「自分が楽しいって思うことを、やっていこう。」島体験で見つけた私にとっての幸せ。
近藤碧美さんにお話を伺います。
「島で暮らすってどんな感じなんだろう?」偶然が重なって、島体験へ。
幼少期は3歳から9歳までの6年間アメリカのオハイオ州に住んでいて、
それからはずっと東京で暮らしていました。
なので、ずっと都会で暮らしていたから
「島で暮らすってどんな感じなんだろう?」って興味があって。
そんなときに、大人の島体験で海士町に行っていた部活の先輩が海士町で過ごす様子をSNSで見て興味を持ちました。
来島前は9か月間のイギリス留学をしていたので、卒業が1年延びることは決まっていました。
なので、自分のなかで決めていました。
「5年間の大学生活のなかで自分がやりたいことは全部やり尽くそう。」
そんななか、自分の時間が取れるのが6月の終わりから9月まで。
そして、海士町の良さが一番分かる季節は夏だということ。
たくさんの偶然が重なって7月期の島体験に参画することにしました。
来島したときは、「島での生活ってこうなんだろうな」とかをなにも想像しないで、まっさらな状態で来たので特にギャップはありませんでした。
日々の暮らしや、働くなかで起こるさまざまな出来事を、ありのままに経験できているような実感があり、毎日がほんとうに楽しいです。
暮らしを通して知る、地域の団結力。
7月にお祭りがあって、そのときの直会で直接地域の方々と交流する機会がありました。
みんなが一生懸命お祭りに参加して、そのあと直会で盛り上がる感じがすごい素敵だなって。
そこで改めて、この地域に住んでる皆さんが、ほんとうに地域を愛してるんだなっていうことが伝わった。
私の地元では、地区のお祭りがどんどん縮小されちゃっていて、
地域の団結力を感じられる部分がほとんどないなって思っていて。
もちろん地域との関わりがなくても家族や友人、仕事仲間とのかかわりはある。
でも、私は年齢やお仕事の垣根を超えて交流できるのが地域だなって思っていて。
そのなかで地域に団結力があると、帰ってきたいと思える居場所にもなるし、ひとつの大きな家族がいるみたいな環境で日常を暮らせる。
だから、地域の団結力を感じられることってすごく良いなって思ってます。
そして島にいると、知り合いの人とすれちがう機会が多い。もちろんその環境が苦痛に感じる人もいるとは思うけど、私はその環境がすごい好きです。
「私、ファミリー感を感じられるのが好きなんだな。」
人はひとりでは生きていけないし、周りの人に支えられて生きるものだと思うから。
なので、島一体で感じられるファミリー感がすごい安心するし、居心地が良いなって思う。
もっと日本の良さを海外の人に伝えたい。
私は、海士グランピング施設 TADAYOIで働いています。
お仕事の内容としては、日々の客室清掃、お客様のためのお食事準備をしたり、客室にご案内したりしています。
あとは、グランピング施設でやっているサップとシーカヤックのレクチャーもやらせてもらっています。
私は今までは海外に触れる機会が多かったんですけど、日本って良い国だなって改めて思ったきっかけがありました。
イギリス留学をしたときに日本語専攻の学生とよく交流をしていて。
そのときに全員が口をそろえて、
日本人の優しいところ、自然豊かなところ、街がきれいなところ、
たくさん日本の好きなところを言ってくれました。
「日本って素敵な国だよね」
それまでは、自分の国のことをそこまで意識をしたことがなかったからとてもうれしくて。
私もイギリスから帰国したときに改めて日本って良い国だなって気付きました。
「日本の良さをもっと海外の方にも知ってもらいたい」
日本語専攻の子たちとの会話をきっかけに、その気持ちが芽生え、観光業に興味を持つようになりました。
そして、実際に観光業に触れてみたいなと思ったので、TADAYOIで働かせてもらっています。
「ああ、自分もこんな大人になりたい」働くなかで気付いたこと
実際働いてみて、どうしても日々の業務に手一杯になってしまうことはあるけど、ほんとうにTADAYOIの社員の方々がいい方たちで。
一緒に働いている社員さんからはとても刺激をいただいています。
すごく同年代とは思えないくらいしっかりされていて、
「次なにをすればいいのか」私たちに指示だしもしてくださるし、
てきぱき動かれていて。
「ああ、自分もこんな大人になりたいな」ってすごく思う。
もうひとりの方は、人として尊敬できる方で。社会人経験が長いのでその分教えてくださることも多くて。そんな方の元で働けるなんて、贅沢だなって思いますね。
そして、月に1回、1on1の面談でフィードバックをいただいたときに
「私たちはあなたたちにベッドメイキングを上手くなってほしいと思って島にきてもらってるわけではなくて、ここでも培える社会に出てからのスキルって絶対にあるから、ここでそれを学んでほしい。」
と言ってくださって。
そういう機会をくださるのすごいありがたいと思ったし、自分も社会に活かせるスキルを伸ばせるようにがんばりたいと思って、日々の業務に取り組んでいます。
私は人におもてなしをすることに喜びを感じているのかもしれない。
働いていると、人を笑顔にすることが好きだなって思います。
お客さんの「ありがとうございます」というひとことで、
「今日も頑張ってよかったな」って達成感を味わえる。
そこがとても楽しいです。
働くことに関しても、しんどいって思うことがないのかも。
というか私はしんどいって思いたくなくて。
どんなことがあってもポジティブに捉えるようにしてるかな。
だから、あまりしんどいとかは考えなかったかもしれない。
働くことで気付いたこと
私は働くなかで問いを立てていました。
「海士町にとっての観光業ってどんなものなのだろうか」
離島にとって観光業は切っても切り離せないものだし、観光をすることによって海士町との関わりを創ることができる。
せっかく海士町に来ていただけるのなら、
「また戻ってきたいな」と思ってもらいたい。
なので、お客さんに滞在体験を良いものにできるように日々の業務に励んでいます。
しかし、一方で、離島なので、台風がきたときに物資が届かなくなってしまう。離島ならではの観光業の大変さもあるなと思っています。
宿や飲食店には限りがあるし、海士町にはリネン工場がひとつしかありません。
なので、「たくさんの人たちに観光で来てもらいたい」のと同時に
観光で人がたくさん来すぎてしまうと、リネンをすべてその工場に持っていくことになる。
なので、宿ひとつ増やすだけでも大変なんだなって思ったし、海士町の観光業としても課題だなと思いました。
「変わることだけが正解じゃない」島での暮らしから気付いた。
来島する前は、3か月後「こう変わっていたい」という理想像がないとって思ってました。
でも、TADAYOIの方に
「3か月後に変わってることだけが正解ではないと思う。
必ずしも変わってないといけないことはないと思うよ。」
と言っていただけて。
「変わることだけが正解じゃない」んだなって気付けたというか。
今までは、ずっと一本道を進んできたし、同じ境遇の人としか接してこなかった。
でも、島に来て出会った、色んな年代やバックグラウンドを持つ方たち。
やりたいことも人それぞれあるなって。
たとえば、いったんお仕事をやめて島に来られている方のお話を聞くと、
「あ、まだまだ自分も挑戦できるな」って自然と思えて。
自分の軸や直感を大切にしながら、私も新たなことにどんどん挑戦していきたいなって島に来て改めて思いました。
なので、もっと色んな人たちと、
「どう今までの人生を歩んできたのか?」「海士町についてどう思っているのか?」お話しをすることで、
自分の視野を広げて今後の将来へのヒントをひとつでも見つけられたらいいなと思っています。
「自分が楽しいって思うことをやっていく」幸せは自分で見つけるもの。
島で、自然に囲まれたゆっくりと時間が流れている環境で自分とまっすぐに向き合えていること。
この環境のほうが幸せなんじゃないか。
今までは「お金は稼げるだけ稼げばいい」みたいな環境にいたけど、島に来てそれだけがすべてじゃないんだなって思いました。
もし、島に来てなかったら、波に揉まれて、それなりに有名な企業に就職していたかもしれない。
でも、さまざまな経験を通して、名が知れてる企業に入ることだけがすべてじゃないこと。
人生に正解なんてないんだなっていうことを島に来て気付かされました。
お金とか名誉が幸せにつながるのはなく、幸せは自分で見つけるものだよなって気付けたことが私のなかで大きかったかもしれないです。
島で出会った皆さんをみて、私も「自分が楽しいって思うこと」をやっていこうって思えました。
この3か月は私にとって大きな変化のポイントなのかもしれないです。
海士町を経て、これからは。
これからは、日本をもっと開拓したいです。
海外に行ってみて、日本のこと全然知らないなって思ったし、島に来てもっと日本のことを知りたくなった。
なので、これからはいろんな地域に行って、それぞれの良さも見つけたいし、他の島もめぐってみたいって思っています。
挑戦するときも自分の直感を信じて行動したいです。
海士町で3か月を過ごしてみて。
現時点では、海士町に戻ることはまだ考えてはない、かな。
でも、この島で3か月過ごしてみて、
自分にとっての居心地のよい場所がまたひとつ増えました。
私にとって、この島は第二のふるさと、みたいな場所です。
なので、いつでも戻って来たいと思える場所だなって思います。
この先海士町がどうなっていくのか、とても楽しみです。
(R6年度7月期島体験生:山口)
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