日々棒組み884 便意は気から
今日は持病の診察のため、有給休暇を取得。いつもよりゆるやかなゆるやかな朝。
朝食を終えてゆったりとしているとゆったりと便意が。
ゆったりトイレに入ると思いのほか大量排出。
時々こういう日がある。
何日か便秘が続いた後やってくる呆れるほど出てくる日。
そんな日を私は「ウンコの日」と呼んでいる。
結局病院に出かけるまでに2回トイレに行った。
それでもさすが「ウンコの日」。まだ少し残ってる感があったが、そろそろ出かける時間だ。
駅に向かって歩いているとやはり便意が。
そんなに強くはなかったのと、尿もいっしょに輩出してしまうおそれもあったので(病院で尿検査がある)、トイレには寄らずにそのまま進行。
電車ではすぐに座れたので、やや寝不足気味だった私はすぐに目を閉じて眠る体勢に。
しかし便意が徐々に強まり、眠い、でも気を抜けない、でも眠い、でも気を抜いたら大変なことに、という葛藤の中、椅子に座り続けていた。
ら突然、
「あら大変!あら大変!大丈夫ですか?大変!」
という女性の声。
目を開けると車内は結構混んでいて、右3メートルあたりから異常を告げる声は聞こえるが、状況はほとんど見えない。
やりとりからすると誰か倒れたようだ。
発車したばかりだったがひとつ離れたドア付近にいた人が非常ボタンを押すと電車は停止、様子を聞いた駅員から次の駅で対応する旨伝られ、電車は再び走り始めた。
倒れた人は意識はあるようで、座席を譲られ、最初に声を上げた人に介抱されているようだった。
吐き気があるようで、その女性が
「どなたかビニール袋のようなものを持っていませんか?」
と声をかけると周囲の人が一斉にカバンを探り、誰かが “ビニール袋のようなもの” を差し出した。
「ティッシュをお持ちではないですか?」
と言うと皆カバンを探り、最初に見つけた人がティッシュを差し出す。
「蓋を開けていない飲み物をお持ちの方はいませんか?口をつけていない飲み物をお持ちの方はいませんか?」
感染に対する配慮も忘れていない。誰かから未開封のペットボトルの水が差し出された。
なんという善意の連携プレー。暴走する電車を救い力尽き素顔を晒したスパイダーマンに、乗客たちが見せる善意に満ちた態度を思い出した(映画『スパイダーマン2』より)。
次は
「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」
という言葉が聞かれるはずだったが、その前に次の駅に着き、すぐに駆けつけた駅員が連れて行った。詳しい様子はわからなかったけど、中心になって対応していた女性も一緒に降りたようだった。
付き添ってあげるつもりなのか、偉いなぁ、と思ったら
「私もここだったわ」
と言う声が聞こえたような気がしたが、聞き違いだったかもしれない。
しかし周囲にいた人たちみんな「なにか手伝えれば」と動いていたのには感動した。
それだけにあの人が(姿は全く見えなかったが)軽く済めばいいな、と本気で思った。
善意の人々に幸多かれ。
そして気づくと。
便意は全く消えていた。
病院で診察を終え、会計を済ませ、電車で帰宅、処方箋を持って近所のウェルシアで薬を購入。
その間にも便意は戻ってこなかった。
昼食を済ませても戻ってこない。
もう自宅だ。いつでも来いだ便意。むしろ来てくれだ便意。
しかし便意は戻ってこなかった。
「ウンコの日」終了。
善意に勝る便意なし。