3月23日、鬼才、ロマニウクが織り成す驚くべき鍵盤楽器絵巻、すくい上げられる音楽の鼓動、"PERPETUUM"。
鬼才、アンソニー・ロマニウクが、ピアノにチェンバロに、ヴァージナルから、電子ピアノ、果てはシンセサイザーをも用い、バロックからミニマル・ミュージックまで、とにかく弾き尽くす、"PERPETUUM"!
ALPHA/ALPHA913
ファツィオリのピアノで弾く、ポスト・ミニマル、ジョン・アダムズ(b.1947)の「中国の門」で始まり、1835年製、コンラート・グラーフのピアノで弾く、サティ(1866-1925)の「歪んだ踊り1」が続き、電子ピアノで弾かれるバッハ(1685-1750)の前奏曲(BWV 1006a)に、再びファツィオリのピアノで弾かれる、アヴァン・ポップ、ペンギン・カフェ・オーケストラの「永久機関」からの、リゲティ(1923-2006)の6番の練習曲... とにかく縦横無尽に鍵盤楽器を繰って、中世から現代まで、"PERPETUUM"、無窮動をテーマに、驚くべき鍵盤楽器絵巻を展開するロマニウク... いや、凄いです!
で、リゲティの後に、シューベルト(1797-1828)の3番の即興曲、グラス(b.1937)の後に、シューマン(1810-56)の『ウィーンの謝肉祭の道化』の前奏曲なのです。大丈夫なのかと心配になるくらいのごった煮感... けど、ただのごった煮ではなく、というより、計算し尽くされた選曲であり、構成であり、ロマニウクのこだわりがつまった楽器のチョイスであり、その全てのピースがぴたりとはまって、多種多様な音楽に底流していた"無窮動"は浮き立ち、心地良いパルスを降らして聴く者を別次元へと誘う...
という、"PERPETUUM"を展開したロマニウク、その演奏もまた驚くべきもので、ピアノも、ヴァージナルも、電子ピアノも、最後はシンセサイザーまで、何てことなく飄々と弾き切ってしまう!弾き切って、連綿と脈打って来た音楽の鼓動(perpetuum)をスーっとすくい上げる巧みさ... 鼓動の上に成り立って来た表情や運動ではなく、鼓動そのものに注目した斬新さ!で、その鼓動から詩情を引き出す妙... 一見、トンデモのようで、得も言えぬ心地良さに貫かれ、不思議、圧巻。
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