめにダラダラと書いていこうと思っています。

先日、クラウドファンディングのプラットフォーム「CAMPFIRE」にて、<OTO TO TABI/しゃけ音楽会を続けるための15周年アーカイブブック制作プロジェクト>を立ち上げました。
OTO TO TABIは2025年で15周年を迎えますが、存続が難しい状況に追い込まれており、アーカイブブックを制作して、その利益でイベントを続けることを目指しております。
こちらのページに概要など掲載していますので、チェック&ご支援よろしくお願いいたします。

プロジェクトページに書ききれなかったことなどを書いていこうと思います。
まず、アーカイブブックを制作することにした経緯を。

OTO TO TABIは、"北海道の冬に音楽フェスを"との想いから、ただの音楽好きが集まって2011年から冬の札幌でイベントを続けてきました。
しかし、2020年の開催目前にコロナで中止となりました。

リベンジに燃え、「OTO TO TABI 2020/2021」と2年分の思いを込めたイベントとして2021年2月27土・28日の2日間の開催を予定していましたが、コロナ禍で冬の屋内での開催となると、同じような規模での開催とはいかず、ソーシャルディスタンス確保の問題で会場のキャパが大きく変更になることをはじめ、さまざまな問題が山積みでとても現実的なものではなく、断念せざるを得ませんでした。

先が見えないこのままでは気持ちの面でも折れてしまい、開催できる環境が整うまで待っても、続けてないと体制やそれぞれの環境も変わってしまい、再び開催するということが難しくなりそうだと思ったので、まずはイベントをどんなかたちでも開催するということを決め、冬の時期や場所にもこだわらず、今までのやり方を変えることで開催の見込みがあるのでは、という考えで、まず札幌PARCOの屋上でのライブを経て、2021年6月に芸術の森 野外ステージでの開催に至りました。

「音楽を楽しむ場所を手放したくない」という想いを持ち、どんな状況でも開催するために手を尽くし、採算なんて度外視で、あとは野となれ山となれ!という心情で、内容がつまらなくなろうと自由がなくなろうと、全てのガイドラインに忠実に従い対策をすることを決め、実現に向けていきました。

無事に開催することができ、久しぶりに大きな音を全身で浴びる感覚は至福の時で、来場者の方たちともこの喜びを分かち合えたなと思っています。しかし、結局収支はひどいもので、本当に野になったなと思っていたのですが、その後ダメ元で出していた文化庁の補助金がなんとかおりることになり、一命を取り留めることができました。

収支がひどい理由としては、コロナ禍での集客に苦戦したことが大部分ではありますが(負け戦だと分かっていましたが)、野外ステージの規模での開催となると、それに見合った機材の増大や、さまざまな価格の高騰などもあり、規模は冬開催と変わらない計画でしたが、支出が大幅に増えたことも原因としてありました。(それでも自分たちのことを心配し、破格の金額で協力していただいていた方々に助けられたので、とても感謝しています。)

その後もコロナは収まることがなく、冬の開催は一度断念し、野外開催の形で継続することを決め、<OTO TO TABI>は冬のイベントとし、初夏の野外は別のイベントと定義し、新たに<しゃけ音楽会>としてスタートさせることにしました。

このイベント名は<5年・10年と続け、参加者・スタッフ・出演者みんなが「毎年戻ってきたくなる」ようなイベントに>という想いが込められていますが、実際2021年の時にコロナで遠方の友人や、職業的・状況的に来られなかった友人がいたことなどが、この想いのきっかけとなっています。続けていたら、またみんな来られるようになるかなという想いで。
ちなみに音楽”祭”とよく間違われますが、”会”にしているのは、祭をやりたいのではなく、みんなと会う場所を作りたかった、という理由からでした。

「5年10年続ける」と謳ってはいるのですが、実際に続けられるかなんてわからず、ただの願いで言ってはいますが、ひとまず2022年・2023年と開催することができました。しかし、これもコロナ禍での補助金のおかげで首の皮一枚つながっており、実際の収支は火の車でした。
2023年からはコロナ禍の補助金の制度などもなくなり、頼れない状況の中、コロナが明けたらお客さんが戻ってきて、なんとか持ち直したいとの思いで2024年を開催しました。例年通りの内容ではきっと不十分だろうとの見通しから、お笑いを入れたり、選考ライブの実施や出店数とエリアを広げたりと、新しい試みなども増やしましたが、結果目標に達することができず、赤字で大きな負債が残り、ついに今後の継続が難しくなるほどになってしまいました。
この規模での自力開催が無謀であることの現実や、力のなさを突きつけられ、今年で最後か…と思いながら当日を迎えたほどでした。

とりあえず、続けるにしてもやめるにしても負債をなんとかしないと、というところから、いくつか方法を模索する中で、クラファン実施のアイデアが出てきました。

ちなみにOTO TO TABIがクラファンをやるのは、2018年・2019年に、小規模のクラファンをやったことがあるくらいで、その時はチケットやグッズを販売するツールとしての利用でしかありませんでしたし、2020年に中止になった時はさすがに検討しましたが、世の中的にもっと大変な人たちが多いからやるべきではない、という判断になり実施には至りませんでした。また、毎年のようにクラファンを実施したりするのも気持ちが乗らないなと思っていたので、やるなら本当に最後の最後にかな…という気持ちがありました。

今がもうその時なのかなと思い、クラファン実施を検討してみたところ、ゴールを2025年の開催にしてしまうと、達成できないとただ開催できずに終わるだけになってしまう可能性があり、どう転んでもいいようなプロジェクトにしないといけない、という課題が出てきました。
また、ただ負債を補填して終わらせるだけにもしたくないと思っていて、それなら何か残るものを作ればよいのでは?という考えに至りました。
今までのことを振り返ると、カメラマンに毎年たくさん写真を撮ってもらっているのに、全然出せていないのが心残りのひとつだったり(2015年くらいまではまとめてウェブに載せられていたけど……)、2020年で10周年だったので、その時に記念ブックを作りたいと思っていたけど、開催できずに頓挫したことも思い出し、それならアーカイブ的な本を作って、札幌の歴史の一つとして残せたらいいな、という考えから、このアーカイブブックを主体としたクラファンを立ち上げることにしました。

続く

(川)

カバー写真:minaco.|しゃけ音楽会2024

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