知るという怖さ

今日が?最終日?バイト先にヘルプを頼まれて恩義を返すつもりで行ったけど、確かに少ない作業数。しかし、これが手のかかる作業。本当にまいった。普通なら手のかかる作業と楽な作業を混ぜて作業表を渡されるのだが、全て手のかかる作業…。仕方ないと思いながらも、体調の気遣いされながらも、「もし入院の予定が決まって、17日可能なら出てくれると助かる」…うーん、正直入院生活も想像出来ないし、明日どんな内容を知らされるか分からない。それに説明を聞かないと準備するものも変わってくる。それを短期間で行うのか、まだ先になるのかも分からない。どちらにせよ関係各所に連絡や申請をしないといけないことが多数ある。また、家族との時間も作らないといけない。

思案しながら作業を始めると、正社の若い女性が頭を下げてきた。「あ、新しい方ですよね。私〇〇といいます」こちらも作業しながらなので会釈をして8月からいますよ、とマスク越しに笑顔で返した。今日はフロント迄清掃に回されているのか。そんなに人が足らないのかと思案しながら、この娘はニコニコしながら作業をして、今後もよろしくお願いしますねと。私は本当なら当面お休みを頂く身だったので、と返したらビックリした様子だった。まあ、知らなくて当然だろう。本来なら首になってもおかしくない。人手は常に必要。オイラみたいな年齢なら世捨て人か、セカンドライフの人か、または学生、アジア系の人間じゃなきゃこんなゴミの掃き溜めのような場所には来ないだろう。しかしこの掃き溜めのおかげで、綺麗な服を着てお客をもてなし、案内できる。この場所がなければ仕事が回らない。正社でも新人研修でここの作業を覚える必要性はあるらしい。しかし、新人でもないこの娘が来て作業していると言うことは、何かポカをやらかしたか、人手がフロントで余っているのどちらかだろう。早々ヘルプで正社を呼ぶ事はないはずと、思案の結果だった。

作業を終えて、作業記録に自分の担当数を記入していると、その娘も事務所にいた。ニコニコしながらも此方は終わったので、会釈をして事務所を後にした。自分もこの道を選んでいたら、この娘と同じ景色を見ていたかもしれない。しかし、自分で選んだもう一つの違う道。そういう専門学校を出ている。お互いに知らなくても良い事の接点だった気がする。まあ、次会う時は顔も覚えていないだろうけど。

明日は病院に予約を入れている。入院と治療に関する事を話されるだろう。先週の宣告で、日に日に「自分は癌か」と強く思うようになり、同時に現実逃避を同じだけの強さで行っている。患部も気になるし、毎日鎮痛剤を飲まないと痛みと気だるさが取れない。自分が「癌」と認識したからか?確かに、落語でも浮気をする為に女房が旦那に「あなたの病気は治らない」と単なる風邪なのにずっと言い聞かせていると、その旦那は寝たきりになる。女房は若い男と恋慕を重ねる。金を渡して医者にも「もう手遅れ」と言わせて骨と皮だけに痩せこけて、最後に「奥様が浮気するため、嘘をついています」と番頭から耳に打ちされると烈火の如く怒り、女房と恋慕相手を番所に突き出すと言うオチだ。

周りから言われる、自分が認識する。それだけで人を生かすも殺すもできる。念なのか、言霊なのか、それは分からない。

自分もそう。知らなければ、大したこと無いとずっと言い聞かせていたかもしれない。

腹はくくったつもりでも、「覚悟」がまだ足りぬか。

今はこのnoteを書き続ける事が自分の存在意義なのかもしれない。

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