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「自分の頑張りで、周りを活気づけたい。」離島まであと少しの、今。
島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島体験に参画している
7月生の「今」にフォーカスした「私たちの足跡」。
彼らはどんなきっかけで島を知り、
今、どんな想いを抱えて島にいるのでしょうか?
7月生一人ひとりが歩んでいる物語、
そしてその足跡をお届けします。
今回は、北野伸太郎さんにお話を伺います。
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ずっと地方創生に興味があった。実際に現場に足を運んでみたくて島体験へ。
自分の地元は昔からだんじりや盆踊りなどの伝統行事が盛んでした。
でも、少子高齢化でその文化が衰退したり、引き継ぎがいなくなることを目の当たりにして。
地元が好きだから、その現状を解決したい。
そう思い、ずっと地方創生に興味がありました。
就活を終えて、「最後になにをやり残したんやろ」って考えたときに、
地方創生をやりたいといいながら、実際に現場に足を運んでやったことがなかったことに気が付いて。
「地方創生」「短期間」って調べたら、
休学期間中に行ける3か月の島体験を見つけて、参画することを決めました。
他にもインターンはあったけど、2泊3日や1週間の期間よりかは、もうすこし長い期間でやってみたかったんです。
ーー実際、島に来てみて
それまではずっと大阪と東京の2拠点生活をしていたので、いわゆる島の生活って「少子高齢化進んでるのかな?」とか「おじいちゃんおばあちゃんがたくさんいるのかな?」とか空想上でしか想像ができなくて。
でも、実際に島に来てみると、若者がたくさんいて。
結構、それが僕のなかでは印象的やったな。
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都市と地方を結ぶ架け橋になれるような人になりたくて。
僕は、「都市と地方の大交流プロジェクト」の採用チームで働いています。
主に、島に来られる応募者の方の面接であったり、移住ツアーの内容決めなどをやっています。
その他では、ビアガーデンや、セントラル亭のコワーキング運営などに携わっています。
ーーどうして大交流プロジェクトで働こうと思ったの?
いちばん興味があったのが、大交流プロジェクトだったからかな。
都市と地方を結びつけないと人が来にくいのかなってずっと思っていたので、都市と地方を結ぶ架け橋になれるような人になりたいなってめっちゃ思ってて。
他にも面白そうな取り組みをしてるところはたくさんありました。
でも、大交流プロジェクトのテーマが「都市と地方を繋いで還流をおこす」こと。
いちばん自分がやりたいことに近いと思ったので、大交流プロジェクトで働くことにしました。
ーー実際に働いてみて。
それは、もう楽しい(笑)
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新しいことを知るのが好きで。
だから、本土にいたらわからなかった現場を自分の目で見れること、
地方の受け入れ側の視点に立って物事を見ていることが、すごい楽しいです。
働くなかで気付いたこと
今までは「仕事がないから」「地方は過疎化が進んでるから」、
都市から地方へ人が流れにくいのかなって思ってました。
でも、実際に働くなかでみてみると、他にも「都市から地方へ人が流れにくい」リアルな理由がすごく分かって。
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自分たちから足を運ばないと、島民の方と深く関わることができないということを学んで。
きっかけは、島体験の研修のときに、ホテルで働いている方とお話しする機会があったとき。
「結局、島に来ても3か月や1年経つとどこかに行っちゃうことを良くないと思ってる人はたくさんいるよ。」
と言ってくださって。
その話を聞いて、もちろん、島民の方から自分たちを誘ってくださることはあるんですけど、島民の方の誘いを待つだけじゃダメだなって。
自分たちからも、島民のためになにかしらできないかということを考えて、関係性を築けるようなイベントを開催しないといけないんじゃないか。
海士町がどれだけ島外の受け入れが寛容な環境であったとしても、もちろんそれをよく思わない人もいると思う。
地方だからこそ、横とのつながりって切っても切れないもので。
なので、自分たちから溶け込む姿勢を見せることが、ひとつ島民の方との関係性を築くうえで大切なことなんじゃないかなって思った。
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海士町にコワーキングスペースを。
きっかけは、もともといろんな人から「作業場所的なスペースがない」という声を聞いたとき。
海士町は公共施設や飲食店が早く閉まってしまい、夜に作業したい人の拠点となるような場所がありません。
それに海士町は無料で利用できる場所は多いけど、ちゃんとした作業スペースはないなって思ってて。
今は、テレワークが結構進んでるから、そういった場所があれば、より島外からの人を受け入れやすくなるんじゃないかなと思い、コワーキング営業を始めることにしました。
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ーー実際やってみて。
率直に言うと、難しい。
「あったらいいな」くらいの需要だから、人が来てくれると言われたら、入ってこないっていうのが現状で。
実際、誰も来なかった日もありました。
都会と比べるとデスクワークをする割合が島民のなかでは少ない。
「どうやったら、地方でもコワーキングを回せるんやろ」っていうのが、想定外の気づきだった。
でも、コワーキングをやり始めて、島民の方が来てくださったときに
「開けてくれてありがとう」
って言ってくださったときがいちばん嬉しくて。
都会みたいにすごく需要があって、めっちゃ人が入ってくる状況ではない。
だからこそ、もっとプラスの要素をどんどん付け加えて、いろんな人が来たいなって思ってもらえるようなコワーキングにしないといけないなと思っています。
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そして、地方のコワーキングって、都心以上に収益を確保するのが思った以上にむずかしくて。
じつは、東京にも海士町と連携したコワーキングスペースがあるんですけど、そこも集客にまだまだ苦戦している状態なんですよね。
そういった今、まだまだ現状上手くいっていないところが一体となって、なにかしらできたら良いんじゃないかなって。
なので、離島してもセントラル亭のコワーキング運営に関わり続けられたら良いなと考えています。
色んな人の価値観を知ることで気付くこと。
普段はシェアメイトや島民の方をはじめいろんな方とお話しできる時間が増えた気がして。
本土ではなかなか関われなかった人たちがたくさんいるからこそ、いろんな価値観を知れることがすごい好きかなって思う。
ーー印象的だったこととかあった?
7月の移住ツアーのときに、ブドウ畑をやってらっしゃる方にお会いしました。
その方は経歴が特殊でおもしろい方で。
そういった人ってなかなか本土では会えない。
「ああ、こういった生き方もあるんや」「こういった人生観もあるんや」
それが、すごく印象的でした。
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大学で出会った人は同じ価値観を持ってる人が多かった。
それはそれで話しやすいっていうのはあるんですけど、
色んな考えを知れたことで、自分ってまだまだ視野が狭いんだなっていうことにも気付きました。
会社に入ったら、なにかしら社会問題を解決することはたぶんやっていくと思います。そんなとき、さまざまな視点から物事を考えられるようになるんじゃないかなって。
仕事だけではなく、日常生活においても、「これってどうしたらいいんだろう?」という疑問が出てきたときに、「こうやってやったらいいんじゃないか」というさまざまな視点から考えられるようになる気がします。
島体験を経て、これからやってみたいこと
地方創生にはずっと関わっていきたい。
やってみて、しんどいことはたくさんあった。
けど、それ以上に楽しかったから、これからは地方創生をひとつの軸として仕事をやっていけたらなって思ったりしています。
僕はスポーツが好きなので、地域課題に取り組むためのひとつの手段として「スポーツ」があるんじゃないかなって考えていて。
実際どんなふうに、スポーツを使ってできるのかはまだ分からないけれど「地方×スポーツ」みたいな感じで、取り組んでいけたらいいんじゃないかなって思っています。
海士町でも、毎日体育館が開かれていて、曜日によってやっている種目が違うんです。この日はバレーボールをやって、この日はバドミントンをするみたいな。
そこで島の人と一緒にスポーツをすることで、関わる機会が増えたことは、とても良い思い出です。
ーー離島まで、あと少しですね。
すごい寂しいです。
まだまだ採用チームやコワーキング営業など、学ぶことはたくさんあるけど、どうしても帰らないといけない。
自分がやっていることを3か月で一旦ストップさせてしまうのは、なんというか、すごくもったいない気持ちでいっぱいですね。
でもこの3か月で、僕が得られたものはたくさんあったので、自分が得られたものを、次のだれかに引き継いで、もっとより良いものにしていきたい。
今まで培ってきた経験や知識をだれかに引き継ぎたいです。
「あいつがいるから、がんばれる。」そんな人になりたい。
島を離れるまでに、これはやりきりたいということはなくて。
というか、3か月でゼロから始めたことをやりきることはできないと思っているんです。
でも、自分がいることで、周りを活気づけられたら良いなってすごい思ってて。
僕は、めっちゃ盛りあげるのが上手いわけではないし、要領が良いわけじゃない。
けど、「がんばることはできる。」
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「あいつがいるから、自分もがんばれる」みたいな、自分の頑張りによって、周りを活気づけること。
それが、自分の3か月間のなかでのひとつのテーマなので、そこは最後までできたらいいなと思っています。
海士町にはまた戻って来たいです。
出会えた人に会いに行きたいし、自由にやらせてもらえた環境に感謝をしたい。
そして定期的に帰って来て、場を明るく、活気づけられるようなことをしたいです。
伸太郎くんは、気配りができて、いつも楽しそうに仕事をしてるイメージ。
しんどいことないのかな?って思ってたけど、インタビューでも「楽しいです」と笑顔で喋ってくれました。
今回のインタビューでしっかりとお話が聞けたおかげで、
彼がなんで普段から「ナイスやな~」って言ってるのか。
少しだけ分かったような気がします。
(ただの口癖だったらごめん)
「自分の頑張りによって、周りを活気づけたい。」
そんな思いが、日々の暮らしのなかでも、仕事のなかでも周りに伝わっていたと思うよ。
離島しても、海士町とは引き続き関わり続ける予感!
これからの彼の選択が、とても楽しみです。
(R6年度7月期島体験生:山口)
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