儒烏風亭らでんの涙
春一番亭乙楽です。
今回は、自分の推しについて語ろうと思います。
今まで、このnoteでは自分の推しである「儒烏風亭らでん」について、真正面から語ることをしませんでした。正面きって話すには相当練り込まないといけないなという思いと、自分が語ることで推しのイメージを他人に押し付けてしまうのではないか、という不安があったからです。
ただ、今回は彼女がデビュー1周年を迎え、その配信で漏れ出てしまったものを目の当たりにしたことで、心の中の思いが止まらなくなりました。
ちょうど節目のタイミングでもありますし、ここで一度、自分の気持ちを吐き出してしまうのもいいかな、といった心境です。
長くなると思いますので、お暇なときにお読みいただければ幸いです。
※注意!
本文は私独自の推測や感想が多分に含まれます。あまりあてにしないように、お気をつけください。
1.推しの涙
「ホロライブを辞めなくて、良かったと思っています」
メンバーの前で手紙を読みながら、この言葉を、まるで絞り出すかのように口にした儒烏風亭らでん(以下は「らでんちゃん」に統一します)の声は、これまで私が聞いたことのないものでした。溢れる感情を必死に堪え、そして堪えきれずに溢れた涙声に、私を含めて視聴者は過去最大級の衝撃を受けました。
あのらでんちゃんが、泣いている。
常に明るく、配信を見る視聴者に元気を与え、彼女の「楽しい」を分かりやすく、そして目一杯の感情を込めて話す彼女からは、まず出てこないと思われた涙声に、私は言葉を失いました。
感動、戸惑い、衝撃…。様々な感情がないまぜになり、頭がまとまらなくなった自分は、配信後もこの感情を言葉にできないまま眠りにつきました。
「明るい推しの 震える声に 襟を正した でん同士」
その晩は、上記のような下手な都々逸を詠むのが精一杯だった私ですが、一夜明けて多少の考えがまとまりました。
「弱さも本音も語り合える仲間がいてくれたから、あの言葉と感情を表に出せた」
このことに気付いて、本当の意味での「尊い」がストンと腑に落ちました。どんなことがあっても、このメンバーがいれば大丈夫、その信頼関係が見えたことで、今度は安心の涙が頬を伝いました。
同時に、「視聴者には楽しいだけを伝えたい」と豪語した彼女をもってしても感情が溢れるほど、この1年は波乱に満ちていたことが内外共に透けて見えたとも言えます。
2.「hololive DEV_IS」の「ReGLOSS」
らでんちゃんは、正確にはホロライブメンバー、通称ホロメンではありません。ホロライブの姉妹カテゴリーであるホロライブデバイスの「リグロス」というユニットの一員です。厳密にはホロメン直属の後輩では無いことになります。言うなれば、海外のホロライブメンバーと似た立ち位置にあるわけです。
何故、そのような微妙な立場になったかは想像の域を出ませんのでここでは割愛しますが(後日まとめられたら書きます)、当初はホロメンとのコンタクトもマネージャーを通さなければならないほどだった、ということが後日判明しています。
そして、「音楽特化のユニット」という触れ込みでデビューしたのですが、歌を聞いた第一印象を正直に言うならば、
「特化というほどのレベルか?」
という疑問すら湧くものでした。
これも後日談としてらでんちゃんが話していますが、歌うためのトレーニングはデビュー半年前からで、それまでは素人同然だったことを告白しています。
この違和感については、らでんちゃんがホロライブの始祖的存在である、ときのそらさんとコラボ配信をした際にも言及されています。
「音楽特化という印象より、個性の1点特化を揃えて、その核に『音楽』がある印象」
このそらさんの言葉は、おそらく正解に近いのでしょう。
このように何かとちぐはぐな印象が強かったReGLOSSですが、外野である視聴者は内情など知る由もないことです。しばらくは賛否が分かれたことは確かです。もっとも、大多数は賛であったことは言うまでもありませんが。
何より、彼女たち5人の個性や活動方針は、ホロライブに新たな風を送り込んだという評価になったのです。
…同時に「やはり芸人だったか」という評価もいただいていましたが…。
3.「儒烏風亭らでん」という個性の行き先
何かと話題となったReGLOSSですが、その中でもらでんちゃんは独特なキャラクターで人気を獲得しました。デビュー当時の彼女の伝説を列記します。
・デビュー前にWebニュースに取り上げられる
・自己紹介すらふっ飛ばす前代未聞の初配信
・これまた前代未聞の初配信(2回目)
・2つの初配信はほぼ全て能面装着
・酒、煙草、パチンコ好きな自称「カスの大三元」
・画面酔いがあり、ゲーム配信よりも雑談配信がほとんど
・落語と美術が好き。好き過ぎてだいたい金欠
…いざこうして並べてみると、壮観ですね。
歴代のホロメンと比較しても、ここまで独特のキャラクターはそうそういません。この「とんでもない奴が来た」感でらでんちゃんはグループトップのチャンネル登録者数を獲得していきますが、その人気の性質は徐々に変化していきます。皮肉なことですが、その変化は本人が望み、そして望まなかったであろう方向に進んでしまうのです。
破天荒、なれど好きなものには真正面から。
らでんちゃんの配信スタイルが浸透し、そして学芸員資格を持つ美術のスペシャリストとしての一面がクローズアップされたあたりから、「破天荒」のキャラクターが薄れ始め、真摯で真面目な側面が顔を出し始めたのです。
余談ですが、当時の彼女は「破天荒」とよく言っていましたが、本来の意味で使っていたのかは、正直なところ怪しいです。理由は後述します。
また、この時期はデビューからの無理がたたり、体調不良で一時休養を余儀なくされるほどに、彼女は心身を削るような苦労とストレスを抱えていたのでしょう。人気が出れば出るほどに目立つアンチコメントの増加や、当初に目論んだ理想のキャラクター像と現実との乖離も、そこに含まれているのかもしれません。
多忙でパチスロに行けず、体調面から(イメージを考慮しての面もあるか?)禁煙することになり、配信の緊張感に耐えられずにアルコールの力を借りて配信スタートのボタンを押す。彼女自身が後に語った当時の生活は、この時点で一人の人間が抱えられるキャパシティを超えていたのかもしれません。
思えば、彼女は初配信当時、能面を被ったままでした。後に「ビジュアルと声の不一致が不安だった」と述懐していますが、もしかしたら彼女は一時期、「笑顔」という能面を被り続けていたのかもしれません。
4.「破天荒」の本来の意味
そんならでんちゃんの激情が垣間見えたのが、4月24日の配信、通称「嘆きの凸待ち」です。度重なる心ないコメントに業を煮やしたので、という体で始まった配信では、先輩方からの助言を受けていました。ただ、本人はネタだと言っていますので、これ以上の言及は避けます。
また、その前にはReGLOSS全体での「課題」と称したチャレンジが始まっていたのもあるでしょう。往年のテレビ番組を思い起こすような「◯◯できたら△△」系のものですが、さらなる重圧がかかったのは想像に難くないです。
しかし、この前後から準備していた、または温めていた企画が整ってきたのでしょう。らでんちゃんは次々と新企画やコラボレーションを打ち出していきます。その中で象徴的なものが「美術館の音声ガイダンス」です。
箱根ガラスの森美術館の企画展に、らでんちゃんのボイスで解説が入る、しかもそれは「Vtuber」儒烏風亭らでんとしてではなく「学芸員」儒烏風亭らでんとしてのオファーでした。いつか叶えたい夢が現実のものになったことの達成感は、かけがえのないものだったのでしょう。告知の際のらでんちゃんは心から嬉しそうにはしゃいでいました。
その後、ショート動画となった「まつたけ」「まいたけ」「しめじ」のキノコソングは、らでんちゃんの配信を観なかった視聴者層にも届くようになり、現在もチャンネル登録者数は上昇し続けています。
個人的には、人気上昇の兆しが出始めた頃に、彼女の配信に明らかな変化が見えたことに気付きました。それは「仲間や先輩へ甘える」です。
もちろん、ベタベタに甘えモードになる、という訳ではありません。頼り方や頼み方が砕けてきた、という方が近いかもしれません。妹分としての立ち位置が自然にできているらでんちゃんを見て、本当の意味で信頼関係が形になってきたと思いました。
それらを含めて、彼女は本当の意味での「破天荒」になりつつある、と感じました。
破天荒とは、本来「前例の無いことをする」という意味です。彼女はその話術と美術知識をもって、ホロライブだけではなく、大手企業系のVtuberが成し得なかった分野へ挑んでいます。これは文字通りの破天荒です。前代未聞の初配信を行ったらでんちゃんは、1年の時を経て、本当の意味での前代未聞を突き進んでいることになります。
もちろん、これは茨の道です。何しろ先人がいない訳ですから、自身で進む先を切り開く必要があります。しかし彼女は、恐らく嬉々として挑戦するでしょう。何故なら「楽しいことを進めていくのは幸せなことだ」と常日頃から言っていますからね。
5.青くんの言葉
最後に、らでんちゃんと同じReGLOSSのメンバー、火威青さん(以下「青くん」で統一します)が配信でらでんちゃんのことに触れた一節を紹介します。
1周年記念配信の翌日、青くんはらでんちゃんの手紙について、溢れる感情を堪えながら明るく振り返っていました。彼女自身もらでんちゃんと同じく、既存のホロライブには無い独自の路線を進む人です。その楽しさも辛さも分かち合えるのでしょう。
そんな青くんが発した言葉に、私は心を打たれました。
「らでんちゃんは、辛いと言いながらも僕たちのトップを走り続けてくれた」
そう、ボロボロになりながらも、らでんちゃんは常にReGLOSSのチャンネル登録者数や世間での知名度で先陣を切り、ずっと引っ張っていた。それがどれだけ辛いか、どれだけの重圧だったか。
青くんの発した言葉の重さと、らでんちゃんへの理解の深さに「この人も別のベクトルで破天荒だ」と改めて思いました。
6.おわりに
さて、私の推しであるらでんちゃんについて、ここまで色々と書いてきました。
今回はほぼ一発書きなので、多分まとまった文章ではないことは確かです。何せ実質3時間ほどの執筆ですからね。
粗い部分もあるでしょうが、ご容赦ください。
私はらでんちゃんが好きです。
それは男女とかの感情ではなく、「好きなものを知ってもらいたい」という行動原理が、自分の理想とする知識の求め方、伝え方と同じだからです。
実際に彼女の行動は、様々なものを動かしています。配信を見た人が実際に美術館や博物館へ足を運ぶ、書庫らでんと称する課題図書の感想募集が、出版業界を刺激している、などなど、小さな変化はもう観測されています。
私はでん同士の端くれとして、らでんちゃんが作り出す変化を楽しみながら、これからも応援していくでしょう。
これを読んでくれた方、らでんちゃんの配信に、一席お付き合いくださいませんか?