8月18日、ルネサンスとバロックが融け合うローマらしさ... マッツォッキのマドリガーレ、芳しい!
エティエンヌ・メイヤー率いる、フランスの古楽アンサンブル、レ・トラヴェルセ・バロックの歌と演奏で、マッツォッキの5声のマドリガーレ集。
17世紀、イタリア、カウンター・カルチャーとして楽壇に衝撃と論争をもたらしたバロック... けど、ルネサンスの伝統(古様式)が息衝く聖都、ローマでは、もうちょっと緩やかな受容がなされたか?というあたりを垣間見れるのが、ここで聴く、1638年にローマで出版された、マッツォッキ(1592-1665)の5声のマドリガーレ集。
ルネサンス・マドリガーレをベースにしながら、バロック流に器楽伴奏を添え、バロック的に表情に富む歌いで多声を綾なし、花やかな音楽を編んでくるマッツォッキ... 驚くべきは、ルネサンスとバロックがぶつからないこと!いや、伝統と革新、絶妙なバランスを取っていて... このバランス感覚が、ローマの作曲家の矜持かなと...
ローマ教皇領、チヴィタ・カステッラーナで生れ、ローマで研鑽を積み、ローマ楽壇、最大のパトロン、バルベリーニ家(ローマ教皇、ウルバヌス8世を輩出し、権勢を誇った名家で、バルベリーニ劇場を建設し、ローマをオペラの中心地に押し上げた!)の支援を受け、活躍した、マッツォッキ。伝統はデフォルトの聖都において、革新は上品に取り入れられる?そうして育まれるローマらしさ!このローマらしさを味わうマドリガーレだったかなと... 色彩に富み、何とも芳しい!
というマッツォッキを聴かせてくれた、メイヤー+レ・トラヴェルセ・バロック。いやー、花々しいです(この花々しさは、フランス風?)。そのふわっとした歌声に、心地良い器楽アンサンブルの演奏が相俟って、17世紀、ローマの上品な明朗さ、麗しく響かせる!で、改めて、音楽都市、ローマを再発見できた。