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【日記】『えんとつ町のプペル』を観て



「そんな趣味みたいなこと、仕事にすんの?」


当時、付き合っていた人からこんな風に言われたことがあった。

約6年前、わたしはハンドメイド作品の制作を始めた。


「他にバイトとかせーへんの?」

とも言われた。その気持ち、決して分からなくはなかった。その頃はまだ、ハンドメイド=趣味というようなイメージが強くて、それ1本で仕事にしている人が少なかったからだ。

だから、彼からそんな風に言われても、腹が立つことはなかった。

でも、ただただ、悲しかった。

それまでは、自分のやりたいことが分からなくて悶々と生きていた。漠然と、「何か1つでいいから、自分が魅力的になれることを見つけたい」という夢はあった。でもそんなものは儚い理想で、簡単に見つかることはなかった。

そうして6年くらい悩んだ末、本当にいろんな縁が重なって、「もしかしたら、これなら私の夢を叶えられるかもしれない」と、ものづくりの世界にたどり着いた。

とは言え、ものづくりを仕事にしたいから始めたわけではない。どうにも不器用な私は、いろんなことを同時にできないもんだから、このチャンスに自分の全熱量を注ぎ込むことしかできなかった。

だけど、日々の暮らしもあるから。やりたいこと と 暮らしのことを両方叶える方法として、自然と、ものづくり=仕事にする形を選んでいた。


そんな私を見て、もちろん彼だけでなく、身近な友人も、仕事として認めてくれる人はあまりいなかった。たとえば、始めてから数年が経っているのに、なんの結果も出ていなかったとしたら、否定的な意見も受け入れたかもしれない。でも、すぐに否定されるのは、とても悲しかった。

安定した仕事でないと、認めてくれなかったのかもしれない。

だけど、ただただ、応援して欲しかった。


もちろん自分にも、この道が正しいのか?なんていう確信はなかった。だけど、失敗する未来を想像することもなかった。直感のままに、前に進んでいた。

とは言え、「やってみなくちゃ分かんないでしょ?」と言い返す強さはなかったし、絶対に見返してやるんだ!とかいう反骨精神があったわけでもない。


とにかく、始めたての自分に必要だったのは、誰かの応援だった。肯定だった。

だから自然と、否定してきた人たちの元を離れて、私のことを応援してくれる人がいる場所へ、自分の居場所を変えていったように思う。周りの応援で、気持ちを高めることができたし、どんどんチャレンジすることができていった。


***


作家活動を始めてすぐの頃、私にもこんな経験があった。


それから約6年、私は作家を生業として優しく暮らしてきた。

その中で、見つけたかったものを見つけられたような気がしている。


決して大きな世界を動かしているわけではないけれど、いろんな努力とチャレンジを積み重ねて、いろんな辛さを乗り越えて、活動を続けることができていた。


きっと今、わたしの作家人生を笑う人は少ない。

6年前、認められなかったことを、認めてくれる人がたくさんいる。


***


映画、えんとつ町のプペルを観た。

ルビッチが、周りからどんなに笑われようと否定されようと、煙の向こうに星があると信じて、上を向き続けて、星を見つけに行ったように、

私もこの6年の間に、たくさんの星を見た。


だけど、実は私も、作家活動を始める前は、ずっと心が煙に覆われていた。

「何か1つでいいから、自分が魅力的になれることを見つけたい」という漠然とした夢は、一生叶わないんじゃないかって、諦めかけたこともあった。

煙の向こうに、星なんてあるんだろうか?

たとえあったとしても、私には見ることができないと思っていた。


でも、違った。


星はちゃんとあった。


わたしは何度もいろんな星を見た。



映画『えんとつ町のプペル』の劇中、

画面いっぱいに、星が現れるシーンがある。

本当に、本当に、たくさんの星。

眩しいくらいの星空が描かれている。



そのシーンを観て、

わたしも、少し前にこの風景を見たことがある....

と、涙が溢れた。


***


というのも、

2020年、新型なんとやらの影響で、私の心は、また煙に覆われてしまったのだった。

出展イベントがなくなり、友達とも会いづらくなった。だいすきな旅にも行けなくなった。毎日、お部屋の椅子に座って、机に向かうだけの生活。孤独と向き合う時間だけが過ぎていった。

人に会うこと、景色を見ること、何か経験すること、体感すること、そういったものが作家活動の原動力であり、わたしの心を動かしてくれていたから。

去年、まんまと心が動かなくなった。

もともと心が強い方ではない。だから、ギリギリ倒れないように気をつけることで精一杯になってしまった。2020年の後半なんかは、「今の目標は、今年を無事に終えること」ただそれだけになってしまっていた。ものづくりをする暮らしにおいて、情けないほどの目標になってしまったいた。

星を見る、なんてことは到底できなくなっていた。


***


だから、

映画『えんとつ町のプペル』の劇中、

画面いっぱいに、星が現れるシーンになって

眩しいくらいの星空を見た時、


わたしも、少し前にこの風景を見たことがある....と、涙が溢れて

そして

またこの星を見たい...と、胸がいっぱいになった。


そしてルビッチのように、
みんなにも星を見せてあげたいと思った。



煙の向こうには、絶対に星がある。

だけど、

煙を越える力がないと、星を見ることはできない。

上を向いて行動した人にしか、星を見ることはできない。


また今日からすぐに、全速力で走れるような自信は、ちょっとないけれど、

えんとつ町のプペルを観て


またこの星を見たい、みんなにも星を見せてあげたい


久しぶりに、そんな風に思えた。

ほんの少しだけど、わたしの心がまた動いたような気がした。やっぱり自分はそうやって生きていたいんだなって。


***


作家活動をする中で、新しい夢もある。

その夢を話すと、たいがいの人は、「あらあら〜なかなか夢みがちな話やね。叶うといいね〜あはは」って顔をする。

でも、その夢に向かって少し行動をしていた日もあった。そうすると、初めは笑っていた人も、あら意外と現実味があるのかな?と寄り添ってくれるようになる。あなたなら叶えられると信じてる、って言ってくれる人もいる。

去年は、その夢のことも忘れそうになるくらい、ぼんやりしてしまったけど、やっぱり新しい星を見たい。そして、応援してくれる人たちにも、その星を見せてあげたいと思う。


***


えんとつ町のプペル。

絵本が原作の物語なんだけど、映画を観るきっかけは

YouTubeで配信された、WinWinWiiinという番組だった。

この番組で西野さんのお話を聞いているうちに、興味を持って映画館へ行った。


今、この映画を観に行って、本当によかったと思う。刺さるセリフもたくさんあって。うろ覚えだけど、「こんなところで終われるものか」というようなセリフには心が痺れてしまった。

映画を見終わって、拍手したのは初めてだった。

ちょうど西野さんが映画館に来られる日に観に行くことができて、より思い出深くなった。原作者の方と一緒に映画を観る体験ができるってすごいなあ。それもまた勉強の1つになった。


***


映画館からの帰り道、

映画の中で感じたいろんな想いを忘れたくなくて、本屋さんで絵本を買った。

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なんとなく、ぼんやりだけど

久しぶりに少しだけ、上を眺められた気がする。








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