好きな作品をオススメしてくれる同期の話と、空想一人遊びの週末。

大学の同期に唐突に勧められたアイアンマンを観た。
彼女のおすすめする作品はハズレがない。
なんで私の好みを知っているんだ。ホラーか?
もちろん、アイアンマンは私の大好きな作品の1つになった。
敵わない。
……実態は私の好みの幅が広いだけなんだろうけど。
そのうえ、あまり作品を知らないから。
8月下旬、私はアベンジャーズシリーズを履修することを決めた。
面白い作品と、面白い作品を推してくれる人にチョロすぎる私をどうか笑ってほしい。


週末は文字通り飛ぶようにすぎる。
大学を卒業してからが瞬きの間のようだった。
目まぐるしく変わっていく生活と社会の狭間で、
そういえば人と会話をすることが少なくなったことに気づく。
そりゃ、会社に行けば研修スケジュールをこなし、
家に帰ればご飯を食べて、note記事書いて寝る。
以下繰り返し。
週末も週末で、本を読んだり、映画やアニメを観たり、
一人遊びで過ごすことが多い。
父や母と会話をするのが苦手だ。とりわけ母親が苦手だ。
逃げるようにして、自室でイヤホンぶっ刺して音楽に浸る。
そうしてれば、会話をすることは自然と減る。
家に居ちゃ、楽しい会話なんてできやしない。
父や母は喋りたがりなだけで、真面目に聞くことをしない。
真面目に話すのが馬鹿らしくなる。
でも、真面目に話を聞いてくれないのは、自分の生活が原因じゃないか、
自分のあり方が間違っているから聞いてくれないんじゃないか。
疑心暗鬼と自己嫌悪が打ち寄せてくると頭が痛くなる。
部屋にこもって、モーツァルトの交響曲第25番を耳元で流しながら、
じっと目を凝らして、本を読む。
空想の世界はいつでも誰の味方にもなってくれる。だから好きだ。
できるなら、面白い世界をずっと眺めていたい。
現実から目を背けている時間だけが、胃腸のストレスを減らしてくれる。
音楽を再生する機器としてスマホはあまり適していない。
開けば簡単に現実と接続できてしまうからだ。
Twitterなんか見てしまうと最悪だ。
人と人との相関図には、好きな人間もいれば、嫌いな人間もいる。
自分の好きな人間と嫌いな人間が話していると心が痛くなるのは、きっと私が自己中心的な人間だからだろう。吐き気がする。
吐き気を抑えながら、自己中心的な感情に杭を打つ。自己嫌悪に陥る。
音楽を聞くだけなら小型のウォークマンがあればいい。
徹底的に現実と隔絶していたい。
そうして得られる読書体験は、息遣いの一つをとっても真に迫っている。

何の話かって? 
現実逃避してたら会話なんてしなくなるって話だ。
おまけに現実の惨状を見つめ続けていたら、頬も上がらない。
小皺だらけになるのは御免こうむるので、表情筋は今のうちに鍛えておいたほうがいい。
でなければ、楽しい会話をしていたい。
面白い小説の話、漫画の話、映画の話……。
それだけじゃない、最近の面白い話とか、世間話でもいいんだ。


アイアンマンを教えてくれた彼女は、密かに尊敬する人間の一人だ。
「する時間がない、じゃないでしょう。する時間は作るものだよ」
何気ない会話で彼女が放ったこの一言は私にとって忘れられないもので、
座右の銘の1つといってもいい。
彼女の楽しむスタンスは見ているだけで元気が出るし、
大学時代、1つの凋落を知った私の、絶望と破滅の未来展望は、
彼女の言葉で少しだけ上向きになったといってもいい。
笑顔が輝いている人の周りは、いつだって陽が照っている。
誘蛾灯の光に溺れていた私は、陽の光が存外に好みだったらしい。
かけがえのない出会いを頂いたものだ。
大事にしたい。
切実に。

最後に、アイアンマンの好きな台詞を引用しよう。
トニー・スタークのこの一言だ。

I just finally know what I have to do.
And I know in my heart that it's right.
(やっとやるべきことがわかったんだ。
そして、心から思っている。それは正しいと)

生きている世界は広い大海原で、羅針盤は常に自分の心にある。
航路が穏やかでも、荒れていても、喜びで満たされていても、悲しみが溢れていても、
その道は自分で決めた航路の過程に過ぎない。
だったらせめて、笑えたほうがいい。

笑うために、明日も生きる。生き抜く。

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