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「人と人としてつながること」島体験の3ヶ月で見つけた幸せ
「地元とも違うし、島って自分にとってすごくかけ離れた世界だった。でも、それに飛び込んでみたくて」
そうして大人の島体験に参画を決めた、彼女の3ヶ月とは?
島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」
来島のきっかけから島での仕事・暮らし、自分自身の変化など
1人1人のストーリーをお届けしています
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取材当時23歳。神奈川県出身
令和6年度大人の島体験7-9月生として海士町に来島。
海士町社会福祉協議会「福来の里デイサービスセンター」と、「福祉×まちづくりプロジェクト」(以下福祉プロジェクト)で働いている、高倉明梨さんのインタビューをお届けします。
ある日、海士町の写真を見つけて
高倉さん:
ある日インスタグラムを見ていたら、たまたま海士町の海とか隠岐の牛の写真を見つけて、「こんなところが日本にもあるんだ」と思いました。
はじめは「海士町」という漢字が読めず、どこにあるのかもわからなかったんですけど、色々調べたところ大人の島留学のホームページにたどりついて、なんか面白そうな制度だなと興味をもちはじめました。
東京で開催された大人の島留学のトークイベントや、 去年の11月に海士町で実施された2泊3日のお試し島体験にも参画しました。
その時に会った大人の島留学の人たちが目の前のことに全力で頑張っている姿を見て、「頑張らせてくれる環境がある」ということに魅力を感じました。広大な景色とか自然も好きだったから、そこにも魅かれて「もう一度島に行きたい!」と思い来島を決めました。
経験のあるフィールドで
これまで、地元である神奈川県の福祉施設で働いていました。
地元とも違うし、島って自分にとってすごくかけ離れた世界だった。でも、飛び込んでみたくて飛び込もうと思ったけど、 全く知らない環境でやったことないことに飛び込むのって結構勇気が必要なことだなと思って。
だから少しでも自分が安心できる 馴染みのある業界で働きたいと思い、福祉プロジェクトを選びました。
現在は福祉プロジェクトに所属しながら、週2日は福来の里というデイサービスで働いています。
福祉プロジェクトでは、8月はビアガーデンでの出店やあまマーレと学習センターで子ども駄菓子屋をやったり、いろんな体験をさせてもらいました。あと、シェアメイトで同じプロジェクトの二人と、お手伝いサービスを企画しました。地域の人たちとの交流を目的に、草刈りや片付けなどちょっとしたお家のお困り事を解決しますっていう、「ちょっとお手伝いサービス」というのをしています。
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福来の里はデイサービスの業務の補助とかで、レクリエーションのお手伝いや制作活動をしています。制作活動では、私が得意な手芸をアイデアに出したり、今は再来週の敬老会に向けて準備を進めています。
3ヶ月しかいないという島体験生だからこそ、どこまで介入すればいいのか分からないといった難しさはあります。
でも前の職場で働いていた時は、自分がインターン生を受け入れる側の立場だったので、今は逆の立場になってみて 色々と立ち返れています。実習生の時の緊張感とか、難しさ、学生の頃の悩みなど時間が経つと忘れてしまうようなことを…
今はまた実習生の立場に戻れたから、次に実習生を受け入れる職員の立場になった時に実習生の経験があまりにも過去すぎる話じゃないのが自分にとって大事かなと思います。
人と人とでつながる関係
福祉の世界では、やりがいとか達成感とかがすごく分かりづらい。 成果が数字で出るものでもないし、これをやったから、こうなったっていうプロセスがわかりづらいから。
そういう成果的なやりがいも良いけど、私は利用者さんに寄り添って一緒に過ごせて、楽しく笑ったりすることがやりがいです。
高齢者の生活を支える役割が、すごく自分にはやりがいであると感じています。たとえば、お菓子の袋が開けられなかったり、 上手く折り紙が折れなかったりする時に「ちょっとお手伝いしましょうか」と声をかけるようにしています。
でも手伝う人と手伝われる人という感覚ではなく、できないことを補い合う関係性が大切だと思っています。私もわからないことがある時は「ちょっとこれ教えてください、先輩!!」
みたいな感じで人生の先輩に色々教えてもらっています。
仕事のことも教えてもらえるけど、いろいろ島の日常とか過ごし方とかを見せてもらってる感じです。
でも、そういった関係性でいられるのは島という小さなコミュニティだからかも。利用者さんとスタッフという関係じゃなくて、どこどこの誰々さんみたいな感じで、お互いを人として知ってる関係。 そこが都会での福祉とはまた違うのかなと思います。
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さっきもドライブに行ったんですけど、利用者さんに1人天川の水を源泉まで飲みに行く人がいて。多少歩行が不安定だったから、以前働いていた福祉施設では同じ状況になったら多分、「ちょっと危ないから、この辺で見るだけね。」みたいな感じになるだろうけど、ここでは「いいよいいよ」と笑顔でスタッフの人が見守っていて。
そういうことは利用者さんとスタッフという関係性だけだったら、多分そんな風には言えないと思う。島に住んでいる人同同士という関係もあるからなのかなと思います。
3ヶ月島での暮らしを経験してみて
島での環境がそもそも地元とかけ離れているし、その島での生活というイメージを固めていない状態でここに来たけど、都会での生活も島での生活も知った今、どっちにも良さがあっていいなと思っています。
仕事から帰る時に、ちょうど夕日が綺麗に見えて、そういうところが好き。田んぼの景色がすごく綺麗だし、あと星空も綺麗で。
それらを見て感動して、無になってそれだけを味わう。
そういう時間が好きです。
来島してすぐの時、シェアハウスのみんなと家の近くの堤防に寝そべって星を眺めたのは忘れられない思い出です。
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あとは人とのつながりが多いなと思います。島での時間の流れは、周りの人と自分の時間が交わる機会が多いなって。
例えば都会では仕事以外の場で職場の方と偶然会うことって珍しいけど、ここでは仕事が終わってからもたまに会うし、島で起きた出来事をニュースを介さずにみんなが知っていて。そこが面白いなって、人との繋がりが結構濃いなって思いますね。
職場でも、近所の方でも、島体験生という枠を超えてちゃんと一人の人として出会えている瞬間があって、「あなたに会えて嬉しいよ」という感じで接してくれるのが自分の中で幸せなことだと感じます。
ここに限らず、 言葉でやり取りはしていないけど同じ気持ちで笑えた瞬間を忘れたくないかなと思う。周りの人と一緒に笑顔になれた瞬間、自然な笑い、そういうのがすごく幸せです。
島の福祉の在り方を知るために
島では福祉サービスがすごく整っているわけではないし、病院も海士町には診療所しかないから、いざとなったときには隣の島の病院に。また陸続きじゃないから家族が近くにいない方も多くて、健康じゃなくなった時に過ごす場所はどうするのかなと疑問に思うこともあって。
島でできることに限りはあるけど、それでも高齢になっても島で過ごしたい人たちがいる。しかし、それを支える役場やサービスを提供する福祉協議会の人手も多いわけではありません。
3ヶ月インターンをしてみて、そういう島の福祉の現状をもう少し深く知りたいなという思いがあり島体験の延長を希望しました。
島での暮らしを体験して、周りの関係をふり返る
島という環境を知れたことが、すごく大きな変化かな。この先島暮らしの話を聞いた時に 具体的なイメージが自分の中で作られるようになりました。
日本自体も島だけど、小さい島で生活するという。
横浜という自分の地元があって、これまでの生活から抜けて島という未知の場所に来ました。知り合いも0だし環境も違う、周りの人も全く関係のない人たちしかいない環境は自分の人生にとって未知でした。島を知れたからこそ島でも暮らせるという選択肢が増えました。
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そして離れたからわかることで、地元にいる人たちの存在も大切だなって気が付けた。やっぱり友達もそこにいるし。自分の今までの時間、一緒に過ごしてきてくれた人、前の職場の人もみんな地元にいるから。
その人たちとの出会いも大切だなって思うし、今こっちで築けた出会いも大切だなって思います。
(R6年度大人の島体験生:福田)
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