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雑記10 今年の夏もBRUTUSこわいもの


左今年、右去年


今年のBRUTUS 1013号 24.8.1 定価832円 

 "わたしはこれが怖い" という言葉と共に、1ページまるごと使って何かが写っている。ページをめくると、それが怖い理由が書いてある。

 窓。わかった。サキの『開いた窓』の話をするのだな。ページをめくる。
 
 違った。サキの話は全く出てこない。代わりに別の窓にまつわる怖い話が紹介される。面白い。窓の次のページを見る。こちらはビンゴだった。これは読者へのおまけ回だなと少し笑った。

 次、切符。切符は列車とセットでいろんな話で出てくる。どんな理由で選ばれるかじっくり考えて、どれか当たるかとページをめくる。

 全く違う方向から切り込んできた。最後は村上龍の本につながる。そういえばこれは未読か。

 ちぎれた紙。ひたすらティッシュペーパーを細くちぎる入院患者という、ドラマのワンシーンを思い出た。あれは怖いよりも切ない、悲しいだろうかと思いながら怖い理由を読んだら、ここの話が最高でした。ありがとうございました。

 キノコ。自分は幼い頃見たまんが日本昔話の『お化けしめじ』や、秋山あゆ子『平茸坊主』(青林工藝舎 こんちゅう稼業)を想像した。『お化けしめじ』は怪談話と思いきやけっこういい話だ。『平茸坊主』は、ヒヤッとする、でも落ち着いたホラー。好きだ。

平茸坊主は改定版でもそうでなくても収録

 箱。様々な場面で登場するからか、怖い理由にも色々紹介されていた。
 自分が最初に連想したのは、原田宗典の海の短編集に収められた『何を入れる箱』だ。男がタクシーの運転手に面白い場所を所望する。決まった行き先は『箱』を売る店だった…。他にも同じ収録作で、『中にはなにが』にも箱が出てくる。

何度も読み返してる

 楽しい企画だった。

 また別の企画では、"短いのに怖い"で、YouTubeチャンネル『kouichitv』の「消えない」が紹介されていて嬉しかった。自分も人に紹介したことがある。
 これが好きな人は、同じくYouTubeチャンネルの『怪奇な手触り』も好きなんじゃないかとも思っている。「サトウ君と屋上の幽霊」とか9分くらいだし良ければぜひ。

 他にも今号は、いろんな怖いを持ち寄って見せ合うような、嬉しい一冊だった。


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音郷
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