1月28日、本当に北ドイツ?その色彩感、明朗さ、もう完全にイタリア!驚くべき、ゼレ・ワールド!
モニカ・マンデラルツ率いる、ハンブルクの古楽アンサンブル、ミュゼズ・フェローズの歌と演奏で、17世紀、北ドイツで活躍したゼレの2声のためのコンチェルト集を取り上げる、"Kinder des Liechts"。
Coviello CLASSICS/COV92214
1641年から、ハンブルク、ヨハネウム学院のカントル(実質、自由ハンザ都市ハンブルクの音楽監督、後に、テレマン、C.P.E.バッハが歴任... )として活躍した、ゼレ(1599-1663)。なのだけれど、ハンブルクで仕事をする前、ハンブルクから北西へ50Kmほど行ったイツェホーのカントールに就任した年、1634年に出版された、2声のためのコンチェルト集。在地の領邦君主、シュレースヴィヒ・ホルシュタイン・ゴットルプ公一家に捧げられた、ラテン語とドイツ語による10曲の教会コンチェルトからなる。
まず、教会コンチェルトの前のイントラーダの存在感に驚かされた... オペラでも始まりそうな、そんな雰囲気満点の音楽!からの、モンテヴェルディのマドリガーレかというような麗しさと豊かな表情を見せる教会コンチェルトにまた驚かされた!いや、その色彩感、明朗さ、もう完全にイタリア!一方で、その時代のイタリアのコントラストのキツい音楽とは趣きを異にし、ふわーっとブルーミンなのがゼレ流... このあたり、ドイツ・バロック本来の素朴さ、効いている?にしても、本当に北ドイツ?
という、ゼレの2声のためのコンチェルト集を聴かせてくれた、マンデラルツ+ミュゼズ・フェローズ。彼らのピュアな歌声、何とも雅やかで、ちょっと浮世離れした表情を見せ、不思議... いや、これくらいだから、際立つ、ゼレ・ワールド!器楽陣も手堅い演奏を繰り広げ、イントラーダと終曲では堂々のサウンドを響かせつつ、通奏低音としては、歌声をより自由に羽ばたかせるようで... いや、彼らの歌、演奏に触れていると、一足早く春がやって来たような気分に...