1月3日、ピリオドによるドビュッシー、浮かび上がる素の表情、初々しさから成熟へ、
フランソワ・クサヴィエ・ロト率いる、ピリオド・オーケストラ、レ・シエクルの演奏で、ドビュッシーの代表作、オーケストラのための3つの交響的素描『海』と、学生時代の作品、第1管弦楽組曲。
harmonia mindi/HMM905369
『海』が目当てで聴いたのだけれど、その前に取り上げられる、第1管弦楽組曲(1883)が、おもしろい!作品の存在は知られていたものの、長い間、行方不明となっていた作品で、2006年に再発見された作品(が、第3曲、「夢」は、紛失したままで、作曲者自身によるピアノ連弾版からマヌリがオーケストレーションを施し復元... )。で、ドビュッシーの最初のオーケストラ作品だろうとのこと... いや、なかなかに興味深い作品です。でもって、初々しい!若き作曲家の希望の匂いが漂い、ほんわか、楽し気で、フランスらしい花々しさに包まれれば、何だかお正月っぽいではないですか!まだ印象主義には至らない若きドビュッシーの"ほんわか"に魅了される!
で、『海』(1903-05)です。ピリオドによるドビュッシー、それも代表作『海』ということで、興味津々!いや、これまでにない海の風景が広がる... モダンだったなら、ここぞとばかりに、交響的に、ド派手に鳴らすところ、スンと響きを落ち着かせて、この作品の絵画性(交響的素描だし... )、引き立てる。なればこそ、より海の風景が感じられ、何だか、浜辺に立ち潮風に吹かれるような、そんな瑞々しさ生む、レ・シエクル...
いや、近代音楽の入口で燦然と輝く「海」だけれど、近代音楽というフレームを横に置き、もっと素の表情を浮かび上がらせてしまうロト。この異才ならではのより大きなスパンで作品を捉える視点... 20世紀の音楽にして19世紀的な性格を隠さない斬新さ... 過去を意識して醸される落ち着きと堂々たる居住まいに魅了された。そして、"ほんわか"から堂々へ、作曲家の成熟も、このアルバムの聴き所。