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ライドカメンズ「SHOW MY CARDS」イベント覚書

※話の流れ、セリフなどネタバレ部分があります。
※文章は加筆修正することがあります。
※間違えている部分、補完できる情報があれば教えてください。

〇イベント『SHOW MY CARDS』

今回もクラス越境イベントである。タロット占いをテーマに物語が進む。
星4の浄と高塔雨竜、星3ルーイと星2宗雲はガシャで入手できる。また、星3颯、星2高塔戴天はイベント報酬である。
なお、浄と雨竜、ルーイと颯はカオスワールドに関わるため、それぞれのタロットに由来する衣装がある。

〇イベントストーリー『Reverse&Now』

イベントストーリー『Reverse&Now』では、浄の客である占い師の女性レイが「浄を私だけのものにしたい」と思い詰めカオスワールドに囚われてしまう。それがきっかけで浄の過去が明かされるというものだ。ついでにウィズダムシンクスの重要な謎も明かされる。そのため一部から「これはライダー冬映画」「イベントストーリーじゃなくメインストーリー」などと囁かれている。しかも執筆は高橋悠也先生。だから今のうちにストーリー解放をしてぜひ読んで欲しい。

それぞれのカードの調査エピソード及びサポートエピソードは、「高塔エンタープライズで開発した占いアプリ」もしくは「宗雲のタロットカード占い」のどちらかが軸になっている。こちらもそれぞれ本編や他のエピソードと繋がる要素が含まれている。

各エピソード繋がりのまとめ
ご意見あれば教えてください。

〇イベント限定リンクスキル

『ライドカメンズ』ゲーム内より参照
(ガイドライン参考:https://www.ride-kamens.com/news/post-16480/
ちなみに「タワーエンブレム」は恒常リンクスキルでもある。

今回のリンクスキルは、調査エピソードで出番の多い「宗雲・浄」の組み合わせがない。その代わり今回直接関わりのない「宗雲・戴天」がある。前回もそうだったが、この辺はどういう意図でピックアップされているのだろうか。
また、星4である浄と雨竜のリンクスキル「Lovers & Justice」は、ストーリーで示されるそれぞれのタロットカード(「恋人」と「正義」)だろう。

〇キャラクターに示されたカードについて

今回出てくるキャラクターには、それぞれタロットカードが示される。示されたカードのモチーフはエピソード展開の鍵となりつつ、彼らの運命そのものと重なっていく。
エピソード全てを網羅できてはいないが、分かる範囲で登場したカードと私の解釈をまとめていきたい。

〇浄「恋人」(逆位置)
イベントストーリーと調査エピソードで示される。
占い師レイの占いで示された「恋人」逆位置は「遊びの関係」を指しているが、「楽園からの追放」という意味もあるらしい。
浄は過去の出来事を悔やんではいるものの、女性を誑かすことを止めない。むしろ、泣かせないためなら誑かすことを躊躇しない。そんな浄だからこそ、贖罪のために”居心地の良い”ウィズダムシンクスさえも裏切らなければならない日がくるのかもしれない。それほど浄は贖罪に対して真摯である。
今回浄の過去を開示したことは、イベントストーリー10話戴天の「知られても構わない情報しか教えていませんよ」というセリフと同じなのではないか。相手に重要な情報を開示することによって、本当に秘めておきたい真実を見えにくくしているように思えてならない。

なお、まだ謎の部分としては「カオスワールドに出てきたタロットカードは何者か?」(浄「俺を試すようなその口調、どこかで聞き覚えが…」)の件がある。個人的にはトルスではないかと思っているが、今ここでは言及しない。こちら第二世代のカオストーンであるため、浄のカオストーンである可能性が高いことを失念していた。浄も記憶を奪われている…?

〇高塔雨竜「正義」
イベントストーリーで「正義」に由来する衣装で登場する。
正位置逆位置で意味が変わってくる、という浄の言葉がヒントだろう。正位置では「公正・秩序」を表すが、逆位置では「公私混同・板挟み」などを指す。あえて位置がぼかされているのは、兄を信じているが信じ切れないという彼の迷いを示しているのか。調査エピソードでも示されているかもしれないが引けなかったので不明。

また「雨竜の『正義』は浄の鏡ではないか」という意見を見かけてとても興味深く感じた。確かに亡くなった女性警察官は「正義」そのものの人物である。ライダー最年長である浄の「軽薄な恋」が過去に突きつけられた法の下の「正義」、それが今度はライダー最年少である雨竜によって突きつけられる。ドミナに襲われる浄、浄を怪しみながらも救おうとする雨竜の「正義」。それはあの時自分をかばった女の姿の再現だ。ここに『Lovers & Justice』のリンクスキルが重なる構図が素晴らしすぎる。

〇ルーイ「隠者」(逆位置)
メインストーリーと調査エピソードの両方で示される。
調査エピソード『運気低迷の日』では、高塔エンタープライズの占いアプリで「近いうちに何かいいことある?」を占われ、「あなたの過去」として『隠者』の逆位置、「今日の運気を示す」として『節制』の逆位置、「今週の運勢」として『塔』の正位置が示される。どれも悉く散々な結果である。
また、イベントストーリーでは「隠者」の衣装、そして占い師レイの引いたカードもやはり「隠者」逆位置であり、挙句「過去を見ることで今から目を背けている」と指摘されてしまう。
「隠者」逆位置は「孤独」「現実逃避」などの意味があるという。前回のイベント『Daze and Night』で、同クラスで同期生の静流は過去のわだかまりを解消し、少しだけ前に踏み出す様が描かれていたが、ルーイはどうだろうか。占いの結果は散々だが、部屋の外に踏み出した先々で彼が出会うのは「今」を生きる颯なのである。

〇颯「愚者」(正位置)
イベントストーリーと調査エピソードの両方で示される。
調査エピソード『『愚者』の長所』では宗雲に占われ、1枚目は「今日の営業がどうなるか」として「運命の輪」逆位置、2枚目は「アドバイス」として「愚者」正位置。
イベントストーリーではやはり占い師レイに「愚者」正位置を示され、「ときめく出会い、一目惚れ」を告げられる。
「大切な「今」を輝かせるために、僕は守るべき人を守る。そうすれば今の僕は笑っていられるからね。」の台詞にあるように、颯が見据えるのは「今」だ。ここで「隠者」逆位置であり「今」から目を背けているルーイとの対比が生まれる。まさにタイトルの『Reverse&Now』の構図だ。ちなみに「Reverse」とは「逆位置」のことを表す。
これは憶測であるが、逆位置を示された浄が雨竜と過去の再現をしたように、ルーイと颯も過去の再現をしているのかもしれない。

〇高塔戴天「皇帝」(正位置)
戴天の調査エピソード『占いと決断力』で示される。
占いアプリ「今あなたが職場で求められていることは何?」で「皇帝」正位置が示される。「皇帝」は「社会的な成功」を意味するカードだ。
戴天は占いについて「人生は自らの手で切り開くものです。私自身は占いに頼ることはしません」と言い切るものの、良い結果が出てご機嫌でバーに行く姿に、素の彼の人間らしさを感じられる。

〇宗雲「太陽」(正位置) もしくは「月」
浄のサポートエピソード『占いの才能』で示される。
浄が宗雲を占い、引いたのが「太陽」正位置である。これは「幸福や成功」を意味するが、宗雲の天然さが発揮されたためにこの時何を占ったかは不明である。

また、宗雲の調査エピソード『占いとの向き合い方』で「月」が示される。
エージェントに占いの解説をする中で適当に引いた1枚であるが、この時エージェントは「(月は)宗雲さんらしいような気がします」という感想を述べる。「月」は「闇の中で抱える漠然とした不安」を意味すると宗雲は語る。
だが、浄の占いでは宗雲に「太陽」が示されたことを考えると、むしろ「月」はエージェントを指しているのではないか?と思われる。実際、エージェントは通りすがりの占い師に言われたことを引きずり、不安を抱えて宗雲の元にやってきたのだから。

〇散りばめられた対比

今回のキャラクターは占いに対する姿勢の違いが描かれる。
占いを信じないと言いつつ気にするルーイ。
信じないと言うものの、良い結果に喜ぶ戴天。
一切信じず、自分の心がけ次第だと考える雨竜。
占いはツールであり未来を変えるものという宗雲。
占いは遊びだと言い切る浄。
占いをピュアに信じ切る颯。
そしてエージェントは占いによって自分の迷いに気付く。

他にも対比になっていると思われる部分が多い。
・戴天に唆されて浄の身辺調査をする雨竜と、気付かないうちに浄の思惑通りに動いていた颯
・颯のカフェラテを拒否するルーイと、喜ぶ雨竜
・宗雲のタロットと、戴天の占いアプリ
・ドミナとトルスの対応の違い
・ねぎらわれる雨竜と一人で飲みに行く戴天
こんなに色々な要素を入れつつ話をまとめあげる手腕よ。

〇今回示された重要人物

メモとして残しておく。

〇長官
警察庁特命諜報機関「ウィズダムシンクス」の後ろ盾であり、浄の過去を知る警察の偉い人。
影だけの登場なのでビジュアルはモブおじさん。

〇高塔絶空
今までもタワーエンブレムのクラスストーリーで示されていたが、ようやくストーリーに名前が出てきた。戴天曰く「我らの父」(※要確認)。高塔エンタープライズの前社長で、今は名誉会長の座にいる。

〇下町地区のライダー
戴天に「行雲流水にして天馬行空」と言わしめる謎の追加ライダー。
今はまだ何も分かっていない。
→でももうイベントの予告が来ている!?

〇あとがき

今までの話で今回のイベントストーリーの凄さはもう十分理解していただけたと思う。だから、ここから先は蛇足なので読まなくていい。私の個人的な怨念とラブレターなので。

私は仮面ライダーゼロワンをリアルタイムで視聴してきた。当時、毎週解釈漫画を描く程度には思い詰めていた。毎週描くのはまあまあ厳しかったが、それでも取り憑かれたように描いていた。

ルーイと颯のモチーフは、ゼロワン世界のヒューマギア滅と迅だ。そのため、私は彼らに並々ならぬ思いがある。
私はライドカメンズのライダー全員大好きになってしまっているので、全員幸せになることを祈っているが、それとは別に、ルーイと颯には「人間としてどう生きるか」を見せて欲しいのだ。ゼロワンで飛電或人が掲げた「夢に向かって飛べ」を、もう一度違う形で彼らに体現してほしい。もっと言うなら、人間としての彼らのエゴが見たい。エゴを抱えて走りぬいて欲しい。そうでなければ私が困るのだ。皆の幸福を願っていた或人のためにも、あの頃の私のためにも。これは私の単なるエゴだ。(だから、このあとがきは蛇足だと初めに説明したし読まなくていい。)そんな願望を抱えていたため、今回のイベントでルーイの「お前にだってあるんだろーが。戦場に向かおうとするその眼差しの奥に秘めた想いってのがよ」がとても嬉しかった。眼差しの奥にあの頃の彼らを感じられたから。彼らが得た心に夢が残っているから。高橋悠也先生の手で彼らの関わりが見られたことがとてもとても嬉しい。

高橋悠也先生!!!ライドカメンズの製作の皆様!!!本当にありがとうございました!!!!!!!!!!

参考文献:『もっと本格的にカードを読み解く!神秘のタロット』(メイツ出版)
https://www.mates-publishing.co.jp/archives/16737