新卒で東京から西ノ島へ。「ありのままの自分」が大きな力へと変えていく。
新卒で東京から西ノ島へ。この先も「もっと西ノ島のために何かしたい」と語る彼の想いとは?
R6年度、大人の島留学生として西ノ島に来島。
今年から始まった「観光×まちづくりプロジェクト」の一員として働く福島健人さんにお話を伺いました。
海外留学の夢から日本の地方創生へ。自分が求めていたものは日本にもあった。
親の影響で元々旅行とかアウトドアに過ごすことはすごい好きで、毎年夏休みに山梨の山奥のコテージに泊まって川に入ったり、ハイキングしたりしていました。それが楽しかったから、「いつかそういうところで生活してみたいな」とか「これが日常になったらな」ってずっと思っていました。
高校生の時、東京は楽しいけど「やっぱなんか違うな、別にもういいかな」と思い始め、はじめは海外に行こうと考えてました。それで大学で国際系の学部に入ったけど、交換留学の試験に落ちてしまって。そこで気づいたのは、「学問的に英語を学ぶのは嫌いだな」って。結局目的は「英語を学びたい」じゃなくて「文化を学びたい」とか「新しい刺激が欲しい」だったから、少しずつ英語に対するモチベーションが落ちてしまいました。
同時期に、コロナが明けて親と毎年行ってた旅行先に一人で行ってみたら、そこがシャッター街になっていて、思い出の場所だったから悲しくて。でも、その場所って元々住んでた人達とかは僕よりももっと強い思い出が残ってて、そういう人たちが見たらもっと悲しい気持ちになるんだろうなって思ってから、地方創生みたいなところに興味を持ち始めました。
すぐ海外の夢を断ち切れるほど、思いつきで動いていたわけじゃないけど、今は海外まで全然行きたいとは思わない。なんで海外への夢を断ち切れたのかなって思うと、地方とかこの島もそうだけど、東京から離れるってもちろん文化も違うし、言葉もちゃんと違う。だから自分が求めていたものって日本国内で事足りるんだなって。
広島県江田島で知った、地方創生の面白さ。
ワークショップで日本のいろんな所に住んでいる人たちと集まった時に、地方の課題について自分のアイディアを話したら「でもそれって理想論じゃん、私の住んでた村だったらこういう状況で~」って言い返されちゃって。知らないこと、経験したことがないことしか喋れなかったから、「いくら言っても僕が言ったら上からの理想論でしかない、実際に行かないとわからない」と思い、最初に見つけたのが広島県江田島の農泊ボランティアでした。
農地作りとヤギの循環農法のお手伝いをしながら、9泊10日するというボランティアで、大学3年生の夏に行ってから6回ぐらい行ってます。必ず行くと「いらっしゃい」じゃなくて「おかえり」って言ってくれる、そんな島の温かさに惹かれ、島暮らしに興味を持ちました。
新卒で大人の島留学。「ありのままの自分」でいられる場所へ。
最初は早期内定をもらうために大学3年生の春からちゃんと就活をしていました。でも嘘つくとか、取り繕うみたいなのがすごく苦手で。周りの就活生の進路に対する回答や考え方が自分と全く違うことに気が付きました。
東京にいた頃は、自分の気持ちを押し殺していたり、自分に嘘をついていたりしていたので、そういった部分で生きづらさを感じていました。だから、ありのままの自分を受け入れて評価してくれるところに行きたいなと思っていました。
新卒で大人の島留学に参画することに対して親は何も言わなかったです。親も大学卒業後、青年海外協力隊でイエメンに行っていたので、逆に親から「国内しか行かないの?俺海外行ったよ」って煽られたくらい(笑)親はもっと家を出て色んな経験をしてほしかったと思っている人で、「どんどん行ってこい!」みたいな。だからすごく応援してくれています。
意外と心配もしてくれてて、僕より西ノ島の情報を知ってるときがあります。「台風大丈夫?」とか「地震大丈夫?」って(笑)
人々の帰る場所を守るために、自分ができること。
今の仕事を選んだ理由は、「人々の帰る場所を守るために、自分ができることで貢献したい」という想いだけだったから、それが実現できるなら事業所は正直なんでもいいかなと思っていました。
今僕が所属している「観光×まちづくりプロジェクト」では、観光協会の窓口に立ったり、ホテルの業務をしたりしています。あとは、お店の空き情報などをSNSで発信したり、インスタグラムで西ノ島のモデルコースを発信したりしています。個人的に「時代に合わせながら、今の西ノ島にあるものを守りたい」という想いが強くあるので、それができる観光って面白いなと思います。
観光協会の窓口でお客さんに「ここ行けました!ありがとうございます」って言われると「もっと頑張ろう」「もっといろんなお客さんに合わせた接客ができるように西ノ島を知っていこう」って思えます。ありのままの自分を受け入れてもらえて、居心地がいいんです。
今回は11月限定で「観光×まちづくりプロジェクト」のみんなで焼火神社の社務所でドリンクが飲めたり、お菓子を食べたりできるイベントを行いました。
経緯としては、11月は島根県が神在月なので観光客が増える季節ですが、西ノ島では10月で観光船と観光バスが終わってしまい、観光コンテンツが一気に減ってしまうので、観光客が増えない現状があります。そこで、新しい観光コンテンツとして、神社の社務所という偶発的にしか行けない場所に、僕たちが週3回入って定期的にあるものにできたらいいよね、という話になり今回このようなイベントが始まりました。僕がいる時だけ「KENTEEE COFFEE」があります。
「島留学生」としてではなく、ランニングが好きな「島の人」として。
楽しかった思い出は、夏にあった例大祭も楽しかったし盆踊りも楽しかったし、11月にあったTERRACEもすごく楽しかったです。ただ、今一番の思い出は一昨日の隠岐の島町であった駅伝がもう楽しすぎました(笑)
大会新記録、男女混合の部優勝、僕が3区間賞!
元々ランニングチームは島前病院の人たちを中心に集まっているチームで、紹介を受けて僕も走らせてもらいました。「島留学生」ではなくて「ランニングが好き」という理由で同じ趣味の人とたくさん繋がることができて、個人的に「島の人」になれた気がしました。
今回走ったチームの人たちと「大会終わったけど一緒に走ろうよ」と話していて。例えば「海士町でみんなで走って、最後は隠岐牛食べて帰ろう」とか「知夫に行って赤ハゲ山まで行って下って最後に飲み会しよう」とか。病院の人と仕事やプライベートで関わる機会が今までなかったので、新しい繋がりができて嬉しかったです。
自分次第でなんでも挑戦できる、島の環境を活かして。
現段階では来年度以降も島に残ることを考えています。「もっと誰かの為に何かしたい」「もっと西ノ島のために何かしたい」って思ったから「まだいよう」みたいな、そんな感じです。
また、島に残ることは来る前から選択肢として常に持ってはいました。東京に帰る気はさらさらなかったです。
先の将来は、どこでどう働いてるのかは全く想像がつかないです。自分が働いている中で繋がりができて、全然違う場所にいるかもしれないし。でも、多分今までできた出会いとかそういうものを全部活かして生活していると思います。
もっと先のことでいうと、いつか自分の好きなものだけで溢れた空間を作りたいです。自分の好きなものに共感しに来てくれる人だけが集まれるような場所で、自分が好きなコーヒーを入れるとか、自分が気に入った洋服が置いてあるとか。
でもだからと言って、「10年後の為に今何かしてますか」って言われたらしてなくて。一生懸命何でもやってたら勝手に結果がついてくると信じてるタイプだから、今自分が一生懸命にできることや、やりたいことをやっていったら、気づいたらその空間ができてた、みたいなのが一番いいなと思っています。いろんなことが挑戦できる島っていう環境をうまく活かしつつ、全部に注力して頑張れたらなと思っています。
人の熱量だったり温かさだったり、島に来ないとわからないことが絶対にあって、個人的に西ノ島に来て損はしないと思います。東京にいたら同じようなことができたかなって思うと多分できてない事なんていっぱいあるから。ありきたりなことだけど、本当、一回来てほしい。ただそれだけって感じだね。
(R6年度大人の島留学生:中島)
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