サンプリングから楽しむクラシック vol.2
この記事はサンプリングから楽しむクラシックvol.2です。vol.1をまだ読んでないという方はこちらから!
それでは、次の曲をご紹介します。
2曲目:Jupiter/平原綾香
この曲は多くの読者の方もしっているのではないでしょうか?Jupiterという曲名は知らなくても、ドラマやCM等のBGMなどで使用されています。
平原綾香さんはEMI Recordsに所属している女性シンガーソングライター、サクソフォーン奏者です。洗足学園音楽大学を卒業していて、ジャズコースサックス専攻だったそうです。
2003年にリリースされた平原綾香さんのデビュー曲でもあります。また、2004年の日本レコード大賞新人賞、2005年日本ゴールドディスク大賞特別賞を受賞しています。
「Jupiter」でサンプリングされているクラシックは、グスターウ・ホルストの管弦楽組曲「惑星」(1916)の「木星」です。
管弦楽組曲「惑星」(1916)はホルストの代表作です。
地球を除いた太陽系の7つの惑星(水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星)に対し、ホルストがそれぞれの惑星に持つイメージを表現した曲で構成されています。
ちなみに、作成時、ホルストは天文学ではなく、占星術から着想を得たため、占星術で使われることの無い地球の曲がないのだそう。
「木星」は原題では「Jupiter, the Bringer of Jollity」(木星、快楽をもたらす者)という名前で副題が付き、組曲「惑星」の中でも最も有名で人気のある曲。
特に第4主題の旋律が有名で、太陽系の中で最も大きい木星らしい壮麗なメロディーが魅力です。また、重厚感溢れる力強く美しいメロディーは宇宙の広がりを私たちに感じさせてくれます。
ホルストはイギリスのチェルトナムの生まれで、19世紀末から20世紀前期にイギリスで活躍した作曲家です。
イギリスの愛国歌である「我は汝に誓う、我が祖国よ」(原題: I vow to thee, my country)には有名な第4主題の旋律が使われています。ダイアナ女王のお葬式でも演奏されました。
「Jupiter」では、この有名な第4主題の旋律部分に歌詞がつけられて、サンプリングをしています。
この曲で注目して欲しいのは、歌詞です。
所々元の「木星」を感じさせるような歌詞が入っています。
「果てしない時を越えて 輝く星が」
「この宇宙の御胸に 抱かれて」
この曲の歌詞は、人の痛みを癒してくれるような歌詞ですが、「木星」の要素が入っており、壮大な宇宙にも思いを馳せさせます。
曲は中盤に入ると、元の第4主題の旋律とイメージの違う勇ましいギターの音が加わり、新たな印象を見せます。
私はここのギターの部分が勇気づけられるような感じがして、特にお気に入りです。
平原綾香さんの優しく歌声がメロディーに合っていて、相性の良いサンプリングになっています。
もちろん、サンプリングされていないホルストの「木星」も素晴らしいので、ぜひ聞いてみてください。私は聞いていると、宇宙が自然に想像出来て、木星に思わずフラッと行ってみたくなるような気分になります。
ちなみにですが、平原綾香さんが卒業した洗足学園音楽大学がある川崎市のJR武蔵溝ノ口駅では、川崎市制100周年の節目に合わせて、発車メロディーが「Jupiter」になっているようです。
近くにお住みの方などは、川崎で「木星」を感じてみてはいかがでしょうか。
あ、この曲!が楽しい
サンプリングの元ネタであるクラシックについて知っていると、曲への理解が深まったり、「あ!この曲!聞いたことある!」と思えて楽しかったりします。
サンプリング以外にも映画のシーンやお店のBGMとしても使われるクラシックですが知っていると、「あ!」と思えて、私はちょっぴり人生が豊かになった気持ちがします。
耳を澄ませてみたら、お気に入りの曲が突然街中で聞けるなんてこともあるかも☺️
次はロックのスタンダードナンバーを紹介!
vol.3に続きます。
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