元講師が打ち明ける「歌手やシンガーソングライターを夢見る君へ」:デビューをつかむ方法について
※ここで扱うデビューというのは、メジャーレコード会社からデビューする「メジャーデビュー」の意味で書く。
ということは、そうじゃない「デビュー」もあるということ。おーこわ。
まあ今それはいいとして・・・
どうやったらデビューできるのか。
歌手やシンガーソングライターを目指す人すべてが考えることなのではないだろうか。
何かのオーディションを受けて、合格すればいいのかな、とか漠然と想像することもあるだろう。
「どうやったらデビューできるか」の答えは、ずばり以下のようになる。
どうやってデビューしたかは人それぞれみんな違うため、「決まったやり方」は見つけられない。
何か定番のようなやり方があるように思わせてしまったなら、ごめん。
見出しにあるように、どうやってデビューしたかはひとそれぞれみんな違う。決まった形はない。だからこうすればデビューできるというものも存在しないのだ。
だから君が、有名歌手などのインタビューか何かで、「〇〇したらデビューできました」というようなことを見聞きしたとして、その誰かをそのまま真似してもデビューできない。ここは敢えて言い切る。
半分は自分の工夫や努力、もう半分は運で、いろんな意味で予想外の展開、そんな感じでデビューが決まる。
そもそも、人によってデビューまでの流れがみんな違うということのほうが自然なのだ。小中高~大学まで学校に慣れていると、共通の試験で決まるようなイメージを持ちやすいが、社会はむしろ、キャリアのつかみ方は人それぞれ違うのが当たり前なのだ。
もちろん私が今まで見てきた生徒や知り合いのデビューまでのいきさつも、それぞれ全然違うものだった。
それぞれ違う「デビュー」までのいきさつ
「メジャーレコード会社主催のオーディションに合格して、デビューを前提に育成されているが、結局1年以上も育成状態だったケース」や、
「あるプロデューサーと知り合いになって、非公開の状態で歌を聴いてもらってデビューした人」、
今はわからないが、「あるレコード会社では自分でお金を出すとCDを出すことができ、そのパターンではお金持ちが楽しみのためにデビューしたり、将来スクール業をしたい人がプロフィールに載せる実績作りとしてデビューしたりしていた」ケースもあった。
最近はSNSやYoutubeで評価され、レコード会社からお声がかかってデビューしていることも多いだろうし、オーディションで合格してレコード会社に抱えられている人が、クリエイター達と組んでそーっとYoutubeに音楽を流しているということもあるだろう。
住んでいる場所も全然関係ない。
私の教え子も、メジャーデビューした時は地方都市に住んでいた。Youtubeなどない頃だ。
だから、「デビューするために何をするか」は、まず君がいろいろと考えて、いろいろと自分なりに行動するしかないということになる。
もう一度言うぞ。君自身が、毎日、何かしら動くんだ。
デビューした人の経験談を知るのはいいと思う。
でもそれは参考にしかならない。決め手にはならない。
むしろ、人それぞれみんな違うわけだから、いろんな人のデビュー成功例を集めて、ちょっとずつ自分の戦略に取り入れるくらいがいい。
手数だ。いろいろ調べて、考えて、何度も行動して試すんだ。
まあ、そして、ヒントがないわけでもない。長年、いくつかのデビューを見聞きする中で、何となく、これが共通項かな、というのもあるのだ。
この記事ではそのあたりを伝えられたらと思う。
デビューについての「ダメパターン」いろいろ
まず、ダメなパターンから。
「これをすればデビューできる」がなく、「何をどうしたらいいのか」がわかりにくい。そんな日々では、ダメなパターンに陥りやすくなる。
決して誰かをけなしているんじゃない。
ダメパターンを知って、君に事前に回避してほしいのだ。
そこは勘違いせずに読んでほしい。
デビューを目指してはいるが、練習ばっかりしていて、チャンスをつかむ活動をしない
まーこれが本当に多い。
毎日練習していると、しかも真面目な人だったりすると、ちょっとずつ上手になったりして、毎日が充実しちゃうんだよなあ。
いや、練習は大事だよ。デビューしたらあんまり練習できなくなるし。
まあその辺は別の記事で書こうと思う。
ただ、毎日たくさん歌って、達成感を感じちゃって、夜帰ってきて、ちょっと携帯見て寝る。そんな繰り返しの毎日。危険だ。
目標に酔ってるんだ。
目標を持つだけで目標が叶うわけがない。
目標達成に必要な「今日の行動」をしなきゃ。
デビューしたいんだったら、Youtubeに歌をアップして、それだけじゃだめで、レコード会社にYoutubeのアドレスを書いたプロフィールを送るとか、メジャーレコード会社のオーディションに出すとか、スキルアップとは別に、何かしらのチャンスを具体的につかむための行動をしなくてはいけないのだ。
とりあえず上京して、バイトだけする生活になる
これも多い。
上京については生徒さんからちょこちょこ質問されていた。
そんなときの私の答えは、
「君が今住んでいる場所で、すでにライブなどしていて、数十人とか動員できているとか、それくらい行動力がついているなら東京に行くことがプラスになるかもしれない。でもそうじゃなきゃ、バイトだけして終わるよ」だ。
今だとライブの部分はYoutubeとかでもいいと思う。演奏動画を30本上げていて、1万越えの再生数があるとかね。
始めての一人暮らしはそこまで大変ではないが、家事って意外に忙しい。そして生活のためにバイトをする。疲れも出る。
そんな生活の中で、歌の練習するとか、曲を作るとか、ライブに出るとか、今ならネットに動画を作ってアップするとか・・・それを3年続けるとしたら、君はどれくらいできるだろう?
そして、東京って意外に変なハンデもあるのだ。
まず夢追い人がいっぱいいる。
ひとつ前の節に書いた「目標に酔ってるだけの人」なんて、東京には本当にたーくさんいる。
そんな人たちと仲良くなって、お互いの夢を肯定しあって、いろいろと遊んで、飲んで食べて、そりゃ楽しいよ。そういうのもいいとは思うよ。
でもその居心地の良さが、何もチャンスをつかんでいないその状況から、君が飛び出していく勇気をしぼませることもある。
最初はお互い切磋琢磨してたのが、負ってもいない傷を舐めあう的な・・・。
彼女や彼氏もできるだろう。同棲もするのも簡単だ。
1回同棲しちゃうと、財布が一緒になったりすると、暮らしもちょっとだけ楽になったりして、なかなか生活環境を変えられなくなるんだよね。
こんな感じで、上京前は地方である程度音楽活動できている人でも、上京後結局は東京での生活に飲まれるほうが圧倒的に多いと思う。
それで数年暮らしていると不安になってくる。間違えちゃいけないのは、不安を作ったのは本人自身だということ。
だって、居心地がいいからって、実は怖いからって、オーディションとか、自分を思いっきり変えるような行動をあまりしてこなかったんだから。
それでさらにしばらくして、同棲相手と結婚したり、別れたりして、自分でもどこを目指して進んでいるのかわからなくなる。
そうなることがダメではない。むしろまた別の幸せかもしれない。
人の人生という観点では、何の問題もない。
人生ってある意味そういうところがあるものだから。
でも、歌手やシンガーソングライターを目指して上京した当初の目標とは全然違うことになっているのは間違いない。
だったら最初から、大学出て、東京の会社に就職したほうが、楽しさは同じで給料はもっといいはずなのに。
上京した君を狙う「ダマシ」
「東京」っていうことも多少は要因だと思うが、ダマされることもある。
しかしダマされる一番の理由は本人だったりする。
ダマす人は、君の自信の無さや不安につけこむんだぞ。
「どこそこでコンテスト形式のライブがあるんですが、出てみませんか?合格した場合、〇〇がデビューまで完全バックアップします。」
「・・・合格って手紙が来たよ」
「・・・え?音源作れって?30万円?写真撮るの?5万円?・・・。」
「高いお金かけて音源作ったけど何も変化ないじゃん!もうやめる!」
「え?音源は自由に使えないの?使うにはまた使用料を払えって?・・・」
「すみません。今ちょっとバラエティー番組に出てくれる人を探してるんですけど、未来の歌手を発掘するって企画で・・・。」
「どうしようかな出ようかな・・・。一応ちゃんとしたテレビ局だし・・・。」
「不安だったけど出てみてよかった。あの芸人さんが司会だった!知らない人だけどプロデューサーみたいな人もいて、かわいい、歌がうまいって言ってもらえた。深夜番組にちょっとだけ出ただけで、フォロワーも増えたし。」
「・・・もしもし、はい。もう一度出られるんですか、うれしいです。ありがとうございます。・・・え?水着?・・・。」
なんとなくチャンスがありそうだから東京に出てしまい、なんとなく生活してしまい、なんとなく不安・・・。
そんな君に、「前に進んでいるような気持ち」にさせることさえできれば、いくらでも金を出させられる。水着ギャルとして使うこともできる。
だって、なんとなくチャンスがありそうな東京で声をかければ、信じてもらえやすいもんねウヒヒヒヒ。
ちなみに、今書いた例は、本当にありふれた、よくある「ダマシ」だ。
こんなの話題にもならない。
ダマすプロは、基本的に法律違反なことはしない。
君をダマすのにそんなリスクを冒す必要はないのだ。
本当にごめん。ダマすプロから見たら、君なんてちょろいのだ。
私がこういう話を「詐欺」ではなく、「ダマす」と表現しているのはこのためだ。
法律を冒していないから、ダマされたことに気付いても、君にはどうすることもできないし、反撃しないほうがいい。
君をダマした人の後ろには、もっと怖い人がいることもある。
そして実はプロになっても、ダマされることはたまにある。
「正社員じゃない」とか「会社に守られずに個人で働く」って、そういうことなのだ。
専門学校などに進んで、クラスメイトたちの技量や精神レベルに平均化される
学校に入ってはいけないという話ではない。
もちろん、学校にはいい面もたくさんある。
自分の知らないことを知ることができる。
触ったことのない機材に触れたり、しっかりした設備で練習できるかもしれない。
大学や専門学校の場合、最近はバリバリの有名プロミュージシャンを講師に迎えている場合もある。そういう本物のプロから直接指導してもらえるのなら、何物にも代えがたい価値もあるだろう。
クラスメイトの中に、もし君以上に努力する人がいれば、「君さえしっかりしていれば」、それを見習って自分の限界を広げたりすることもできる。
でも決め手はやはり、君自身が、よく考えて、動くことなのだ。
今は専門学校でもボーカルスクールでも、数は多いし、社会に認知され、ちゃんとシステム化された学校が本当に多い。
これは、ここ10数年くらいの現象だと思う。
私が講師のキャリアをスタートした時は、そもそもポップス系のボーカル、まして作曲を教える学校なんて珍しく、社会に一般的な認知もなかった。
普通の人にボーカルスクールで教えていると言ったとすると、何それ?そんなのあるの?と返されるレベルだった。ウン十年前の話だけど。
私は講師や学校運営の仕事として、音楽以外のジャンルも含めいくつかの学校にいたこともある。
個人で教わるよりもボーカルスクールのほうが、さらに専門学校、短大などになるにつれ、カリキュラムがきっちり決まってくる。それはある意味、しっかりしてきている、ということなのだが・・・。
逆にいえば、カリキュラムは「君に合わせたもの」ではなくなっていく。
レッスンで一番効果が高いのは間違いなく、直接同じ部屋で教わる個人レッスンだ。いろいろ言ったって、オンラインだったり、同時に受ける人数が多くなったりするほど、効果は減る。この話はまた別の記事で書く。
親や社会が認めるようなカリキュラムとは、こんなふうに音楽の専門性というよりも、一般的な公共性のほうが重視されてくる。
特に今はハラスメントやコンプライアンスが厳しいため、先生方も生徒さんには「やさしい指導」しかできない。
これは学校側から見たお金の面からも重要で、要するに早く辞められたくない。
中退者が多いと入ってくる学費が減る。評判も下がる。
だから、やさしくしかできない。厳しい先生のほうが辞めさせられる。
だから学校側の本音では、「プロとして厳しく」というのも、ないことはないのだが、優先度としては、本人が進歩しているような気持ちのまま、楽しく通ってもらって、卒業してもらうのが第一となりやすい。
そして歌手を目指して就職しないまま卒業されるより、とにかく一般的な仕事に就職してもらって卒業してもらいたい。
そうすれば、その実績を次の新入生の親に実績としてアピールできる。
「歌を目指したお子様がデビューできなくても大丈夫です。我が校は普通の仕事への就職支援もしっかりできますから」。
そして親も、ボーカルスクールや専門学校に対し、「歌手やシンガーソングライターになる」以外のニーズを持っていることがある。
「この子には、とにかく学校に卒業まで通ってほしい」だ。
そんなふうに、歌手になるというより、いろんな意味でそこまでいっていない人が入学してくることも全然あるのだ。
少子化やコロナで学校がバッタバッタとつぶれる時代なのもある。
ごめん。前置きが長くなった。
何を言ってるのかというと、このような状況もあり、学校に通う学生・生徒の多くは意識が甘くなりがち、練習量が少なくなりがちで、入学前はそこそこ頑張っていた人も、下のレベルに平均化されてしまうことが多いのだ。
学校で一番でも、地方予選レベルかもしれないのだ。
あらためて誤解がないように再度言うが、学校側・学生側それぞれの人たちについて、私は一生懸命な人をけなしているわけでは決してない。
ただ、私の経験上、私が教えていた学校のいくつかではそういう傾向が事実としてあったという話をしているのだ。
君がしっかりしていれば大きく成長できるし、油断すれば足を引っ張られるということと理解してほしい。
なぜそうなるかというと、大多数の学生が同じくらいのレベルだと、結果として不安をごまかせるからだ。
毎日のように通って、お互い顔を合わせ、夢やくだらないことについて楽しく話していれば、寂しくないし、不安も多少はまぎれる。
そして、夢に向かってなんとなく前に進んでいる気持ちを感じ続けることだけはできる。
さらには学園祭とか、楽しいイベントもある。
入学後3カ月で、学校の空気は自分の常識になってしまう。
学校が終わったらその常識のまま放り出されるんだけど。
「平均化」は入学前からLINEグループとかで始まってしまう。
「遊びに行こうよ」「みんなに合わせろよ」
くれぐれも、クラスメイトの誰と一緒に行動するかは、しっかり選ぼう。
真剣で高め合える人、または、そんなことどうでもいいくらいいヤツと友達になれたらいいね。
怖いからって他人も巻き込んで堕落しようとする人とは、徹底的に距離を取るんだ。
そういうパターンでも、学生本人の気持ちとしては、みんなそれぞれ一生懸命やっていて、悔しい思いとかもしているのだ。
でもそれは、平均化していることに、気付いてすらいないということでもある。
そもそも、一度もオーディションに出さないで、それでも歌手やシンガーソングライターの専門学校に入ってくる人は、程度の差こそあれ、自分に自信がないのだ。それでも夢をあきらめることはしたくない。だからこそ、学校に入ったらなんとかなるかもと思って入学する。
それを責めるつもりはない。
でもいつかは勇気を出さなければいけないのも事実だ。
君の人生を君の思うように進ませるものは、君が「自分の自信の無さ」や「不安」を捨てて、勇気を出して思いっきりチャレンジしたり、できることでいいから毎日コツコツと努力したりすることなんだ。
講師の目線でも説明しよう。
先生たちも、今の時代はもう、歌手やシンガーソングライターを目指すうえでの厳しい面を君たちに強く伝えて、一度ダラけた学生を救うことはほぼできない。
誤解を招くような言動があればすぐに親が出てくる。
そして下手をすれば裁判に発展する。
大人数の学校ならではのリスクとして、ある学生に言った強い言葉は本人には有効でも、別の学生には決定的なNGワードになるかもしれない、ということもある。
SNSで生徒同士はつながっている。何なら学校外にもつながっている。
失言や誤解を招く言動はすぐにすみずみまで伝わるのだ。
でもだからといって、あんまり個室・個別で話をしたりすれば、セクハラ疑惑としてすぐに噂になってしまう。
敏感な学校は、すでに何年も前から、先生と生徒が1対1で密室で話すことを禁止している。必ずドアを開ける、先生を2人にする、同意を得て録音するなどは、珍しくないのだ。
元講師の私が言うとシャレにならないとは思う。
私も講師としてその時代時代のいろいろな困難と闘ってきたし、今の現役講師の皆さんも、さまざまな制限の中、少しでも生徒をよくしようと懸命に取り組んでいらっしゃると思う。
それでもなぜこんなことを書くのかというと、まずは君には「しなくていい失敗」をして時間を浪費しなくていいように、ダメな例の話を伝えようと思ってのことなのだ。
では、有効かもしれないパターンを。というか、パターンはないので、数少ない共通項を。
デビューについても有効になるかもしれない共通項
「自分でよく考え工夫して、自分自身で動く」という基本以外で有効になりそうなことその1は、
「怖れずに、誰でも知っているメジャーレコード会社のオーディションに応募する」
ということになる。これが意外にできない。
自信がない人は、自分が出しても合格しないとなんとなく思っている。
合格するよという意味ではない。
その結果、聞いたことないけどなんとなく良さそうで合格しそうなオーデションによくわからないまま応募してダマシに合うというパターン(これはパターンね)になるのだ。
メジャーレコード会社とは日本レコード協会に入会している正会員の会社になる。ネットで検索すればすぐにわかる。
ソニーでもエイベックスでも、ヤマハでもいいだろう。
できればその会社の企画オーディションではなく、常時募集のオーディションに応募してみればいい。
それが一番ダマシにあう可能性が少ないし(ゼロではない)、「比較的」一番デビューに近い(めっちゃ遠いけど)。
基本、本当によい素材じゃないと合格しないが、合格すればちゃんとした事務所を紹介してもらえる。この件は別の記事で取り上げよう。
付け加えると、常時募集だからといって、あんまり同じオーディションに何回も出さないほうがいい。
あと、一度応募したら、少なくても1年は空けよう。ただ、出演ライブ情報とかはちょこちょこ送ってもいいとは思う。
つまりは、「この人、あんまり成長してないのに応募だけしてくるなあ」と思われる危険は避けようということ。
まあオーディションについてはまた別の記事にしようと思う。
難易度の高い共通項「もぐりこむ」
そしてその2、もう一つ共通項として挙げられるとすれば「もぐりこむ」ということだ。
バイトでも、ボランティアでもいい。飲み仲間でもいい。とにかく、本物のプロがいる環境に「もぐりこむ」というのは、本人が本当に努力を継続できていて、自分で活路を切り開けるバイタリティがある場合にのみ、有効な手段のひとつとなる。
例えば、自分が本物だと思うプロミュージシャンが所属する事務所にスタッフとして入社してしまう。
ちょっと難易度が上がるが、そのプロがよく来る飲食店にバイトとして入る。
君が進学校にいて頭がいいのなら、電通などの一流広告代理店に入社して、できれば芸能人と合うような部署で働く、など。
そして、そのプロミュージシャン本人か、プロの人たちに自分から話す。できれば音源を聴いてもらう。できれば友達になってしまう。
「もぐりこむ」は難易度が高い手法だ。
まず業界の裏方の仕事は相当大変で、普通に働くだけでクタクタになってしまう。
そして、もぐりこんだってプロと会えるとは限らない。運もかなりある。
誰も君を推してはくれないし、相手はオーディションのように「とりあえず聴きましょう」とも思っていない。
そこから君自身がさりげなく自己紹介して、距離をつめ、世間話を盛り上げる中で音源を聴いてもらうところまで持っていくのだ。
もちろん平行してスキルアップを続け、千載一遇のチャンスをつかめる実力を養う必要もある。
作曲できる人なら、少なくても数十曲レパートリーも作っておきたい。
プロが飲みに来るバーにバイトで入ったとして、数年間会うこともできなくても、自分の責任(戦略ミス)になってしまう。
ハードな戦略なので、試す場合は自分にできるのかよーく考えて、自分の責任でやってほしい。
恐ろしい独り言「出てくる人は出てくる」
最後に、私があるメジャーレコード会社の新人発掘担当者と一緒にいた時、その担当者が言っていた独り言を紹介しよう。
「出てくる人は、どこにいても出てくる」
誰かに言った言葉じゃない。
自分に言い聞かせるようにぽろっと小声で出てきた独り言だった。
その言葉を聞いた時は軽く戦慄が走った。ピリッとなったよ。なんて怖い言葉だ。でも、そうだな、と思ってしまう。
メジャーデビューを実現する方法にパターンはない。人ぞれぞれみんな違うのだ。だから単に誰かを真似てもなかなかチャンスはつかめない。
君自身が、自分をしっかり持って、よく考えて工夫して、毎日何かしら「やるべきこと」をやるということだ。
こう書くと特別なことはないし、具体的にやることと言えば、誰でもできることだ。
でも、自分をしっかり持っていないと、いつか何かに飲み込まれてしまう。
昭和の日本を代表する歌手、美空ひばりさんは、太平洋戦争直後、日本の至る所が焼け野原だったところから、それでも出てきた。
時代や歴史というような面も、そのうち別の記事で取り上げようと思う。
出てくる人は、どこにいても出てくる、か・・・。おーこわ。
君が「出てくる人」なのかどうかは、それは君次第のことなのだ。
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